「医療の量」から「生活の質」へ。 薬局を起点に地域医療の「つながり」を再設計する
株式会社ファルモ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:広井嘉栄、以下「当社」)は、薬局に日々蓄積される「生活の中の医療データ」に着目し、個別最適になりやすい地域医療が、自然とつながる仕組みをつくることを目的として設立されました。
日本の医療は今、大きな転換点にあります。これまでの「医療行為の量」を追求する時代から、「医療の結果(アウトカム)」と「持続可能性」を重視する時代へと急速にシフトしています。 この変化の中で、ファルモが一貫して抱いてきた問いは、医療を単なる治療の連なりとしてではなく、成果を生み出すひとつの「構造」として捉え直す必要があるのではないか、というものでした。

■ 創業の原点──「現場の努力」ではなく「構造」に向き合う
代表の広井は、薬学部を卒業後、IT企業を経て大学で研究に携わる一方、調剤薬局の現場も経験してきました。 医療データの構造や標準化に向き合う研究と、患者の生活に向き合う現場。その両方を行き来する中で、次第にある一つの疑問を抱くようになります。
「医療が抱える課題は、医療を取り巻く『構造』そのものにあるのではないか」
現場の献身だけでは超えられない壁を、仕組みで解決したい。これが、ファルモの挑戦の始まりでした。
■ なぜ、地域医療は「個別最適」になってしまうのか
日本の医療には、患者を中心に医師、歯科医師、薬剤師、看護師、コメディカル、保険者、行政、卸、製薬会社など、多様なステークホルダーが存在します。 しかし、原資が限られる既存の制度(診療報酬等)や分断されたシステムの中ではどうしても各者が自らの領域を効率化する「個別最適」に陥りがちです。構造上、それぞれのステークホルダーが最適化を目指せば目指すほど、地域全体としての連携はコストとなり、後回しにされてしまう。
しかし、視点を「医療行為(プロセス)」から「治療の結果(アウトカム)」に移すと、景色は一変します。 「地域全体の健康を守る」「重複投薬を減らす」「適切な医療費で最大の効果を出す」。これらの目標は、1施設だけの努力では絶対に達成できません。ファルモは、個々の努力に頼るのではなく、デジタル基盤を通じて「協力した方が、明らかに成果(アウトカム)が出る」という「協力の合理性」を地域に実装することを目指しています。
■ 協力を生むための社会資本
協力を生むための共通言語となるのが「データ」です。その起点として、私たちが選んだのが薬局でした。 医療機関が詳細に把握できるのは、診察室や入院中といった「非日常」の時間です。
しかし、処方された薬が正しく飲まれているか、副作用が出ていないか、実際に健康につながったかという「結果(アウトカム)」の大部分は、退院後の「生活の中」にあります。 薬局は、生活者の住まいに最も近い医療拠点であり、この「生活の中のアウトカム」が自然に蓄積される地域医療の接合点です。 このデータを地域全体で活用するためには、特定のメーカーやシステムに縛られない、公共性の高い立ち位置が不可欠です。
ファルモは、あえてレセコンや電子薬歴といった「基幹システム」を持たず、今あるシステムをつなぐ「結節点」に徹することで、メーカーの垣根を超え、あらゆる薬局が参加できる中立的な環境を整えています。 データを囲い込むのではなく、「協力を生むための社会資本」として共有する。 そうすることで、生活の中の事実が再び診察室の医師へと還り、次回のより良い治療へとつながります。自治体はエビデンスに基づいた政策を実行でき、患者を中心に様々なステークホルダーが全体最適に向けて協力できるようになります。

■ 事例:競争を超え、データで「対話」を始めた地域
私たちの仮説は、すでに具体的な成果を生み出しています。北海道名寄市と山形県酒田市の事例は、データが地域の共通言語となった時、どのような変化が生まれるかを証明しています。
事例1:北海道名寄市 ── 「見えないリスク」を地域全体で可視化する
北海道名寄市では、地域薬剤師会や基幹病院と連携し、AMR(薬剤耐性)対策に取り組みました。抗菌薬の不適切な使用は、将来薬が効かなくなる耐性菌のリスクを高めますが、医療機関や薬局からは「地域全体でどれくらい抗菌薬が使われているか」が見えにくく、対策が遅れがちでした。 そこでファルモのシステムを活用し、地域の薬局に集まる調剤情報を統合・可視化しました。これにより、地域医療を担う医療関係者が「今の地域の処方実態」という客観的な事実を共有できるようになりました。その結果、感覚的な議論ではなく、データに基づいた適正使用のサイクルが回り始めています。これは、一人の医師、一店舗の薬局だけでは決して実現できない、地域全体の健康を守るための公衆衛生的アプローチの実践です。
事例2:山形県酒田市 ── 「コスト削減」から「質の標準化」への転換
山形県酒田市では、三師会・中核病院などが中心となって地域単位で作成する推奨医薬品リスト(地域フォーミュラリ)の策定・運用が進んでいます。 従来、こうした議論は「医療費削減」の文脈で語られがちで、現場の反発を招くこともありました。しかし酒田市では、薬剤師会、医師、保険者といった立場を異にする関係者が同じテーブルにつき、ファルモが集約した実態データをもとに建設的な対話が行われています。 ここで目指しているのは、単なるコストカットではありません。「科学的根拠に基づき、地域として推奨すべき標準的な薬物治療は何か」を合意形成することです。データがあるからこそ、立場を超えて「患者アウトカムの最大化」という共通ゴールに向き合うことができ、結果として医療の質の向上と医療資源の適正化が同時に達成されつつあります。
■ これから:自律的に改善し続ける地域医療へ
今後10年で、社会保障のあり方は「量を増やす」ことから「質を高め、適正化する」ことへ、その評価の軸足を移していきます。 ファルモが目指すのは、制度が変わるたびに対応に追われる医療ではありません。 患者さんの「生活のアウトカム」を出発点に、地域医療全体がデータを通じて学び、自ら改善し続けられる自律的な構造(つながる仕組み)をつくることです。
競争よりも協調が、分断よりも共有が、地域にとって合理的である──。
この考え方は、ファルモのMission・Vision・Valuesとして言語化されています。
■ Mission
薬局をつなぎ、地域をつなぎ、未来の医療をつなぐ。
医療の現場を起点に、テクノロジーと共創の力で“つながる医療”をデザインする。
薬局という地域のハブから、社会全体の健康を支える仕組みを築きます。
■ Vision
誰もが、自分らしい健康を安心して選択できる社会をつくる。
医療がもっとやさしく、わかりやすく、近くなることで、
人々が自らの健康を理解し、信頼し、主体的に選び取れる未来へ。
■ Values
Integrity(誠実さ)
医療という公器の一翼を担う責任を自覚し、あらゆる場面で誠実かつ公正な判断を貫く。
Collaboration(共創)
組織・業界・職種の壁を越え、手を取り合ってより良い医療を実現する。
Social Impact(社会的インパクト)
私たちの事業が社会をどう変えるかを常に考え、より大きな善のために行動する。
ファルモは、薬局という生活の接点から、新しい時代の医療インフラの構築に挑戦していきます。
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