少子高齢化と市町村合併、政権交代の大きな波の中で、今後の大分県をどうつくっていったらいいのだろうか。大分県の「今」を見詰め、課題解決の糸口を探った年間企画。
※大分合同新聞 夕刊1面 2011(平成23)年1月1日~12月23日掲載
私たちはきっとまちを変えられる――。「だれもが安心して暮らせる大分県条例」づくりで、アンケートの聞き取り役の1人を務める日出町の福祉団体スタッフ川野陽子さん(32)はそう信じている。 全身の筋肉が萎縮する進行性の難病と闘う川野さん。か...
認知症になっても安心できる社会を――。大分合同新聞とNHK大分放送局は共同企画番組「ししまるTV10月号~どうする?大分の認知症」(7日放映)で、認知症の本人や介護家族をどうやって地域で支えていくかを討論形式で考えた。番組の概要と、取材に...
認知症と聞くと、どういうイメージを持ちますか? つらい、怖い、かわいそうなど、どちらかといえばマイナスイメージが多いのではないのでしょうか。 私自身、「怖い」というイメージがありました。子どもの頃、優しかった祖母が糖尿病を患ったの...
年間企画「描く」第8部「生きる」(後編)では、さまざまなバリアーに囲まれた障害者や家族の実情を踏まえながら、誰もが安心して暮らせる大分県を目指す条例づくりの動きを追った。番外編では県外の事例や関係者へのインタビューを紹介する。 ...
障害者やその家族、福祉関係者らが集まり今年6月に発足させた「だれもが安心して暮らせる大分県条例」をつくる会。条例づくりの目的や意義などについて、共同代表の一人として会をまとめる弁護士の徳田靖之さん(67)=別府市=に聞いた。 ――...
「みんなと会話をしても話が弾まず、一言で途切れてしまう」。連載で取材した日出町の福祉団体スタッフ川野陽子さん(32)は、県内の短大に入学した頃の出来事をこう振り返った。 全身の筋肉が萎縮する難病と闘い、生活には車椅子や介助者が欠かせな...
「笑顔の村」を、みんなで守り続けたい。その思いは変わらない。 日田市中津江村の坂本休さん(81)。旧中津江村長だった2005年2月に自ら立ち上げた財団法人「中津江村地球財団」の理事長として、今も地域の顔だ。 毎朝、暗いうちから村の...
「寒くなったからね。シチューのルーはある?」。11月初旬、日田市中津江村の道の駅「鯛生金山」。その一角にある日用雑貨の店「カメロン」に、地元の上田タマヱさん(65)が訪れた。 4人ほど入ればいっぱいの小部屋に、砂糖や塩、レトルト食品、...
食堂の壁に残る黒板が、かつての姿を物語る。大分市今市にある市の宿泊研修施設「いまいち山荘」。11月上旬、管理人の伊東信子さん(60)と夫の盛夫さん(62)が、合宿に訪れた少年野球チームの子どもたちを笑顔で迎えていた。 「ここは緑豊かな...
「こんなことでもないと、人が出てこん。普段のまちは静かなものよ」。大分市佐賀関の漁業渡辺ミツヨさん(71)は、ぽつりとつぶやいた。 5、6の両日、同地区の市民センターであった「佐賀関ふるさとまつり」。渡辺さんらが近海で捕った旬の魚など...
若い力に満ちていた。 11月上旬、佐伯市の居酒屋。30代を中心とする男性12人が地域づくりの在り方などについて語り合う。 「年2、3回は大きなイベントができるんじゃないか」「一から始めるより、今ある行事を盛り上げていくべきだ」。酒...
徐々に色づいてきた木々を眺めながら、山道をのんびり歩く。「初めて来たなあ」「こんなにいい所があったのね」。市内外から集まった男女30人余りに笑顔が広がった。 11月上旬、日田市中津江村。「中津江の屋根」と呼ばれる標高700mの石場集落...
柔らかい光が差し込む部屋で、若い母親たちの会話に花が咲き、子どもたちが元気に駆け回る。 玖珠町塚脇の玖珠自治会館内にある「母子サロン」ルーム。住民団体「玖珠地区コミュニティ運営協議会」が会館の新築を機に今年1月に設けた。地区では以前か...
町の財源移譲を受けて、母子サロンや健康教室開催などの地域づくりに取り組む玖珠町4地区のコミュニティ運営協議会。関係者が10月に参加した先進地視察で「ここはすごい」と舌を巻いたところがある。 「やねだん」。地元の方言でそう親しまれる、鹿...
何か手を打たなければ、ごみごみした町になっていくばかり。そんな危機感があった。 年間約365万人の観光客でにぎわう由布市湯布院町。町中心部の目抜き通り「湯の坪街道」周辺には、全国的にも珍しい、住民主導で作った独自の景観ルールがある。 ...
市民の「監視の目」が、議場に向いていた。11月下旬、佐伯市議会の定例会。傍聴席に座った後藤佳喜さん(63)=同市鶴岡町=が決算認定案の審議を見詰めながらメモを取った。 市議会が昨年12月に導入した「議会モニター」の1人。会社を早期退職...
私たち市民は、まちの将来を行政や議会に「白紙委任」してはいないだろうか。そんなもどかしさを、ずっと抱えてきた。 豊後大野市三重町で法律関係の仕事を目指す阿南静治さん(32)。愛媛県内の大学で学び、6年半ほど前、親の介護のため帰郷。市が...
年間企画「描く おおいたの未来像」最終部の第10部は「ひらく」(後編)をテーマに、未来を切り開くために私たちは地域とどう関わっていけばいいかを探った。番外編では県内外の事例やインタビューを通して考える。 放っておけば寂れていくば...
自主財源で公共インフラを整えるなど「行政に頼らないむらおこし」を実践する鹿児島県鹿屋市串良町の「柳谷集落」(通称・やねだん)。過疎・高齢化に悩む小さな集落を全国が注目するまでに導いたリーダー、柳谷自治公民館長の豊重哲郎さん(70)に聞いた...
「自治は自分のためであり、他者や社会のためでもある」と、熊本県立大学名誉教授の荒木昭次郎さん(71)=熊本市=は言う。1970年代後半、行政や住民などの「協働」という概念を日本で初めて紹介した学者に聞いた。 ――住民による自治とは...
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