2025101日()

(4)自ら考え動く拠点提供

高見大介さん  大分市

> 地域と学びをつなげるプログラムを展開する高見大介・日本文理大学人間力育成センター長
 小規模集落で高齢者の孤立を防ぐためのウオーキングやカフェイベント、地域の高齢者から子どもたちが学ぶ活動のサポート、災害復旧ボランティア―。日本文理大学人間力育成センターは年間約20の地域プログラムを組み、学生が入学するとすぐに地域に入る。
 なぜ、地域か。「現代は不確かな時代、教科書だけでは先々を見通すのは難しい」と言う。地域は教室で学んだ理論を「型」として自分の中に取り込む場だが、型がそのままはまることはない。時間や手間など効率は良くないかもしれないが、教室と地域との往復を繰り返し、社会に出ても学び続ける必要性を理解させる。自らも地域へ、時にはモンゴルやタイなど海外にも学生と一緒に向かう。
 人が接すれば、ぶつかるのは当たり前。時には住民に謝ったり、学生をなだめたりもする。何のための学びか。納得しない学生もいる。しかし社会に出て数年たつと、大学に寄ってくれた教え子が「先生の言っていた意味がやっと分かった」と話してくれることも。
 センター前身の基礎学力支援センターで、学生の学び直しに関わった。何に必要かが分からないまま、高校までの復習を“させられる”学生たちを、「輝いていない」と感じた。学ぶ理由を可視化し、学生が自ら考え動く拠点として、キャリア教育、ボランティア支援、地域貢献を包括したセンター創設に携わった。
 地域での経験に裏打ちされた自分の言葉を若者たちに求める。「実体験の伴わない借りてきた言葉が、不愉快で仕方がない」。その上で「例えば、貧困をなくしたい、戦争のない平和な社会をつくりたいとか、大人を困らせる夢を語ってほしい。腰を据えて取り組みますよ」。現代社会に向き合う若者との“ガチンコ勝負”を切望している。