第29節千葉戦に敗れ、険しい表情でサポーターにあいさつした大分の選手たち=9月1日、レゾナックドーム大分
サッカーJ2は残り5試合。大分トリニータは現在17位にとどまり、残留争いに巻き込まれている。J3降格圏の18位とは勝ち点6差。直近の2試合で勝ち点4を積み上げ復調の気配が見えてきたものの、まだ予断を許さない状況だ。
「勝利こそ全て」―。ホームに山形を迎えた9月7日の第30節、サポーターは普段の応援幕を掲出せず、ただ1枚の横幕を掲げた。順位を徐々に落とし、降格圏がよぎりだす中で奮起を求めた。しかしチームは期待に応えられず、0―3で完敗した。
選手たちも危機感を強めていた。MF野村直輝は「次につながらず、試合を重ねても収穫がない」と苦しい胸の内を明かした。目指す順位や戦い方が定まらず、結果も出ないままリーグ戦は終盤に入っていた。
チームは山形戦翌週の練習前に全体ミーティングを開き、目標を「J2残留」に切り替えた。「マネジメントで足りない部分があった」と片野坂知宏監督。志向していた戦い方を封印し、選手に委ねていた部分も練習から事細かに指示するように変えた。
すぐに結果には表れず3連敗したものの、横浜FCと藤枝には1勝1分け。DF安藤智哉は「1週間のトレーニングが試合に出ると改めて実感した。攻守の狙いを共有し、体現できている」と手応えをのぞかせた。
J2残留のボーダーラインは勝ち点40台前半とみられる。現在36の大分が中位以下とのカードを3試合残す一方、18位で追う栃木は1位、2位との対戦を控える。大分は引き分けも含めて勝ち点を積み重ね、ライバルにプレッシャーをかけたい。
ここ2試合は息を吹き返し、チームは自信を取り戻しつつある。FW長沢駿やMF町田也真人ら歴戦のベテランも復帰し、一体感は高まった。
片野坂監督は「やることは変わらない。この勢いをまた、勝ち点3につなげるための準備をする」と全力を尽くす決意を語った。