「場所」は誰でもつくれる。でも「場」は、運営でしか育てられない。15年の現場が教えてくれたこと、そしてBASK Inc.を立ち上げた理由。

「場所」と「場」の違い

不動産の仕事をしていると、「場づくり」という言葉をよく耳にします。

ただ、この言葉を本当の意味で理解している人は、意外と少ないように思います。


私なりの定義としては、「場所」とは、まだ人の流れが生まれていない、機能を果たすだけのただの"器"で、「場」とは、人が集い、感情が交わり、温度とストーリーが宿る"生きた空間"となった場所です。

たとえばカフェ。そこに人の流れがなければ、カフェという機能を果たすただの箱にすぎません。けれど、人が集まり、会話が生まれた瞬間、その空間に温度と空気、そしてストーリーが宿ります。



「場所」は設計でつくれます。

でも「場」は、運営でしか育てられません。

私はこのことを、15年間の不動産の現場で何度も、何度も、目の当たりにしてきました。

シェアオフィスが「珍しかった」時代から

まだシェアオフィスやクリエイティブオフィス、リノベーションという言葉が浸透していなかった2010年頃、私は社員2人の小さな不動産会社に入社しました。

古いビルを再生し、クリエイターやスタートアップ企業が集まれる場をつくる。

当時は「そんなに需要があるのか」と懐疑的に見られることも多かったのですが、時代は確実にそちらへ動いていきました。

15年経過する中で、その会社は上場し、社員100名近くになっていました。

私はその間、企画・リーシング・運営管理・PR等、不動産現場のほぼすべてに関わり続けました。

その経験の中で積み上がっていった確信があります。

「空間の価値は"人"で決まる。そして"人"を動かすのは、運営次第である」ということです。

どれだけ設計が美しくても、どれだけ収支が整っていても、そこにいる人たちの関係性が冷えていたら、空間はどこか寂しくなります。そして数年後、稼働率や賃料は静かに落ちていきます。

逆に、少し不恰好でも、少し荒削りでも、そこに温度のある関係性があれば、場は生き始めます。


「売り買いの場」を「体験・共創の場」に変えたプロジェクト

前職時代、あるプロジェクトが私の確信を決定的なものにしました。

コロナ禍の影響とECの普及でどの商業施設も、来店者や出店者が激減していた時期に実施したある商業施設のリブランディング案件です。

「これからの新しい商業施設モデルをつくりたい」というクライアントの声から始まったプロジェクトでした。

私たちが目指したのは、従来の「売り買いの場」から「体験・共創する場」への転換でした。

大切にしたのは、ショップメンバー同士のつながりとお客様とのコミュニケーションです。同じフロアにあるショップはライバルではなく、このフロアを盛り上げる仲間としてコミュニティを形成していきます。隣のショップスタッフが席を外すときは代わりに店番をする。お客様に他のショップのおすすめを紹介する。そんな小さな積み重ねが、場に「温度」を生んでいきました。

その結果、お客様との関係性が作られたり、思いもよらない出会いが生まれたり、また来たくなる循環が育っていきました。



しかし同時に、限界も見えてきました。

運営の仕組みは平準化できても、「信頼関係」は属人的です。

担当者が変わると、積み上げてきた関係性はリセットされてしまいます。思想が伝わりきらなかったり、熱量が薄かったり。。。

これは商業施設だけの話ではありませんでした。不動産業界全体の構造的な問題です。

一般的に不動産事業は、開発側は竣工時または満室稼働でバトンを渡し、運営は別の会社または別の部署が担います。

どれだけ良い思想で企画しても、運営フェーズで人が変われば、場の温度や運営者の熱量は下がっていきますし、運営者側から見た時に「実態の伴わない思想だけの企画」となっている場合もあります。

また、運営をシステム化や省人化することで、ランニングコストを極力減らすという選択肢もあります。事業を考える上で、経費削減は大切なことなので、多少は仕方ないことかなとは思いますが。。。「経営者と運営者のジレンマ」といったところでしょうか。

竣工時が価値のピークになる

私はこの矛盾を、他社の不動産現場で何度も目の当たりにしてきました。そしてずっと感じていました。「良い空間を維持するには、企画した人間が、運営まで一気通貫で担える仕組みが必要だ」と。


なぜ、「食の会社」でBASKを立ち上げるのか

2025年12月、15年間在籍した会社を退任しました。

その直前から、私は株式会社イートクリエーターの永砂と話し合いを重ねていました。イートクリエーターは2019年設立、まだ7年目の会社です。しかし日本橋兜町で、ease、Neki、teal、BANK、高輪ゲートウェイのLOOPSといった飲食店を次々と立ち上げ、「食」を通じて街に人を集め、コミュニティを育ててきました。

兜町という街が、この数年で確実に変わりました。その変化の中心に、イートクリエーターがいました。

その空間づくりとイートクリエーターで働く人たちを見たとき、私は直感しました。

これだ、と。

不動産のハードの企画力と食のコンテンツ力、事業性を担保する不動産管理の目線と飲食店のホスピタリティや人間関係などのソフトの運営力。

これらを開発の初期段階から一体化させることができれば、竣工後も熱量の高い空間をつくることが可能だと。

私が15年間、現場で感じ続けてきた「足りないもの」の答えが、ここにありました。



食の会社が、なぜ不動産領域に踏み出すのか

BASKはイートクリエーターのグループ会社として生まれました。もう一人の代表取締役、永砂智史はその理由をこう話します。

「食を通じて人と人の関係性が生まれる瞬間を、ずっと現場で見てきました。一皿の料理が運ばれてくるその瞬間に、テーブルの上で何かが生まれる。その時間が生む幸福度こそが街の価値だと信じてきました。でも、街を形づくるのは飲食店だけじゃないんですよね。オフィスも、ホテルも、住宅も、商業施設も、すべては『誰とどう過ごすか』でその意味が決まる。だとすれば、食以外の領域に出ていくのは自然な流れでした。渡邊と知り合い、対話を重ねることで、通じるものがありました。効率化が進む時代だからこそ、あえて手間をかけて、関係性を育て続ける会社を作りたい。そう思ったのです」


不動産開発の主語を『建物』から『コミュニティ』へ。その確信がイートクリエーターにはありました。

私が不動産の現場で15年感じてきたことと同じような景色を、永砂も食の現場で見ており、お互いに対話を重ねることで、不動産開発への課題や、目指したい場所が鮮明になっていった。それがBASKを一緒につくろうと決めた理由です。

街づくりは、ハードからソフトの時代へ

「コミュニティキャピタル」という言葉を、私たちBASKは事業の核に据えています。

人と人のつながり、仲間との時間、地域への愛着、そこから生まれる関係性を「資産」として捉え直す考え方です。

空室率の低下や賃料の維持は、テナントがその場所を「コスト」ではなく「価値ある居場所」として選び続けるかどうかで決まります。

その選択を左右するのは、スペックや立地だけではありません。

その場にどんな人が集まり、どんな文化が育っているか。人と人とのよりよい関係性、それがコミュニティキャピタルの正体です。


ハードだけでは成り立たない時代になりました。

これからの不動産開発に必要なのは、ソフト(運営・コミュニティ・文化)を最初から設計に組み込む発想です。


そしてそれは、デベロッパーやオーナーへの批判ではまったくありません。ハードを磨いてきたプロフェッショナルたちと、ソフトを磨いてきた私たちが組むことで、これまで業界が届かなかった場所に、一緒に届くことができると思っています。


「誰と、どう過ごすか」を、インフラにする

BASKを立ち上げた理由は、突き詰めるとシンプルです。

人生の豊かさは、「何を持つか」よりも「誰と、どう過ごすか」で決まります。これは40歳を超えて、自分の人生を振り返ったときに出てきた実感です。

「誰と、どう過ごすか」は偶然や運だけでは決まりません。

人との出会いは、"場"によって編集されています

どんな場所に身を置くかで、出会う人も、交わす会話も、育まれる価値観も変わります。空間はただの箱ではなく、人間関係を生み出す装置です。


だからこそBASKは、建物をつくる会社であると同時に、関係性を育てる会社でありたいと思っています。

良い場には良い人が集まります。良い人が集まる場は、やがて文化になります。

企画から運営まで一気通貫で担い、竣工後も責任を持って“場”に関わり続けます。そうすることで、時間とともに価値が積み上がり続ける場を、パートナーの皆さんと一緒につくっていきます。


BASKは、まだ始まったばかりです。でも、ひとつだけ確信しています。

「場所」は設計でつくれます。でも「場」は運営でしか育てられない。そして、人と人との良い関係性や熱量が不動産の価値を押し上げていく。その信念を、不動産開発の現場で実証していきます。

 


株式会社BASK

不動産開発を「建物中心」から「コミュニティ中心」へ。

運営一体型プロデュースカンパニー。

HP:https://bask-inc.com/

IG:@bask_inc_


<本件に関するお問い合わせ>

担当:渡邊

TEL:03-6667-0838

MAIL:pr@bask-inc.com


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