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温泉神社の意外な事実 かつての社殿は春日神社に

 「八百万(やおよろず)の神」といわれるほど多彩な神様がまつられている日本。温泉の守り神が鎮座する神社も各地にある。泉都・別府市で温泉まつりの祭祀(さいし)を執り行う温泉神社は独立した社殿を失ったものの、なお市民の信仰を集める。その温泉神社が来年、創建100年の節目を迎えるという。歴史をたどっていくと意外な事実が判明した。

 市街地を見渡す高台に位置する八幡朝見神社。境内の一角には、いまブームになっている御朱印帳が並んでいた。押印してもらえる御朱印は2種類あり、一つは朝見神社。もう一つは温泉神社だ。温泉マークと別府観光の父・油屋熊八が考案した「山は富士 海は瀬戸内 湯は別府」のキャッチフレーズが目を引く。男性神職は「温泉神社の御朱印は特徴的で、とても喜ばれるんですよ」と笑った。温泉神社のご神体は現在、朝見神社に合祀(ごうし)されている。

 温泉神社についての文献などをまとめると、創建は1919(大正8)年12月21日。場所は青山町の旧別府公園内(現・市営テニスコート付近)だった。12年前に来別した皇太子(後の大正天皇)を迎えるため、当時の別府町が用地を買収して建てた休憩所の建物が社殿になった。
 祭神は▽大歳神(おおとしのかみ)=農耕(水)の神▽迦具土命(かぐつちのみこと)=火の神▽大穴牟遅命(おおなむちのみこと)=国土造りの神▽少彦名命(すくなひこなのみこと)=医薬の神―の4柱とした。朝見神社の神日出男宮司は「水の神、火の神に、医薬の神を加えることで『温泉の神』が誕生したのだろう」と話す。
 戦後の政教分離政策で、公有地の公園内にあった温泉神社は存続できなくなった。この時、ご神体や温泉まつりで巡行するみこしを朝見神社が引き継いだ。
 
 程なく社殿も解体された。建物はすべて廃棄されてしまったのだろうか。長らく行方は知られていなかったが、社殿は思わぬ場所に残っていた。
 春日神社(大分市)の神門をくぐり、朱色の社殿のそばを抜けて境内を進む。奥まった一角にたたずむ焦げ茶の建物が、かつての温泉神社の社殿だ。春日神社は1945年7月の空襲で拝殿などが焼失。先々代の宮司は温泉神社の社殿が不要になることを聞き、ご神体を安置する本殿として譲り受けたのだという。
 その22年後に新たな本殿が完成してからは、みこしを納める蔵として活用している。山本龍司禰宜(ねぎ)は「多くの氏子らの協力で早い時期に復興でき、神社の役割を果たせた。大変ありがたいことだった」と当時に思いをはせた。
 時代に翻弄(ほんろう)されながらも、歴史をつなぐ温泉神社。泉都の平穏を願って手を合わせた。
※この記事は、7月20日大分合同新聞朝刊11ページに掲載されています。
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