大分県内ニュース
地域密着!郷土のニュースとスポーツ

財源難、住民サービスに直結 細る税収、厳しさを増す

揺らぐ公共 大分県内の市町村財政は今(上)

 「全国で一番住みやすい自慢のまちと思っていたのに…」
 昨年12月19日、杵築市が市健康福祉センターで開いた財政危機に関する住民説明会。同市宗近の無職阿部洋一さん(77)は悔しさと不安を口にした。
 2023年度には財政再生団体に転落する恐れがある―という、企業で言えば倒産が迫る非常事態。国の管理下に置かれ、新たな事業など予算も独自に決められなくなる。「暮らしはどうなるのか」。集まった約350人の表情は一様に険しかった。

 少子化で人口が減り、高齢化に拍車が掛かる日本。国も地方も財政に余裕はない。市町村の収入は住民税などが先細り、国から配分される地方交付税も縮小傾向。一方、支出は老朽化した公共施設の更新や社会保障費の増大で抑制するのが難しい。
 財政の健全度を経常収支比率(18年度普通会計決算)で見ると、杵築市は100・9%。100%を超えることは社会保障費など固定的な経費を賄えず、自由に使える財源がないことを示す。不足分は借金(起債)や貯金(財政調整基金)の取り崩しで穴埋めするしかないが、同市は貯金も底を突きそうという。
 県内は姫島村を除く全ての市町で同比率が90%超。どこの自治体も財政のかじ取りを間違えれば、同じような事態に陥る危険性をはらんでいる状況だ。

 崖っぷちの財政立て直しには荒療治が必要になる。同市は年間10億円の支出を減らすため、各種イベントの補助金や敬老祝い金の縮減、小中学校支援員の減員、公共施設の改廃などを考えている。
 検討対象は「市単独での実施」や「他市の水準を上回る」事業。いわば暮らしの豊かさ、杵築らしさにつながるプラスαの部分だ。
 U・Iターン者の増加や交流人口の拡大による地域活性化を目指し、各自治体が魅力づくりにしのぎを削る昨今。全国唯一の財政再生団体である北海道夕張市は極端な財政難で破綻した07年と比べ、人口が約6割の8千人まで減少している。
 人口の少ない地域では民間サービスを行政が補っている分野は少なくない。杵築市が廃止を検討している温泉施設もその一つ。よく利用しているという同市山香町の無職吉元征英さん(77)は訴える。「市民の立場になって考えてほしい。そうでないと杵築はつまらない場所になってしまう」

 × × ×

 杵築市の財政危機が表面化したことで、自治体の〝懐事情〟に県民の関心が高まっている。人口減や少子高齢化の進行で厳しさは増し、「平成の大合併」で優遇を受けた事業の費用償還も影を落とす。運営の見通しを誤れば住民サービスの後退など代償は大きいだけに、どの市町村もやりくりに頭を悩ませている。県内の現状を取材した。

<メモ>
 杵築市が昨年11月に公表した財政の推計によると、収入減と支出増で年間約14億円の財源不足に陥っており、現状の支出が続くと、財政調整基金が2022年度に枯渇するという。市は職員人件費や大幅な事務事業の削減を盛り込んだ緊急対策案を作成。12月に開いた計4回の住民説明会には計約千人が参加した。より具体的な対策をまとめ、2月中に再度説明会を実施する予定。
※この記事は、1月22日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。
OPENCLOSE

速報ニュース

ニュースアクセスランキング 18時1分集計

ランキング一覧を見る

大分合同新聞ニュース絞り込み検索
記事の絞り込み検索が可能になりました!

期間選択
ジャンル選択
記事種別選択

大分県の天気

PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ
大分合同福祉事業団
インターネットによる募金「かぼす募金」を受け付けています
大分合同新聞
販売店検索はこちら
お近くの販売店を今すぐ検索!
HELLO KITTY×大分合同新聞
おともだちカード
「大分合同新聞 HELLO KITTY」が大切なあなたの気持ちをお届けします。

全てのお知らせを見る

電子書籍のご案内

ページ上部へ戻る