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孤独死 漂う無念 現場片付ける特殊清掃

 周囲とのつながりが希薄になった現代、孤独死は避けられない課題なのだろうか―。遺品整理業者の協力を得て、孤独死の現場を片付ける特殊清掃を大分市内で取材した。

 64歳の無職男性の遺体が、1人で暮らしていたアパートで発見された。管理人が気付いた。本人の日記から、遺体は2カ月半ほど放置されていたとみられ、腐敗が進み、検視で死因は特定されなかった。
 現場に行ったのは今年の晩夏、蒸し暑い日だった。強烈な臭いが部屋にこびり付き、遺体が運び出された後でもすぐに場所は分かった。ドアの向こうの臭いは、さらにひどいものだった。中では、遺品整理や生前整理を手掛ける同市の「NICObit(ニコビット)」の江田梢さん(28)と大野久美さん(42)が作業に取り掛かっていた。
 ◆ ◆ ◆ 
 家財道具はそう多くなく、簡素な暮らしぶりだったことがうかがえる。薬や人工肛門用の装具が複数見つかった。体調は悪かったようだ。主をなくした部屋の辺り一面を、見たことのない多くの黒い虫がはいずり回っていた。
 フローリングの上に畳を敷き、その上の布団で亡くなっていたという。腹をかばうようなくの字になり、頭は布団からはみ出ていた。死後、黒い体液がフローリングにまで染みていた。男性の目には何が映り、どんな思いで最期を迎えたのだろう。苦しかったのだろうか、誰かの顔を思い浮かべたのだろうか…。
 離婚しており、家族や友人とのつながりを感じる物はない。大野さんは「写真がたった一枚あり、幼い子どもたちが写っていた。趣味と思われる物もなく、寂しい暮らしだったかもしれない」と、相続につながる物を丹念に探していた。
 周囲に臭いが漏れないよう、窓は開けられない。2人は防護服を着て長時間の作業に追われていた。感染症などから安全を確保するため、防護服と手袋や長靴の間に粘着テープを貼り、いっそう暑さが増す。遺品の整理、廃棄、部屋のオゾン脱臭…。2人は時間をかけて体液の染みを消そうとしていたが結局、その部分のフローリングを剝いだ。
 ◆ ◆ ◆ 
 窓からは強い日の光が差し込み、アパート横の公園では小学生が楽しそうに遊んでいた。明るい住宅街とは別世界のような現場の1室は壁1枚で隣り合わせにあり、孤独死は身近なことなのだと分かる。江田さんは「孤独死の多くが似た環境にある。なぜ孤立することになったのかと、遺品整理をしながら無意識にその理由を探している」と話していた。
 日本少額短期保険協会(東京)が実施した3月の調査によると、孤独死の8割が男性だった。平均年齢は男性59・6歳、女性57・8歳で、60代が多い。単身世帯者が増える中、孤独死への対策は必要不可欠といえる。
 今回孤独死した男性の遺体は、県外に住む弟が引き取った。
 誰からも見守られずに人生を終え、亡くなったことにも気付かれない―。取材した部屋で、計り知れない無念を感じた。

予防へ触れ合いが鍵
  孤独死が社会問題化していることを受け、日本少額短期保険協会は2015年4月から16年1月までの間に保険金を支払った440人のデータから孤独死の実態を分析した。それにより、家族や知人とのコミュニケーションが孤独死を防ぐ鍵となることが裏付けられた。
 死亡から発見までの平均日数は男性23日、女性7日。日頃から近隣住民とあいさつを交わしている女性の方が異変に気付いてもらいやすく、男性の方が住まいの管理会社や宅配業者などが訪れるまで発見されないケースが多いと分かった。
 孤独死を防ごうと、県内では老人クラブや自治会が中心となって高齢者の見守りや声掛けをしている。中津市本耶馬渓町曽木の老人会「競秀峰クラブ」の三宅繁代会長(81)も取り組みに力を入れる一人。12年、孤独死した60代の男性を発見し「触れ合いの大切さを痛感した」と胸の内を明かす。
 死亡した男性は同年の水害の影響で1人暮らしを始めたばかりだった。玄関に新聞が4日分たまっていることに近所の人が気付き、三宅会長が地区長と一緒に訪問して遺体を見つけた。
 その後、高齢者が引きこもらないよう行事への声掛けを強化。残念ながら昨年も1人暮らしの70代の女性が亡くなったが、その日のうちに民生委員が発見できたという。同地区には高齢者の単身世帯が多く「孤独死は避けられない課題。異変にはできるだけ早く駆け付けたい」と話している。
 さらに、同協会は「30~40代女性の孤独死も一つのヤマ」とし「孤独死を高齢者だけの問題と捉えず、多世代に渡り親戚や近所の人とのコミュニケーションを深める必要がある」と訴えている。
2016年11月24日

探(SAGURU)おおいた

大分の話題を深掘りして、さまざまな現状に迫るルポルタージュです。 木曜夕刊1面に掲載。 日ごろ表に出ることの少ない社会の裏側や弱者、困っている人、記者が疑問も思うことなどに密着取材して、現場から伝えます。

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