AI時代を支えるパナソニックの電源ソリューション~データセンター向け蓄電システムの成長戦略


AI向け高性能サーバーの世界的な導入拡大に伴い、データセンターでは、安定した電力の確保が重大な課題となっている。この課題に応えるべく、パナソニック エナジー株式会社(以下、パナソニック エナジー)はデータセンターの安定稼働に貢献する蓄電システム事業を展開しており、今後の需要拡大を見据えて国内外の生産供給体制の強化を進める。次世代に向けた提案力と開発力でシステムを進化させ、2028年度には同事業で売上8,000億円規模を目指す。

電力需要の増大に応じる“分散型電源システム”


生成AIは急速な発展を遂げている。調査によると、世界のAI向けサーバー市場は2023年の520億ドルから2028年には2,240億ドルへと拡大し、年率34%の高成長が予測されている(※1)。


※1 Gartnerの調査を基にパナソニック エナジーが推定。


AI向けサーバーは、多数のGPU(Graphics Processing Unit:AIの大規模演算を担う半導体)による処理を支えるために短時間で大量の電力を消費する。そのため、電力のピークが急に高くなり、電圧も不安定になりやすいことから、AIデータセンターでは、安定的で信頼性の高い電源の確保が必須条件となっている。


こうした背景から、近年注目されているのが分散型電源方式だ。サーバーラックごとにバックアップ電池(BBU:Battery Backup Unit)を配置することでピーク時の不足電力を補うことができ、電圧の安定化にもつながる。膨大な規模のクラウドとデータセンターを運営する“ハイパースケーラー”と呼ばれる大手クラウド事業者を中心に採用が進んでいる。


データセンターの電源方式とバックアップ構成の比較



CES 2026のパナソニックグループブースで展示された、データセンター向け蓄電システム


パナソニック エナジーが提案する高出力・省スペースなサーバーラック内設置型のデータセンター向け蓄電システムは、リチウムイオン電池セルを組み込んだ複数の蓄電モジュールと、それを格納するシェルフから構成される。停電時のバックアップ機能に加え、電力消費のピーク時に不足分を補うピークシェーブ機能(※2)を搭載し、データセンターの効率的な電力運用と安定稼働を実現する。


※2 ピークシェーブ機能:あらかじめ電気をためておき、ピーク時に使うことでデータセンターの電力効率を高める仕組み。



既に同社は、データセンター向け分散型電源システムの分野で8割のシェア(※3)を占める。2028年度には、既存商品の需要増と次世代商品の市場投入を通じて、売上8,000億円規模を目指す。計画売上高のうち8割超に相当する案件で、顧客から製品の開発推進・受注に関する合意を得ており、ハイパースケーラーと次世代・次々世代までを見据えたプラットフォーム設計に向き合いながら、開発フェーズを含めた長期的なコミットメントを実現している。


※3 Synergy Researchの調査を基にパナソニック エナジー調べ(2025年12月時点)。

供給体制の整備――既存ライン増強、新工場設立


世界的な生成AIの普及と、生成AIインフラへの投資の加速を背景として、パナソニック エナジーのデータセンター向け蓄電システムへの需要は非常に旺盛であり、継続的に引き合いが増えている。


同社は、既存の生産拠点のアセット転換も含めて、需要増に長期的に対応できる供給体制を整備中だ。


リチウムイオン電池セルに関しては、国内における2028年度の生産能力を2025年度比で約3倍に増強することを目指し、既存拠点のライン拡充に加えて、車載用ラインを改造。2026年度中の生産開始を予定している。加えて、北米の車載用リチウムイオン電池生産拠点のうち、カンザス工場の一部活用を検討している。


また蓄電モジュールでは、国内の生産能力増強のほか、海外ではメキシコ工場の既存ラインの増強と併行して、近接地に新工場を設立する予定だ。


CES 2026のパナソニックグループブースで展示された、データセンター向け蓄電システム

トータルソリューション力という強み


パナソニック エナジーのデータセンター向け蓄電システムが選ばれる理由は、単なる電池メーカーにとどまらないトータルソリューション力にある。同社は電池セルの開発からモジュール設計、システム全体の品質管理、さらには制御・保守までを一貫して自社で手掛けることで、短納期と高信頼性の両立を実現している。


また、10年以上にわたるデータセンター向け事業を通じて、顧客側のエンジニアリング責任者と関係を構築し、直接対話しながら課題やニーズを先回りして捉える体制を築いてきた。こうした体制の下、最適な提案をスピーディーに実現できる点も同社の強みだ。


これらの取り組みが、性能実現力・システム具現力・デリバリー・品質といった観点での高い評価につながり、顧客の設備更新に伴うプラットフォームの世代交代を超えてパナソニック エナジーのシステムが選ばれ続けてきた。


こうした強みに加えて、パナソニック エナジーはさらなる開発力強化に向けた外部との連携も視野に入れている。電源メーカーをはじめとする他社との協業を通じて、必要な装置や技術を柔軟に導入していく。一方で、電池セルなど中核となる技術は自社で保有することで、独自性に一層磨きをかけていく。

グループシナジーによる新ソリューション開発


今後はAIサーバーのさらなる消費電力増大に伴い、高度な電源ソリューションへのニーズがより高まっていくことが予想される。これに応えるべく、パナソニックグループは強みの一つである事業会社間連携を生かし、新たなソリューション開発を進めている。


具体的には、電力負荷変動を吸収するスーパーキャパシタを内蔵したバックアップユニット(CBU:Capacitor Backup Unit)搭載シェルフを、パナソニック エナジーとパナソニック インダストリー株式会社が連携して開発しており、2026年度中の生産開始を予定している。キャパシタから電池セルまで、知見や技術をグループ内に保有するパナソニックグループだからこそ実現できるソリューションだ。


データセンター向け分散型電源システム分野での高いシェアを維持し、さらなる事業成長につなげていく。


×

CES 2026では、パナソニックグループとしてAIインフラ向けソリューションを多数披露した


AIデータセンターは、現代社会が動き続けるために欠かせない存在だ。安全で安心して使える電源ソリューションを届けることにより、パナソニックグループは社会とくらしのウェルビーイングに貢献していく。同時に、増え続けるデータセンターにおける電力需要の高効率化と消費電力削減を通じて、社会の脱炭素要請に応え、持続可能な地球環境の実現を後押ししていく。


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