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新しい都市の姿「再考」 磯崎新氏インタビュー

 建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した大分市出身の建築家・磯崎新の思想家、芸術家としての側面に迫る「磯崎新の謎」展(大分合同新聞社主催)が大分市美術館で開かれている。同展の開催に合わせて来県した磯崎がインタビューに答えた。

 ―1960年に大分市荷揚町にできた旧大分県医師会館がデビュー作。コンクリート打ちっ放しの建物で街中で異彩を放っていた。当時の思い出は。
 大きなスケールの都市と小さなスケールでの建築を意識的につなぐデザインとしてどのような建物がいいか考えてきた。建設された場所は中島から上野に行く僕の通学路で土地勘があった。
 府内城の堀の近くだったので、突き当たりにあるゲートの役割を担わせようと考え、最も目立つ正面部分が2階にかさ上げされたようなデザイン(ジャイアントオーダー)にするため、あのような形(チューブ型の構造の建物を柱で持ち上げる形)になった。僕の原点といえる建物だが、当時の常識から外れ過ぎていて豚の蚊遣りなどいろいろ言われたのも思い出す。
 ―展覧会の後半は都市論が展開されている。都市の今後の在り方はどうなるか。また大分はどのような都市を目指したらいいか。
 都市がどのように発生して発展したかを研究すると、いつかは「廃墟」になってそこから新しい未来が生まれるという生き物と同じように生死(生成変化)を繰り返しているといえる。情報化が進む近年の状況を鑑みて、都市の姿をもう一度考えようというのが展覧会後半のテーマになっている。
 新しいタイプの都市は100年単位でできているのも特徴。東京もこの100年で大きく変化した。一方で、大分市は古地図などを見ても府内城ができた頃から街区が大きく変化していない。今後、人間の営みに合わせて多少変わっていくだろうが、都市の構造は大きく変わらないのではないか。別府湾に上野の丘、大分川に平地が広がるこの地形は変わらない。高度に情報化して変化していく世界の流れと組み合わせて新しい都市を考えてほしい。
 ―展覧会の見どころは。
 展示している1行の言葉の奥には本1冊分の言葉が、1本の線の後ろには数百本の線があり、その一部が会場に出ているにすぎない。理解してもらえるものでなく、1週間くらい通い詰めてようやく何かが見えてくるくらいでいい。見て、聞いて、歩いて、自分の感性を動員して「何か不思議だな」と感じて、謎を抱えたまま帰ってほしい。
 ―展覧会はさまざまなアプローチで謎に迫っている。大分が自身に与えた影響はどのように考えているか。
 実はそこは僕でもよく分からない部分。そこを解き明かそうと、11月16日にコンパルホールで小説家の小野正嗣さん(佐伯市出身)と画家のユキノ恭弘さん(大分市)とトークをする。
 土地の固有の力「地霊」を一番感じやすいのは文学者だと思っている。一方で僕は時代が持っている雰囲気や精神「時霊」を考えながら、地霊と渡り合うことで建物を造ってきた。一つの例として大分市荷揚町に1966年に完成したアートプラザ(旧県立大分図書館)がある。機能性や合理性を重視する近代建築の流れ(時霊に属する部分)の中で、僕なりに大分の地霊を解釈しながら、一つの切り口を、あの場所で示した。大分ゆかりの作家と話し合うことで大分が僕にどのような影響を与えてきたのか考えてみたい。
 ―大分市名誉市民を受賞した感想は。
 大分とは腐れ縁みたいなもの。都市計画など世界中から来る依頼の10分の1くらいしか受けないが、大分県関係の依頼は断れない。これからも市民から要望があれば協力したい。大分で過ごした幼少時代の味の好みは変わらず、今でもやせうまを自分で作っている。

 ▽「磯崎新の謎展」は大分市美術館で11月24日まで。観覧料は一般千円、高校・大学生700円、中学生以下無料。
※この記事は、10月19日大分合同新聞朝刊6ページに掲載されています。

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