日本酒の仕込み作業を体験するエラッド・ショハムさん(左)=臼杵市野津町野津市
【臼杵】日本の伝統的な酒造りを学ぼうと、イスラエルからの実習生エラッド・ショハムさん(43)が今月、臼杵市野津町野津市の藤居酒造(藤居徹社長)で5日間の研修に臨んだ。日本酒の製造工程を体験し、技術や文化、歴史についての理解を深めた。
昨年12月、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的に日本の酒に注目が集まっている。研修は英国の酒ソムリエ協会の主催。「海外の販路拡大や酒文化を世界に広めることにつながれば」と、同酒造は初めて実習生を受け入れた。
イスラエルでソムリエとして働くショハムさんは、以前から日本の酒造りに関心を持っており、本場で深く学びたいと研修に参加した。
5日間でコメを蒸したり、水洗いをしたりする仕込み作業を体験。杜氏(とうじ)が作業する様子を記録用に撮影し、熱心に質問をした。印象に残ったこととしてこうじ造りを挙げ、「温度や湿度の管理など繊細に育てていた」と振り返った。
このほか、地元のみそ・しょうゆ工場の見学、臼杵の食文化やユネスコ創造都市としての取り組みも学んだ。
ショハムさんは「職人の細やかな作業や米粒一つ一つを大切にする精神などに触れることができた。帰国したら日本酒の楽しみ方や知識を多くの人に伝えたい」と語った。
同酒造は来月もオーストリアからの実習生を受け入れる予定。藤居社長(50)は「日本酒に興味を持ち、遠い地から学びに来てくれることがうれしい。世界中に酒ファンを増やす手伝いができれば」と話した。