文化庁長官表彰を受けた、かやぶき師の三苫義久さん=日田市竹田
【日田】かやぶきや杉皮ぶきの優れた技術を持ち、九州を中心に重要文化財などの保存修理に携わるかやぶき師の三苫義久さん(88)=日田市竹田・奥日田美建会長=が、文化活動で優れた功績を上げた人や団体に贈られる本年度の文化庁長官表彰を受けた。県関係では2人。こつこつ丁寧に仕事に向き合い、後進を育てた功績が評価された。
旧前津江村出身。高校を卒業して役場や自衛隊、農協、牧場、村議、木材市場などさまざまな職を経験した後、「腰を据えて自分で何かやろう」と決意。48歳で、後継者がいなかった地元のかやぶき職人に弟子入りした。
「3年間、しっかり技術を身に付けるまで屋根をふこうと思うな」との教えを守り、師匠を手伝いながら仕事を覚えた。夜や休日は材料となるかやや杉皮の加工に精を出した。地道に経験を重ねる中で丁寧な仕事ぶりが評判となり、各地の現場から声がかかるようになった。
手がけた屋根は太宰府天満宮(福岡県)や吉野ケ里歴史公園(佐賀県)、伊藤博文旧宅(山口県)、双葉の里(宇佐市)など多数。「長持ちさせるには水はけを良くすることが重要。勾配を一定に保つのに腕が要る」と仕事の要諦を説明する。
これまでに雇った弟子は約30人。今も5人の弟子と一緒に現場に出向いて技術の継承に努める。昨年4月に完成した「御料理 茅乃舎(かやのや)」(福岡県)のふき替えを区切りに引退を考えていたというが、「屋根に上がらず、現場を見てくれるだけでいいから」との依頼が後を絶たない。受賞を機に「力の続く限り現役を続ける」と決意を新たにしている。