ウクライナのゼレンスキー大統領による会見での発言の詳報は次の通り。
ウクライナについて世界中で、特に日本で語ることは非常に重要だ。日本からの強力な支援に深く感謝している。日本の法律に従い、軍事面ではないが戦争開始当初から多大な支援をもらった。エネルギーやインフラ、医療機器などの支援だ。
民間インフラ、特にエネルギーや医療、学校、保育園などの重要なインフラが恐ろしい攻撃を受けている。
強固な安全保障は二つの要素に依存している。シェルターなどさまざまな物理的防衛と、われわれにとって極めて重要な防空システムだ。日本は攻撃用ではなく、防衛用のミサイルを製造している。この点において高市早苗首相が(供与に向けた)対話の道を開く決断をするなら、ウクライナにとって非常に有益だ。
ウクライナ側から技術面で交流する用意もある。われわれはロシアの攻撃用無人機やイランの無人機、弾道ミサイルといった新しく近代的な攻撃手段と戦っている。日本や米国、欧州にとって、何が有効で、何が有効でないのかを確認するのは困難だ。われわれの軍はさまざまな種類の兵器を戦場で検証してきた。
多くの国々のほか、地対空誘導弾パトリオット、ドイツ製防空システム「IRIS―T」、「ホーク」などの旧式防空システム、ノルウェーと米国が共同開発した地対空ミサイルシステム「NASAMS」など各種ミサイルを製造する企業に対しても、非常に有効だったり、中には無効だったりしたものに関し、詳細な情報を公にしてきた。国民の命という最も高い代償を払った。
この知見は非常に重要だ。日本にとって大いに役立つだろう。今、ロシア領内に1万人の北朝鮮兵士がいる。彼らは最新のハイブリッド戦争の知識を習得して戦っている。極めて危険だ。彼らはミサイルや、一人称視点(FPV)型から長距離飛行型までさまざまな無人機から防御する方法を把握している。彼らはどう活用するだろうか。少なくとも知識と経験を北朝鮮に持ち帰るだろう。
(日本との防衛協力に関する具体的な議論は)始まっていない。首脳同士で会談した後、あるいは電話会談を経て決断することもできるが、深い議論はまだだ。エネルギーや人道支援など他の分野では日本政府の代表とうまく連携できている。駐ウクライナ日本大使には感謝している。
ただ、新たな歴史的ともいえる知見の共有や協力に前向きに臨むとすれば、閣僚や政府間、高市首相と私の間、あるいは防衛機関のレベルで行わなければならない。非常に大きな仕事だ。
この戦争中、特に厳しい冬の間、長期にわたる大規模な攻撃を受けている状況下では、当然ながら防空こそが最重要の課題だ。市民をどう守るか。軍隊の強化は何より大切だが、市民について、あるいは国家をどう維持し機能させるかについて考えれば、最優先となるのは防空だ。
他国、特に弾道ミサイルを撃墜できるミサイルやシステムを製造したり、ライセンスを保有していたりする国との協力が必要になる。これを実現できる国は世界に数カ国しかなく、日本はその一つだ。共同生産や知見、ライセンス、技術を共有するため協力したいと望んでいる。
われわれは極めて重要な技術をオープンにする用意がある。例えば無人水上艇だ。黒海に展開するロシア艦隊の一部を無人水上艇で破壊することができた。日本や、海からの攻撃リスクを抱える国々に対し、ウクライナが提供できると考える大きな協力であり、共有する用意がある技術だ。実際の大きな戦争の中で、どのように機能するかを示した。無人水上艇の能力により、今やロシア艦艇はわれわれの沿岸には決して近づかない。
(日本にとって役立つわれわれの知見は)数千のサイバー攻撃に耐え抜く方法というのが一つ。そして高価な大型無人機やミサイルを破壊する安価な無人機の大量生産技術がある。エネルギーインフラは非常に難しい課題で困難な状況を強いられたが、最初に迎えた冬の深刻な停電の後、なんとか生活を維持することができた。エネルギー(供給)の分散化で、来月あるいは来冬にはより強靱になっているだろう。
この知見は非常に重要だ。われわれはロシアがインフラやエネルギー施設、水道などを攻撃してくると理解している。パートナー諸国の強力な支援を願っている。冬が終われば、ロシアはあらゆる所を狙ってくる可能性がある。寒さが厳しい冬にエネルギーを標的にするなら、夏も戦争が続いている限り水の供給源などを攻撃するだろう。暑いからだ。ロシアの思考、正体を理解している。
北朝鮮について述べたように、日本政府も戦争を生き抜く方法について情報を得られる可能性がある。日本が戦争に直面するという趣旨ではないが、知識は重要だ。知識のために私たちが払った代償について述べたように、非常に高く、値段が付けられないものだ。
無人水上艇について、ウクライナには必要とする以上の生産能力がある。最も緊密な協力となり得る。海に面した多くの国々が無人水上艇について情報を求めている。
ロシアが1万人の北朝鮮人を使ったのと同じように、ウクライナは希望するパートナー国に対し、訓練のために自国領土を提供する権利がある。開戦当初、われわれは欧州各国のトレーニングミッションによって訓練を受けてきた。深く感謝している。戦争が進むと、知識を求め、戦争の経験を共有してほしいと求めてくるようになった。
ロシアに北朝鮮兵士がいるのであれば、ウクライナに来てこの知見を共有する可能性を日本が得ることは正当だ。エネルギー施設と防空に関して日本から提供を受け、戦争で得た知識を日本に提供することができる。
(高市首相との会談は)大歓迎だ。明日にでも。実現できるかは分からないが、できる限り早く検討することは可能だ。両国に重要で、ウクライナにも大切だ。いかなる形式でも、主要な会合やサミットの際に会談する用意もある。2国間関係に焦点を当てられればより有益だ。
ロシアのエネルギーに長年依存していた国として言えるのは、ロシアはそれを武器として使うということだ。ロシアはウクライナのインフラについてガス供給や貯蔵施設などを全て把握している。ガスシステムの一部で協力関係にあり、攻撃するとは夢にも思わなかった。ところがロシアは攻撃し、ガスインフラを全て破壊した。(ロシアからガスを輸入する)日本も安心できないと私が考える理由だ。
(輸入は)日本の権利だ。ロシアからガスや石油の輸入を続ける国々とも引き続き協力するつもりだ。もちろん、もし輸入を停止することができれば日本はより自立することになる。私たちにとってはそれが正義だ。
米国は交渉で、常に戦争をできるだけ早期に終結することができれば喜ばしいと述べてきた。ウクライナは人命と時間を失っているからこそ戦争を終わらせたいと考えている。米国の立場を支持していることは米国も理解している。米国にはロシアに戦争終結への圧力をかけてほしいが、ロシアに受け入れる準備があるかどうか確信はない。
政治的意思があれば迅速に対応できる。数カ月で可能と考えるが、ロシアの指導者の意思次第だ。ロシアは米国や世界をもてあそんでいる。戦争を終わらせたいと言いながら、本当は望んでいない。ロシアへのより強い圧力が必要で何日、何週間あるいは何カ月かかるかは米国次第だ。迅速かつより強力に圧力をかければ、戦争終結への最終段階が訪れるだろう。
(進展がなければ停戦交渉から距離を置く可能性を含め)米国は対応を選択できる。私は米国が交渉プロセスにとどまることを望む。ウクライナだけでなく、ロシアにも米国にとっても重要だ。米国は世界の民主主義のリーダーだからだ。戦争を止め、プーチン(ロシア大統領)を止めることは民主主義を守ることを意味する。
米国内の問題としても重要なのは、トランプ米大統領が「戦争を止められる」と述べ、実行すると宣言していることだ。もちろんトランプ氏だけでなく、ロシアとウクライナの意思にかかっている。ウクライナは戦争を止める意思を示しており、準備はできている。
サウジアラビアで米国が提案した無条件停戦をウクライナは即座に支持した。ロシアは(米アラスカ州)アンカレジでの米ロ首脳会談を実施した。詳細は分からないが、平和は実現していない。
ウィットコフ米和平交渉担当特使と(トランプ氏の娘婿)クシュナー氏は、3カ国協議を組織した。20項目の和平計画の作業を始め、結論に近づいている。結論と言ったのは肯定的でも否定的でもなく、ロシア次第だからだ。
ロシアは、われわれの軍や兵士、法によって支配されている地域も含め、単に領土を奪おうとしている。私たちの土地であり、だからこそ今、妥協点は見いだせない。米国は妥協点を探ろうとしており、私は双方が妥協点を見つけることが鍵だと考える。
われわれは真の妥協には応じる用意があるが、独立と主権を損なう妥協はできない。戦争初期からの仲介役や仲介を試みた多くの国、特に中東やアジアの各国、親ウクライナでない国々もロシアが侵略者だと認めている。侵略者と妥協について話し合うこと自体が私たちにとって大きな妥協だ。ロシアに「われわれの領土から完全に撤退せよ」とは言っていない。このことは正当であり公正だ。
現状維持が大きな譲歩だ。ロシアはウクライナ領土の20%ほどを占領した。現状維持を前提に和平交渉に応じる用意がある。
ロシアが妥協点として何を提示したか。次なる地域を占領しない用意があると言っただけだ。「殺さないから全てをよこせ」と言葉にして発するのはテロだ。それは何を意味するのか。妥協ではなく、最後通告だ。ウクライナの主権と領土の一体性、軍や国民、子どもを尊重する妥協には応じる用意があるが、最後通告には応じないと言ったのはそういう理由だ。
領土から撤退することはできない。それが本当の防衛ラインだ。侵攻以前からドンバス地域で構築してきた。一部が占領されたことは確かだが、この地域は都市と兵士、要塞に守られている。撤退はできない。そこで暮らす20万人はどうすればいいのか。
(次期大統領選の実施は)戦争終結を形にすることができ、双方が停戦への政治的意思を見いだし、侵略者が(米国を含む)三者間で文言を最終調整して署名すれば、法にのっとって直ちに(大統領選を)実施する。平時なら2カ月で十分だろう。現状は治安情勢が不透明だ。治安がどうなるか分からず、兵士がどのように投票するかも不明だ。
いずれにせよ平和が実現すればできる限り早く実施する。しかし、パートナーの国々が戦時中に実施するよう問題提起すれば、ウクライナ社会にとって大きな負担となる。正直に言えば、これは米国やロシア、欧州の選択ではなく、ウクライナの選択だ。投票するかどうかはウクライナ国民、一人一人が決める。
現行法では戦争中の投票は認められておらず、いずれにしても法律を改正する必要がある。だから私は何度も強調してきたように、米国が選挙を実施したいならロシアに最低2カ月の停戦に応じるよう要求すべきだ。そうでなければ実施できない。今回はもっと長い期間が必要と考える人が多いが、非常に重要な選挙なら実施できるだろう。
私たちは選挙に焦点を当てていない。外国メディアは話題にするかもしれないが、焦点はいかに戦争を終結させるか、平和ということにある。平和が最優先で、選挙は2、3番目だ。私が出馬するか否かも問題ではない。最も重要なのは戦争を終結させることだ。ウクライナの人々は感情的で、すぐに自らの選択を示す。私については何よりもまず戦争をどう終わらせるかだ。
(ドンバス地域に自由経済地域を設ける件について)米国側と話し合う用意があり、既に伝えている。もし単にウクライナ兵を撤退させ、この作戦に立派な名前を付けるだけなら支持しない。しかし自由経済地域について話し合うなら、防衛ラインが設けられ、米国か他国か、国際部隊が配置され、現在の前線で安全を監視するということであれば、議論は可能だ。
ウクライナは平和を望んでいない、と米国に言われたくはない。だからこそ米国のイニシアチブを支持し、対話に臨む用意がある。ウクライナの領土の一体性を尊重するものであれば支持する。現時点で戦争を迅速に終結させる最善策は現状維持であり、いかなる特別地域も設けないことだ。
特別地域は戦争が終結し、投資や特別税制を適用する地域が必要となった段階で検討されるべきだ。復興や次なる段階の話で、戦争を終わらせる方法、戦闘を止める方法を見つける方が賢明だ。現状維持が事態を管理する上でより理解しやすい。本当に戦争を止めたいなら、駆け引きをしないことがより賢明だ。
(現在の前線は)東部については、ドニプロ川沿いなのか黒海沿いなのかは別の問題であり、状況次第だ。だからこそ、現状維持が最速の解決策だと述べた。既に双方の住民の安全を考慮した位置にとどまっており、これが賢明な選択だ。さもなければ、1キロごとに異なる決定を下すことになり、その内容は大きく異なる可能性がある。
現在の前線が都市中心部にある場合、もしウクライナが撤退すれば、即座にグレーゾーンに陥る。人々がそこに住み続けるか、あるいは移住してくるかは不確かで、双方から挑発が起きる可能性がある。つまりロシア側から挑発があれば、ウクライナが応じ、戦闘状態になり得る。
海でも同様だ。ウクライナが今、海上に保持する領域は無人水上艇で防衛している。食料安全保障のための海上回廊を守っている。ロシア船は来られない。しかし停戦となれば、われわれは戦えず、ロシアも戦えない。彼らの船が来るかもしれない。だから監視が必要だ。日米欧や中国など多くの国が衛星を持ち、位置を把握できる。
ウクライナの戦略は独立を失わないということだ。ロシアが撤退し再侵攻しないと誰もが確信しても、ウクライナは信用しない。だからこそ安全の保証が必要だ。欧州や日本、中東諸国は、ロシアを理屈でしか止められないと考えている。ウクライナが米国と有志連合による安全の保証を必要としており、それがロシアを止めることになる。
ロシアは軍隊の刷新が必要だ。十分に訓練された人材を育てる時間がなく、多くの将校や訓練された人材を失った。ウクライナも多くの損失を出したが、ロシアの損失ははるかに大きい。
約150万人かそれ以上(の兵力)を失い、その半数は戦死したとみている。毎月4万3千人を動員しているが、そのうち2万5千人が戦死し1万人が重傷を負っていると想像できるだろうか。つまり毎月3万~3万5千人を失っている。
ロシアは防空システムを豊富に保有している。ウクライナの装備は旧ソ連時代のものばかりで不足している。ロシアはウクライナの無人機の多くを撃墜できるが、全てではない。反撃を開始し、ロシア経済に打撃を与えている。
「どれくらい時間がかかるか?」と問われても分からない。ロシアは人命を顧みない。150万(の兵力)を失っても、さらに200万、300万の犠牲を出す覚悟があるとみている。損失が日々膨らむにつれ、ロシアは兵士の給与を減らし始める。ロシア経済が停滞の始まりに向かっていることを意味する。
情報機関が18日に示した分析では、ロシアは今年1330億ドル(約20兆6500億円)の赤字を抱える見込みだ。昨年は1010億ドルだった。赤字は拡大するだろう。
確かにまだ十分な資金はあるだろう。残念ながら多くの国々が制裁回避を手助けしている現状は認めざるを得ない。中国が筆頭で、インドもエネルギー面で、北朝鮮も砲兵装備やミサイルで支えている。イランも支援した。
だから、いつまで続くか分からない。(ロシアが)この戦争を止める決断をすることを願う。ロシアの経済・金融セクターに関する概要も把握している。秋には銀行システムと国民に深刻な問題が生じるだろう。人々が銀行から預金を引き出し始めているからだ。
(日本のウクライナ支援では)防空分野に特化してほしい。パトリオットやミサイルなどだ。防空分野における支援はいかなる形でも非常に有益だ。
私たちは今日を、明日を、どう生き延びるかを考えている。5日後はどうなるか、それは5日後に分かるだろう。一方で、大統領は今日から遠く離れた目標を考え、見据えなければならない。私は強くて独立したウクライナを見据えている。ロシアより小さいが、敗者にはならない。ウクライナが始めた戦争ではないからだ。戦争は始めた国だけが負けるべきで、それがより公正だ。
いつ実現するかは分からないが、ゴールは必ず訪れる。私にはそこに到達するためのエネルギーが必要だ。国が抱えるのと同じ困難を私も背負っている。信念を失わず、ルーツを失わず、愛を失わず、そして最も重要なのは、人間としての心を失わないこと。これらが私のルールだ。
高市首相に祝意を伝えたい。選挙に勝ち多数派を得た。お会いできるのを楽しみにしている。 (共同)
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