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杵築市、甘い行政運営 歳入減る中、歳出見直し不十分

 杵築市が揺れている。市が突然明らかにした財政危機で、行政サービスの低下は避けられない見通しだ。「なぜもっと早く気付き、手を打たなかったのか」「生活はどうなるのか」。市民には怒りと困惑が入り交じる。約3万人が暮らす市を取材すると、行政運営の甘さが見えた。

 「ここの温泉浴場がなくなると困る。泉質が良く、いつも使いよるのに…」
 市内猪尾の市健康福祉センター。アルバイト帰りの相部(あいべ)平治さん(71)=狩宿=は12日、楽しみが奪われかねない事態に憤った。
 市は財政再建に向けた歳出カットで、年間4万6千人が訪れる同浴場を閉鎖候補に挙げている。他にも各種イベントの補助金や敬老祝い金の縮減、小中学校支援員の減員など、見直し案は多岐にわたる。市の幹部や職員の人件費も減らす。
 削減目標は年間10億円。2018年度普通会計決算と比較すると、歳出の5%を絞ることになる。少子高齢化など課題が山積する中、新規事業に取り組みにくくなることも必至だ。

 市が危機的状況に気付いたのは今年の夏だった。9日の市議会本会議。一般質問に対し、永松悟市長(66)は「18年度決算の作業中」と答弁した。
 作業で財政の柔軟性を示す「経常収支比率」が100・9%になることが判明。100%超えは自由に使える一般財源から社会保障費など経常的な経費を賄えないことを意味する。既に前年度で98・5%に達していたが、貯金に当たる財政調整基金の大幅な取り崩しが必要になり、ようやく事の重大さを自覚したという。
 ここまで悪化した原因は何か。市財政課は「歳入は減り続けているのに、歳出の見直しが不十分だった」と説明する。
 同市は05年に山香町、大田村と合併した。当初は優遇措置で歳入の3分の1近くを占める地方交付税が手厚く支給されていたが16年度から段階的に削減。人口減などに伴う減額も始まった。
 一方、歳出は社会保障費や人件費が増加。合併市に有利な特例債を活用した杵築中の建て替えなど大型事業の償還が本格化していくのに、子育て家庭支援など新規事業も積極的に続けた。その結果、経常収支比率は15年度の90・7%からわずか3年で10ポイント上昇した。
 市関係者によると、内部の一部で危機感はあったものの、大きな声にはならなかったという。市職員OBは「どうにかなると甘く見ていた」と話す。

 行財政改革に詳しい日本文理大の坂元英毅准教授(会計学)は「前々から分かっていたはずの財政悪化を正面から受け止めず、膨らむ住民ニーズに応えてきたのではないか」と指摘。まちづくりの戦略を立てる上で長期的な視点が欠けていたと強調する。
 厳しい財政状況は県内の他市町村も同じ。18年度普通会計決算で経常収支比率の平均は95・4%で、前年度から0・9ポイント上昇している。ある市の財政担当者は杵築市の現状を「どこも中期の財政計画に基づき動いているはずなのに」と疑問視。「自分たちも行き詰まらないよう運営していかねば」と気を引き締める。
 13年に就任した永松市長は現在2期目。市内の70代のある区長は「県で部長まで務め、行政マンらしい手堅い手腕を期待していたのに残念。追及しなかった市議会にも責任はある」と眉をひそめる。
 市は17日から市内各地で緊急対策に関する市民説明会を開く。

<メモ>
 杵築市は11月26日、「国の財政再生団体に転落する恐れがある」として3年間の緊急対策の原案を公表した。財政調整基金が激減しており「無策だと21年度には枯渇する」と説明。全ての既存事業を抜本的に見直す方針を示した。
※この記事は、12月14日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。
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