論戦158日 2026特別国会 大分県関係議員に聞く

 衆議院の解散・総選挙を受けて2月に始まった特別国会は、重要法案を相次いで可決して7月に閉会しました。大分県関係の国会議員6人に、注目を集めた法案・予算案に対する見解を聞きました。採決での賛否の理由と、それぞれの考えを掲載します。

 対象は▽2026年度当初予算・補正予算▽再審制度の見直し(刑事訴訟法改正)▽日本国旗損壊罪法▽国家情報会議設置法▽皇室典範改正―の5つです。

 8月6~8日付の本紙インタビュー記事と併せてご覧ください。

▼本紙インタビュー記事
・自民党・岩屋毅氏 国会運営反省すべき(2026年8月6日配信)
・自民党・広瀬建氏 コメ流通実態把握へ(2026年8月6日配信)
・自民党・衛藤博昭氏 皇室典範、必要な改正(2026年8月7日配信)
・自民党・白坂亜紀氏 交通空白の解消に力(2026年8月7日配信)
・自民党・古庄玄知氏 再審見直し依然欠陥(2026年8月8日配信)
・立憲民主党・吉田忠智氏 国民の思い捉え議論(2026年8月8日配信)


アンケートの設問
① 2026年度当初予算・補正予算に関して、採決での賛否は?
② 再審制度見直し(刑事訴訟法改正)に関して、採決での賛否は?
③ 日本国旗損壊罪法の制定に関して、採決での賛否は?
④ 国家情報会議設置法の制定に関して、採決での賛否は?
⑤ 皇室典範の改正に関して、採決での賛否は?

※各項目300字以内で回答を求めました。回答をそのまま掲載しています。


岩屋 毅 氏

自民党(衆議院 大分3区)

①当初予算・補正予算:賛成した

 突然の解散総選挙で審議入りが遅れたが、国会の最大の責務は本年度予算を遅滞なく仕上げることである。予想された通り、審議時間が足りず、年度を超えての成立となったが、折からの物価高対策などが含まれた重要な予算案であり、早期の成立が必要と考えた。補正予算については、イラン情勢を踏まえた緊急対策のための予算であり、これも早期の成立が必要であった。

②再審制度見直し:賛成した

 党内で本件を巡って激しく議論が戦わされた。最大の争点は、検察による不服申し立て(抗告)を認めるか否か、さらには証拠開示の範囲をどう定めるかであった。抗告については、十分な根拠がある場合を除いて原則禁止。証拠については、関連性による限定を行う、という妥協的な結論となったが、これもひとつの前進であると考え、賛成をした。今後の運用の在り方をよく注視しながら、議論を継続していくべきだと思っている。

③日本国旗損壊罪法:棄権した

 本法律にはもともと立法事実(その種の事例が頻発している)がなく、必要性や必然性に疑問があるということを一貫して申し上げてきた。また、罪刑法定主義の原則に照らせば、規定が曖昧であり、どういう行為が罪に値するのかが明確でなく、憲法の保証する内心の自由や表現の自由を侵す恐れが否めない。国旗を尊重する意識は国民の間に広く共有されており、今後も自然な形で涵養されるべきであって、刑罰によって強制されるべきではない。党議決定された以上、反対はしないが、積極的に賛成することもしないという考えから棄権をしたところである。

④国家情報会議設置法:賛成した

 この法律は、昨今の厳しく混迷を深める国際情勢の中にあって、国の情報収集と分析能力を強化するための法律である。中身としては首相を長とする国家情報会議を設置し、実務を担当する国家情報局を省庁の縦割りを廃して設置するもので、それ自体は妥当である。しかし、いわゆるスパイ防止法や対外情報庁に関しては、国民の権利を侵害することがなきよう、十分な監視監督の機能が同時に検討される必要がある。

⑤皇室典範改正:賛成した

 本件は、事柄の性質上、静かな環境で議論される必要があることから、衆参両院の正副議長のもとでの各党協議の行方を注視してきた。 皇族数の確保については早期に見通しが立つ必要があるが、その後の皇位継承については、さらに時間をかけて議論を続ける必要があると思う。 そこを急いだ結果、必ずしも、国会や国民の「総意」が醸成されたとまでは言えない状況が見られることは残念である。


広瀬 建 氏

自民党(衆議院 大分2区)

①当初予算・補正予算:賛成した

 物価高対策や賃上げ支援、防災・減災、国土強靱化、地方創生など、国民生活と地域経済を守るために必要な施策を着実に進める内容であると判断し賛成しました。とりわけ、地方の成長を支える道路・治水などの社会資本整備や、災害に強い国づくり、中小企業・農林水産業への支援は、大分県をはじめ地方の将来に欠かせません。引き続き、地域の発展と暮らしの安心につながる政策の実現に全力で取り組んでいきます。一方で、農林水産業分野の予算、中でも特に林業・水産業に係る予算の拡充必要性は従来より指摘されており、今後はその点にも努めて参りたい。

②再審制度見直し:賛成した

 えん罪被害の救済をより迅速かつ適正に行い、国民の司法に対する信頼を高めるために重要な法改正であると考え、賛成しました。再審請求手続の透明性や証拠開示の充実などを図ることで、無実の方が速やかに救済される仕組みを整えることは、法治国家として欠かせません。一方で、適正手続や被害者への配慮とのバランスも十分に確保する必要があります。今後も、公正で信頼される司法制度の実現に向け、不断の制度改善に取り組んでいきます。

③日本国旗損壊罪法:賛成した

 国旗を尊重し、日本人としてのアイデンティティーの柱として位置付けることは自然の流れと考えます。ただ、これは自然の流れ、当然の在り方として表れるものであり、刑罰をもって強制されるべきか否かは党内でも広く議論があったところ。表現の自由は民主主義の根幹であり最大限尊重されるべきものである一方、他者や社会の共有する象徴を故意に損壊し、著しく侮辱する行為との適切な均衡を図ることも重要です。国家の器、懐の深さ、というものを常に念頭に、今後も、基本的人権を尊重しながら、国民が安心して暮らせる社会の実現に努めていきます。

④国家情報会議設置法:賛成した

 安全保障や大規模災害、国際情勢の変化など、複雑化する課題に対し、政府全体で情報を適切に集約・分析し、迅速かつ的確な意思決定を行う体制を強化することが必要であると考え、賛成いたしました。一方で、情報機関の活動には適正な運用と透明性の確保、国会による監視、個人の権利やプライバシーへの十分な配慮が不可欠です。安全保障と自由・人権の双方を大切にしながら、国民の生命と暮らしを守る制度として適切に運用されていくよう、しっかりと取り組んで参ります。

⑤皇室典範改正:賛成した

 将来にわたり安定的な皇位継承と皇室活動を維持し、国民統合の象徴である皇室を持続可能な形で支えていくために現時点で必要な見直しであると考え、賛成いたしました。ただ、立法府の総意形成という議論の進め方であった一方で、最終段階になって丁寧さに疑問がつく面もあったことは否めません。
 世界に類を見ない伝統と歴史、そして常に国民生活に寄り沿われ、日本人の精神的支柱である日本の皇室、この日本国の象徴としての皇室が国民の幅広い理解・共感を得ながら、将来に亘り大いなる象徴であり続ける為に、政府及び国会には丁寧な議論を継続していく責務があると考えます。


衛藤 博昭 氏

自民党(衆議院 大分1区)

①当初予算・補正予算:賛成した

 当初予算、補正予算共に、厳しい国際情勢や物価高騰に直面する国民生活の防衛をはじめ、我が国の安全保障体制の抜本的強化、さらには地方創生や防災・減災対策を推進するために不可欠な内容です。特に、中小企業支援や持続的な賃上げ環境の整備、成長戦略17分野への重点投資など、日本経済の強固な成長軌道への回帰を目指す姿勢を評価いたします。債務残高を対GDP比で管理するなど、財政の持続性への配慮を行いつつも、激変する内外情勢に迅速かつ柔軟に対応し、国民の生命・財産と豊かな暮らしを守り抜くための適切な予算措置であると判断し、賛成いたしました。

②再審制度見直し:賛成した

 再審制度は、冤罪被害者を救済し人権を擁護するための重要な司法手続きである一方、司法判断の確定性と社会の治安維持・適正な刑罰権の行使とのバランスが求められます。冤罪を防ぐための適切な証拠開示のあり方や審理の迅速化といった制度的な改善は必要不可欠です。本法案は自民党の法務部会、国会審議で侃々諤々の議論を行い成立をしました。5年ごとに再審制度のあり方を検討する規定が新たに盛り込まれましたので、裁判所による証拠提出命令の新設制度や、検察官抗告の原則禁止、証拠の目的外使用の禁止など今回新たに改正された内容が立法時の意図通りに機能しているかも踏まえ、不断の改善を行っていく必要があると考えます。

③日本国旗損壊罪法:賛成した

 現行の刑法においては、外国の国旗や国章を損壊・侮辱する行為に対して「外国国章損壊罪」としての処罰規定が設けられている一方で、自国である日本の国旗に対しては同様の行為を罰する規定が存在しておりません。この「外国の国旗は守られるが、自国の国旗は守られない」という法制度上の不均衡を是正することは必要な措置であると考えます。表現の自由には当然配慮すべきですが、悪意を持った不当な損壊行為に対して、諸外国並みに適切に法的な一線を画すという観点からも本法案に賛成いたしました。

④国家情報会議設置法:賛成した

 激変する国際情勢や複雑化する安全保障環境に対処するためには、国家レベルでの情報集約と分析能力の強化が不可欠です。これまで各省庁に分散していたインテリジェンス機能を一元化し、国家戦略に直結する正確かつ迅速な意志決定を支援する司令塔として「国家情報会議」を設置することは、経済安全保障やサイバー攻撃への対応を含め、我が国の安全と国民の生命・財産を守るための要となります。国家基本戦略の精度を高め、外交・防衛体制の基盤を確固たるものにするため、本法案に賛成しました。

⑤皇室典範改正:賛成した

 このたびの改正は、減少を続ける皇族数の確保を目的としたものです。まず、今般の改正で女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持できるようになりました。次に、皇族には認められていなかった養子縁組を可能にできるように変更しました。ただし、養子に入ることができるのは戦後GHQによって皇籍を離脱させられた旧宮家の方々のみを対象とするものです。また、養子に入られた旧宮家の方には皇位継承権が与えられないという制限も設けられています。皇位の男系継承の伝統を堅持しつつ、歴史的正統性を保つためにも今回の改正は必要なものであり、本法案に賛成しました。


白坂 亜紀 氏

自民党(衆議院 比例九州ブロック)

①当初予算・補正予算:賛成した

 長年低迷を続けた日本の経済を取り戻すため、AI、半導体、造船、宇宙、量子等々、成長分野への投資を重視している。
 中小企業が成長できるよう、官公需や公共工事費用の引き上げ、価格転嫁の促進、生産性向上のためのIT促進、省エネ設備を促す補助金が充てられている。
 防衛費を確保し、自衛官の処遇改善や自衛隊設備を充実させた。また厳しさを増す安全保障環境に対応するため総合的な防衛体制を強化した。
 少子化対策や医療、福祉、介護等、社会保障予算が充実した。
 防災対策にも大きく予算が充てられた。

②再審制度見直し:賛成した

 証拠の開示について明確な規定が設けられ、新たな証拠の提出を命じられるようになったこと、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てが原則禁止となり、審理の長期化を防ぐ仕組みが導入されたことで、えん罪被害者の救済手続きを迅速化することが出来るから。
 再審制度を改正することで、司法に対する国民の安心感と信頼が高まった。

③日本国旗損壊罪法:賛成した

 外国国章損壊罪がある一方で、日本国旗損壊罪が無いため「自国の国旗も同等に保護すべき」という公平性の観点から。
 実際に日本国旗を損壊する事実があり、国家を象徴する国旗を大事に思う日本国民の心を傷つけているから。
 国旗を故意に損壊する行為は、対立や憎悪を煽り、社会の分断を深める可能性があるから。

④国家情報会議設置法:賛成した

 安全保障環境が大きく変化している中で、サイバー攻撃、テロ、外国による情報工作から日本を守るため。
 アメリカ、イギリス等、同盟国や友好国と情報共有する上で、日本側の情報が守られていることは重要だから。
 外務省、防衛省、警察庁等に分散していた情報を集約し、分析することで、迅速な政策判断が出来るから。情報共有によって、縦割り行政による情報の分断を防ぐことが出来る。
 有事や大災害において、政府が迅速に意思決定が出来る。

⑤皇室典範改正:賛成した

 皇位は男系男子が継承すると定められているが、皇族数の減少による、将来的に皇位継承の安定性が課題となっている今、旧宮家の男系男子を皇族に迎える案は重要と考えた。
 皇室は国民統合の象徴であり、安定した制度運営は国民の安心にもつながり、今回の改正によって皇室の存続基盤を強化することが出来た。
 女性皇族が結婚後も皇族として残る制度を整えたことで、被災地のお見舞い、福祉、文化、国際交流、全国各地の行事への参加、等々、重要な公務を継続して頂けることになったこと。


古庄 玄知 氏

自民党(参議院 大分選挙区)

①当初予算・補正予算:賛成した

 ガソリンの暫定税率の廃止に加え、物価高対策や賃上げの後押し、防災・減災、経済安全保障、地方創生など、国民生活と我が国の持続的な成長を支えるために必要な施策を着実に実行する内容であることから賛成した。
 特に、ガソリン・電気・ガス料金への支援や中小企業・農林水産業への支援、予備費の確保などは、先行きが不透明な国際情勢に対応する上で重要である。
 一方で、物価上昇が家計や事業者に与える影響は依然として大きく、地方や中小企業の実情を踏まえたきめ細かな支援、持続的な賃上げの実現、エネルギー価格高騰への対応など、引き続き現場の声を反映した政策の充実を図る必要がある。

②再審制度見直し:賛成した

 えん罪は、無実の人の人生を奪い、真犯人を見逃すことで司法への信頼を損なう重大な問題である。 誤った有罪判決を正す「最後の砦」である再審制度の見直しの当初から、より実効性のある改正案を目指して、あらゆる場面で意見を述べてきた。
 しかしながら、今回の改正は、検察官の抗告を全面的に禁止していない点や証拠開示を認めていない点など冤罪被害者救済には不十分と言わざるを得ず、大きな課題が残っている。ただし、改正前の状態よりも一歩前進と考え、苦渋の選択ながら法案に賛成した。
 今後は制度の運用を検証し、えん罪被害者の救済と再審制度の更なる充実に全力で取り組んでいく。

③日本国旗損壊罪法:賛成した

 国旗が国家の象徴であり、これを著しく侮辱する行為を一定の範囲で処罰することにより、国民の法感情や国の尊厳を守るとともに、外国国旗損壊罪との均衡を図る意義があるとして賛成した。
 しかし、条文を見ると処罰対象となる行為や「侮辱」の判断基準が曖昧である等、法律の内容が罪刑法定主義違反の懸念があり、現場で混乱が生じる恐れがある。恣意的な運用が行われたり、正当な政治的表現や芸術活動が萎縮しないよう、厳格かつ慎重な解釈・適用が不可欠である。今後は、運用状況を十分検証し、必要に応じて見直しを行う姿勢が重要である。

④国家情報会議設置法:賛成した

 経済安全保障をはじめとする我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府横断的に情報を集約、分析し、首相主導で情報政策全体を統括する役割を強化することは重要であり、賛成した。
 一方で、プライバシーや表現の自由とのバランスをどうとるかなどが課題である。また、秘密指定の範囲が過度に拡大したり、会議が形式的な運用にとどまったりすることがあってはならない。政府による恣意的な情報管理を防ぎつつ、適切な情報共有と厳格な秘密保 全の両立が図られるよう、制度の運用状況を継続的に検証することが重要である。

⑤皇室典範改正:賛成した

 皇族方の公務負担を軽減するとともに、安定的な皇室活動を支えるため、皇族数を確保することを目的とするものであり、政府が繰り返し「皇位継承の在り方を変更するものではない」と答弁してきたことから賛成した。
 一方、皇位継承は、皇室制度の根幹に関わる極めて重要な課題である。憲法第1条が「天皇は日本国及び日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」と定める趣旨を踏まえ、持続可能な象徴天皇制を維持するため、女性・女系天皇の是非を含めた皇位継承の在り方については、幅広い国民の理解と合意を得ながら、慎重に議論を進めていくことが何より重要である。


吉田 忠智 氏

立憲民主党(参議院 大分選挙区)

①当初予算・補正予算:反対した

 当初予算については、中東情勢の悪化を受けて修正要求をしたが、されなかった。補正予算については9割以上が予備費で問題があった。

②再審制度見直し:反対した

 冤罪の防止につながる内容の法改正になっていなかったから。

③日本国旗損壊罪法:反対した

 立法事実がなく、国民の思想信条・自由を侵害する内容であるから。

④国家情報会議設置法:反対した

 国民への監視強化につながり、市民運動に影響する懸念があったから。

⑤皇室典範改正:反対した

 安定的な皇位継承とジェンダー平等の観点から長子優先とし、女性・女系天皇も認めるべきと考えるから。


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