大分県内で唯一の犯罪被害者支援団体「大分被害者支援センター」が設立されて今年で10年。被害に遭った人や遺族からセンターに寄せられる相談は年々増え、支援の充実が求められている。県内の被害者たちの“今”や支援の課題を取材した。
※大分合同新聞 朝刊社会面 2013(平成25)年8月22日~30日掲載
このまま殺されるかもしれない。そう感じて体が固まった。逃げ出したくても逃げ出せない。声を上げることもできなかった。あの恐怖は、体験した人でなければ分からない。 ◆降格告げられ憤り 大分県内に住むサキさん(30代、仮名)。20代の...
◆「まさか我が子が」 数年前に娘が性犯罪の被害を受けたユカリさん(仮名)に、母親としての思いを書面で寄せてもらった。「子どもの心に残ったものが、いつ、どのような形で恐怖として出てくるか分かりません」。ユカリさんは、事件が娘の将来にどんな...
◆自筆はわずか数通 「心からおわび申し上げます」「できる限りの償いをしていきます」 今年6月、手元に届いた手紙を開くと、こんな言葉がつづられていた。当時15歳だった加害者の元少年(28)が久しぶりに自分で書いたと思われる反省文は、便...
◆通事故の遺族 7月の日曜の午後。大分市内の一室で、50代の男女3人がテーブルを囲んでいた。皆、交通事故で親や子どもを失った被害者遺族だ。「ここは心を開ける場なんですよ」。80代の母を亡くした真一さん(55)=仮名=が語ると、向かい合っ...
◆「法の矛盾」痛感 「飲酒運転で人身事故を起こした加害者が救急車を呼ばず、自己保身のために逃走してしまうケースが後を絶たない。それは国が法律の抜け穴を見逃してきた結果に他ならない」。6月21日、東京・永田町。衆院法務委員会で意見陳述に立...
▼年々増える相談 トゥルルルル……。大分被害者支援センター(大分市)の相談電話が鳴った。受話器を取るのは、専門的な訓練を受けたスタッフ。殺人、性暴力、交通事故など、さまざまな犯罪被害者の“SOS”を受け止める。 「まさか自分が事件に...
◆制度も様変わり 7月に設立から10年を迎えた犯罪被害者支援団体「大分被害者支援センター」。設立時からトップを務める金子進之助理事長(73)に、10年間の成果や課題を聞いた。 ――これまでの活動をどう評価していますか。 「『...
◆裁判で思い代弁 弁護士といえば、かつては容疑者・被告の弁護に当たるイメージが強かったが、県弁護士会が2000年、内部に被害者支援センターを立ち上げるなど、近年は被害者の支援活動にも力を入れるようになった。ドメスティック・バイオレンス(...
◆コンサートに出演 犯罪被害者支援団体「大分被害者支援センター」のチャリティーコンサートに毎年、出演しているアマチュアフォークバンド「ディアフレンズ」。リーダーの森進一郎さん(63)=大分市=に、被害者支援に対する思いを聞いた。 ...
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