「ココでのはなし」疲れた心、解きほぐしてくれる

「ココでのはなし」の一場面(ⓒ2023 BPPS Inc.)

 2021年の五輪が終わった直後の東京で、ゲストハウスに集まった宿泊客やスタッフが織り成す人間ドラマ。
 舞台は騒がしい都会にひっそりと立つゲストハウス「ココ」。元旅人でオーナーの博文(結城貴史)と、住人で交流サイト(SNS)での動画配信にはまっている泉(吉行和子)、住み込みでアルバイトをしている詩子(山本奈衣瑠)の3人が宿泊客を出迎えている。
 泊まりに来るのは日々の生活に少しだけ疲れてしまった人たち。フリーターの存(たもつ)(三河悠冴)はやりたいことが見つからず、働いていたバッティングセンターも、コロナ禍のあおりで閉店することを告げられる。東京に転勤することになった中国人のシャオルー(生越千晴)は、新しい勤務先の人々が外国人に良い印象を持っていないことを知らされる。実家からは帰国するように言われており、悩みが募る。
 慌ただしい日々の中で、時折湧き起こる苦しさ。ゲストハウスの人々は、そんな思いを抱えた人々を温かく出迎え、素朴だが、おいしいご飯、人々が語らう場を提供する。それだけで心が解きほぐされ、前向きになれる。知らなかったはずの人々が、そっと寄り添い、ひとときを過ごす姿は、心のオアシスのようにも見える。
 人生に不安を抱いている人は必見。きっと気持ちが軽くなる一本だ。

 シネマ5で23日(土)~29日(金)の午後0時25分、同4時55分。27日は同8時10分も上映する。(この日程以外も上映あり)

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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