「エキュート秋葉原」開業1周年!限定スイーツ開発の舞台裏 ― 4,524回の発話から1,116件の本音を抽出。ロボットキャストが導き出した、秋葉原駅ユーザーのための新スイーツ ―
「1,116の本音。その一つ一つが、新たな“秋葉原の定番”につながると感じました。」
2026年4月7日で開業から1周年を迎えるJR秋葉原駅構内の商業施設「エキュート秋葉原」。その目玉企画『エキュート秋葉原 新・限定スイーツの開発』は、これまでの商品開発とは一線を画すアプローチで進められています。
開発の起点となっているのは、スイーツのトレンドでも過去の売上データでもありません。今回のプロジェクトで最も重視されたのは「秋葉原駅ユーザーが求めるスイーツとは何か」の解明です。そのために活用されたのは、店頭でお客さま案内を行うロボットキャスト「ugo Pro」とお客さまとの、4,524回の発話による会話データでした。
開業1周年を約2ヶ月後に控えた2026年2月中旬。ugo株式会社 取締役CSO 羽田卓生氏と、「エキュート秋葉原 新・限定スイーツ」の開発を担当した株式会社JR東日本クロスステーションの山下が、この挑戦を振り返りました。

(対談の様子 / 左:株式会社JR東日本クロスステーション 山下 ・ 中央:ugo Pro ・ 右:ugo株式会社 羽田氏)
■ テクノロジーで仕掛ける“次世代のエキナカ”「エキュート秋葉原」
「エキュート秋葉原」は、オールキャッシュレス化や集中レジの導入により、社会課題である人手不足への対応と顧客体験価値(CX)の向上を両立し、環境にも配慮した次世代型商業施設として誕生しました。新たな技術を積極的に活用し、エキナカの“当たり前”を更新する挑戦を続けています。

(エキュート秋葉原)
■ 秋葉原生まれの接客ロボット「ugo Pro」
店頭で活躍するロボットキャスト「ugo Pro」は、秋葉原に本社を置くugo株式会社が開発した業務DXロボットです。もともとは警備・巡回用途で活用されてきた機体ですが、エキュート秋葉原では本格的に「接客」の第一線に立つ役割を担っています。
遠隔操作と自律制御を組み合わせ、多言語案内やサイネージによる情報提示に対応。単なる設備ではなく、「売り場に立つキャスト」としての存在を目指しています。

(エキュート秋葉原にてロボットキャストとして採用されたugo Pro)
■ 対談者プロフィール
羽田 卓生(はだ・たくお)
ugo株式会社 取締役CSO(最高戦略責任者)。ロボティクス技術を通じた社会課題解決を推進し、エキュート秋葉原におけるugo Proの実装と進化をリード。

山下 直城(やました・なおき)
株式会社JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー 営業部 秋葉原店。エキュートエディション御茶ノ水等の開発を経た後、エキュート秋葉原の開業準備担当となる。現在は、施設運営から1周年商品企画までを一貫して担当。

■ ロボットが“警備”から“接客”へ。開業3ヶ月前の決断
エキュート秋葉原での導入が決定し、ロボットキャストの役割に挑戦することとなったugo Pro。その最初のハードルは、エキュート秋葉原開業の約3ヶ月前に訪れました。
ー羽田氏:現在のugo Proにはデジタルサイネージが搭載されていますが、これは標準仕様ではありません。開業3ヶ月前になって、より分かりやすくご案内するために実装したいということになりました。
警備用途だった機体を、ハードウェアも含めて本格的な接客ロボットへ転換する。開業までの猶予はわずか3ヶ月でした。
ー羽田氏:新たなエキナカ施設として注目されるエキュート秋葉原の開業に向け、短期間で実装をやり遂げられるのか。社内からも懸念の声はありましたが、多様な情報提供が求められるエキナカの案内において、これは不可欠だという信念でやり切りました。
■ ugo Proが「キャスト」として認められるまでの試行錯誤
エキュート秋葉原の開業当初、ugo Proはお客さまからの質問を「待つ」スタイルでした。しかし、それだけではなかなか会話が生まれないという課題に直面します。
ー山下:ロボットによる案内は社会的にまだ馴染みがありません。お客さまはugo Proの前に立っても、何を教えてもらえるのかが分からず、質問しづらい状況でした。そこで、生成AIを活かして積極的に質問を投げかけたり、お客さまの回答をさらに深掘りしたりと、能動的にコミュニケーションをとる工夫を重ねました。今後の活用を進めるために運用を改善していく上でも、まずは会話の数を増やす必要があったのです。
8月の「カレーフェア」ではターバンを巻いてダンスを披露するなど、秋葉原らしい遊び心も加えました。
ー羽田氏:完璧なロボットであることよりも、“少し隙のある、人のような個性を感じる存在”であることを大切にしました。
ー山下:今では自然に話しかけてくださるお客さまも増え、ショップのキャストからも施設の一員として認められていると感じます。
ー羽田氏:ロボットの導入は、実験や話題集めなど一時的な使用で終わってしまうケースも多いですが、エキュート秋葉原では継続して運用されていることが何より嬉しい。ロボットが“働ける居場所”が新たにできた。これは非常に大きな成果です。

(エキュート秋葉原にてお客さま案内を行うugo Proの様子。)

(「エキュート・ザ・カレーフェス」キャンペーンにあわせてターバンを巻いてダンスを披露するugo Pro。)
■ 秋葉原限定スイーツ開発への挑戦 ―― 4,524回の発話データを分析。1,116件の有効発話から見えてきたお客さまの本音
1周年の目玉である新商品の開発において山下が向き合ったテーマは、「秋葉原駅ユーザーのニーズに寄り添った、秋葉原らしい商品」の創出という難題でした。
オフィスワーカー、サブカルチャーを愛好する若年層、そして訪日外国人まで――。多様な人々が交差する秋葉原では、従来の“平均的なお客さま像”を設定するアプローチは、通用しなかったのです。
そこで活路を見出したのが、日々店頭で接客にあたっているロボットキャスト「ugo Pro」をニーズ調査に活用するプロジェクトです 。店頭案内という日常的なコミュニケーションの中で、ugo Proからスイーツに関する質問を積極的に投げかけ 、お客さまの「生の声」を直接集めるという、これまでにないアプローチでした。
このプロジェクトが目指したのは、アンケートのような画一的な回答収集ではなく、生成AIを駆使した「リアルな対話」によるインサイトの深掘りです 。生成AIによって会話の中で、「自家需要」か「ギフト用」かなどの要素でカテゴライズし、即座に対話に反映させることで、お客さま自身も意識していなかった「本音」を引き出すという手法に挑戦しました 。
ー山下:1周年を契機とした限定商品開発にとどまらず、現在の商業施設が抱える課題や、未来のビジネス構築に焦点を当てた戦略的なプロジェクトと位置付けていました。エキナカを含めた商業施設の課題は、MD(ショップ・商品構成)やサービスのコモディティ化です。本来、立地特性やお客さまニーズを起点にサービスを検討すべきですが、特に中小規模の施設では、省力化により分析に割けるリソースが限られてしまう現実があります。
実施した結果、2025年11月の1ヶ月間で記録された発話は4,524回。そのデータを分析し、商品開発に活用できる“有効発話”として1,116件を抽出しました。
ー山下:生成AIによる柔軟なヒアリング以外に、ロボットならではの『話しかけやすさ』も強みでした。人の調査員だと構えてしまいますが、ロボット相手なら気楽に答えていただけるようです。
ー羽田氏:実体としての存在感があるから目を引く。そして人ではないから気楽に話せる。この絶妙なバランスも、フィジカルAIの強みだと感じます。
調査の結果、“エキナカスイーツのメインはギフト用”という通説に反し、エキュート秋葉原では75%が「自分用」を求めているという事実が浮かび上がりました。
ー山下:自家需要の強さだけでなく、移動中や作業中に片手で食べられるもの、あるいはショートケーキのような王道の味が好まれることも分かりました。

(ugo Proとお客さまの会話ログの一例)

(ヒアリング実施時のサイネージ画面)
■ 商業施設のプロ × フィジカルAIで挑んだ商品開発
データが揃っても、すぐに商品が完成するわけではありません。収集した1,116件の発話とトレンドを分析し、導き出されたキーワードは「ワンハンド」「濃厚」「多フレーバー展開」。当初案は「シュークリーム」でした。しかし、パートナーとなる取引先からは率直な懸念が上がります。
「王道だが目新しさに欠けるのではないか。」
「中身が外から見えにくく、魅力が伝わりにくいのではないか。」
データは正しくても、売り場で目に留まるかどうかは別問題でした。議論を重ねた末、最終的に誕生したのは3種のフレーバーで展開する特別な「オムレット」でした。
ー山下:“直感的な傾向がある秋葉原駅ユーザー”に必要なのは、五感に伝わりやすいアプローチであるとアンケートから読み取れました。
ー羽田氏:ロボットがお客さまにヒアリングした結果からスイーツが生まれる。これは非常に画期的な試みです。技術者である我々の想像を超えた、汎用ロボットの新たな活用方法でした。
■ フィジカルAI、スイーツブランド、施設担当者の三位一体で挑んだ商品開発の味
インタビュー当日、届いたばかりの試作品を二人が味わいました。
ー山下:濃厚な味わいと滑らかな口あたりがポイントです。“がっつり甘いものがいい”という声に応えつつ、専門店のこだわりを反映した、期待を超える仕上がりになっています。
ー羽田氏:片手で食べられて、非常に美味しい。実はハードな打ち合わせが続いてしまい小腹が空いていたのですが、食べ終えて一気に回復したような心地です。(笑)

(エキュート秋葉原限定オムレットの試作品)

(試食の様子)
■ エキュート秋葉原 限定スイーツに込めた想いと、今後の展望
ー羽田氏:ugo Proを、秋葉原駅に関わるすべての方にとって便利で親しみやすい存在にしたいと考えています。今回誕生するスイーツの味の魅力は、ぜひ皆さまに直接確かめていただきたいですね。そして秋葉原駅にお越しの際は、ぜひugo Proを可愛がっていただければ幸いです。

ー山下:2026年4月7日の開業1周年に向けて、過去のデータやトレンドではなく、秋葉原駅ユーザーの生のニーズを分析できたことで、お客さまのために企画したスイーツを生み出すことができそうです。専門店のこだわりと、AIと人の力を融合させたこのスイーツが誕生し、秋葉原駅の新たな定番に育ってほしいと願っています。

2026年4月7日にいよいよ開業1周年を迎える「エキュート秋葉原」。
これからも、新たな技術と人の力、そしてリアルとデジタルの融合により、顧客体験価値(CX)の向上に取り組んでまいります。

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