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202045日()

東西南北

2019.12.10



 日光東照宮に入るとすぐに神厩舎(しんきゅうしゃ)があり、長押(なげし)上には有名な三猿(さんざる)の彫刻を飾っている。向かって右から3匹の猿が両手で目、口、耳をふさいでいる像だ。「見ざる、言わざる、聞かざる」の教えという▼神厩舎には三猿を含めて計8面、猿の彫刻がある。猿に例えた人間の一生を表現している。三猿は幼少期に当たり、「見ざる…」は純真な子どもを悪事から遠ざけるための知恵とされる。すなわち、世間の悪いことや人の欠点などを見ない、言わない、聞かない▼大事な人生訓であり、かくありたいと思うが、この教えを政治権力側が逆手にとって使えばどうなるか。国民を「見ざる…」の状態に置き、国政を意のままに運営するのではないか▼そう勘繰りたくなるのが2014年に施行された特定秘密保護法である。きょうで5年がたつ。公務員らの機密漏えいに厳罰を科す法律だが、知る権利や取材・報道の自由を阻害するのでは―との懸念がある▼法の狙いは国の安全保障上必要な情報の秘匿。多くは防衛関連だが、法に乗じて国民に知らせなければならない情報まで隠してはいないだろうか。大分県の日出生台演習場では、毎年のように米軍訓練が行われる。回を重ねるごとに開示される情報が減っているのを実感する▼戦時中、国民の目や口、耳が覆われた苦い歴史がある。その結果がどのような事態に至ったか、国民も政治指導者も忘れてはならない。
2019年12月10日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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