2025101日()

(1)未来育む「学び」探る

佐藤陽平さん 臼杵市

> 体験学習を通じた人材育成に取り組む佐藤陽平さん。「本来の強みを引き出すのは人を育てるのと一緒」とデザインも請け負っている
 「家庭、地域、職場それぞれにある問題は人が生み出すもの。そうであるなら、問題を解決する人を育てたい」
 臼杵市を拠点に、自然体験プログラムの提供やリーダー育成などに取り組んでいる。提案するのは「最新の脳科学と、日々の出来事を教材にした体験学習を掛け合わせた育成法」。まき割りや農作業、調理といった実践で子どもの自立を促す他、親の考えやストレスをあぶり出す脳診断やカウンセリング、講演など全国各地の現場で活躍する。
 「成功も失敗もさらけ出すことが大切。体験を通じて、人や地域、組織の本来の強みを学び合うことで、成長が生まれる」と信じている。
 学生時代に遭遇したカンボジアでの光景が原体験だ。1997年、政治的な混乱期にあった同国で目の当たりにしたのは、子どもの周りにある生死や兵器、洗脳教育の実態。「体験により、子どもたちの物差しや考えが変わる『教育の怖さ』に触れた」
 大学卒業後、住宅メーカー勤務やフリーターなどを経て、長野県泰阜(やすおか)村にあるNPO法人「グリーンウッド自然体験教育センター」で10年ほど知見を蓄えた。同センターで取り組み、現在の活動にも貫かれる思いは「子どもたちが自ら体験し、知識を身に付け、価値観を培っていくことが大切。それこそが学び」と力を込める。
 2014年、活動や生活の軸を臼杵市に移した。大分の自然や文化は子どもから大人までを成長させる力を持つと確信している。人を育てるにはさまざまなアプローチがあり、時間もかかる。古里に戻ってきたのは「大分の環境と住む人たちの強みを引き出し、学び、育てることが地域の元気につながる」という思いが理由の一つだ。