バスに乗り込み修学旅行に出発する高校生=6月、別府市野口原
新型コロナウイルスの影響で国内が主になっていた高校の修学旅行先が、海外に戻りつつある。県内は本年度、県立と私立の計7校がシンガポールやマレーシアなどを選択。コロナ禍の落ち着きを理由に、渡航を再開する学校が増えた。一方、燃油代の高騰に加えて円安が進んだことから、訪問国の変更や国内旅行を選ぶ動きも出ている。
別府翔青は6月、グローバルコミュニケーション科2年の生徒がニュージーランドへの語学研修に出発した。10泊11日の長期日程で、ホームステイをしながら現地の姉妹校で授業を受ける。英語力の向上や文化交流が目的で、先住民の踊りも習う。
安松佑真さん(17)は「英語で会話するのを楽しみにしていた。ヒアリング、スピーキングの力を養いたい」。木崎雪乃さん(16)は「ネーティブの英語を10代のうちから経験できるのは貴重。たくさん学びたい」と笑顔を見せた。
ニュージーランド行きは新型コロナが5類に移行した昨年度から再開した。本年度は「他学科の生徒にも国際交流を体験させたい」と、普通科と商業科は行き先を韓国と国内のどちらにするか各自で選べるようにした。
費用面から旅行先を変えた学校も多い。大分舞鶴は11月にベトナム、大分上野丘は12月にシンガポールを訪れる予定。両校ともコロナ禍前はオーストラリアだった。
大分上野丘の佐藤哲也副校長(54)は「世界で活躍するグローバルリーダーの育成が本校の方針。どこかの時点で海外旅行を復活させる予定だった。比較的近く、英語圏という点で選んだ」と説明する。
大分西は2019年度までシンガポールやマレーシアに行っていた。保護者と生徒にアンケートを取った結果、本年度は海外に戻さず、昨冬と同じ北海道と東京の国内旅行にした。「航空機などの費用高騰を鑑みた」と理由を話す。
県教委や各私立高によると、19年度は県内の12校が海外を選び、一部の学校は国外での新型コロナ感染拡大を受けて急きょ国内に変更した。20、21年度はゼロ。22年度に2校が再開し、23年度は5校だった。
旅行大手JTBによると、修学旅行は各学校が生徒の入学前に行き先を決めているのが一般的。本年度の旅行先は、新型コロナの5類移行前の22年12月~23年3月ごろに選定したところが多いとみられる。来年度分は海外を希望する学校が増えているという。
円安をはじめ、燃油代や物価の高騰で旅行に関わる費用全般が上昇している。担当者は「同じ国を選ぶ場合は旅行代金が高くなることを伝え、代金を据え置く場合は日数の短縮や方面の変更をお願いしている」と述べた。
<メモ>
県教委によると、高校の修学旅行は2年生の秋か冬に実施する学校が多い。費用は国内の場合、1人当たり10万~15万円程度が主流。海外は24万円ほどかかるところもある。