記者 確かに、いろんな蔵から焼酎も販売されていますよね。同じ麦焼酎でも特徴がさまざまあるように思います。
後藤主幹研究員 焼酎は清酒に比べてバリエーションを増やしやすいお酒です。
清酒は原料となる酵母や米の選択肢が昔は少なかったのですが、焼酎はこうじも麦こうじや米こうじが選べるし、次に使用する(芋や麦、ソバなどの)二次原料も選べます。
さらに蒸留方法でどのように仕上げるかという工程の違いもあるので、各蔵でさまざまなバリエーションが造れるのです。
記者 蒸留の方法はどんなものがあるのですか?
後藤主幹研究員 焼酎も代替わりしていろいろ挑戦するようになったんですけど、大分では蒸留機内の気圧を下げて低温度で蒸留する「減圧蒸留」一辺倒でした。この方法で生み出すスッキリしたタイプの「減圧麦焼酎」が主流でしたからね。
そこへ四ツ谷酒造(宇佐市)のような蔵が蒸留機内の圧力を外気と変えずに蒸留する「常圧焼酎」を出すようになりました。
芋焼酎は基本的に常圧で、「臭くて飲めない」という焼酎のイメージが麦焼酎の登場で変わっていたんですね。
常圧は加熱温度が高く、原料の風味が強く出るため、油臭いと嫌われていた面もありました。
でも、その焦げ臭さのような香ばしさを生かした麦焼酎も人気を集め、ほかのメーカーも常圧で勝負するようになりました。
今では減圧蒸留も圧力の幅が広がって、さまざまです。
時代とともに技術も上がり、代替わりを経て味の質や経営方針も変えてきて、今の多様性につながっています。
大分の麦焼酎は全国でもトップレベルの製造量を誇っています。
日本酒も量は少ないものの、コンペで賞を取るなど各蔵のポテンシャルは非常に高いと思います。