「受賞は研究者として感無量。今後は後輩の指導を通じて産地への恩返しをしたい」と話す山崎修一さん=豊後大野市三重町赤嶺の県農林水産研究指導センター
【豊後大野】県農林水産研究指導センター農業研究部病害虫対策チーム(豊後大野市三重町赤嶺)の山崎修一専門研究員・チームリーダー(56)が取り組んできたピーマン軟腐病(なんぷびょう)対策などの研究成果が、本年度の全国農業関係試験研究場所長会の研究功労者表彰と日本植物病理学会九州部会の地域貢献賞を受賞した。虫を介した軟腐病の感染経路を見つけた。山崎さんによると、両賞を受賞した研究者は初めてという。
ピーマン軟腐病は、果実の内部が腐る細菌性の病気。収穫後に発病することも多い。腐敗した果実の汁が次々と病気を広げるため、感染に気付かずに出荷すると店頭に腐った商品が並ぶことになり、産地の信用低下にもつながる。
県内での感染例が多く、2005年ごろには生産者の2割ほどで発病していた。08年に生産者らが県夏秋ピーマン連絡協議会を立ち上げ、関西市場への圏域出荷を始めたものの、腐敗果が多いため仲卸業者から「大分のものはいらない」と言われたこともあったという。
山崎さんは09年に研究を開始。当初は「細菌は土壌中に存在し、雨水や泥水を介して広がるというのが専門家の常識。虫が媒介するとは思わなかった」と振り返る。
発症が多い畑の所有者から「穴の開いた果実が多い。関係あるのか」と聞かれたことをきっかけに発想を転換。タバコガの幼虫が果実に穴を開け、細菌を保有したトウヨウクキイエバエが細菌をうつすという感染経路を特定した。
研究と並行し、防虫ネットや消毒、フェロモンを使った防除などの対策を農家に指導。その結果、感染農家は1%以下になり、日本有数の夏秋ピーマン産地の振興に大きく貢献した。
山崎さんは「研究者として感無量。今の仕事は業務のマネジメントが中心となっているので、今後は後輩の指導を通じて産地への恩返しをしたい」と話した。