「コツコツとできることをやる」と話す戸井田拓也さん=竹田市片ケ瀬
【竹田】ほしい長さや太さ、量に応えます! 竹田市荻町の戸井田農園は、漬物やおでんなど取引先の用途に合わせたオーダーメードの大根を育てている。単価の安さをカバーしようと契約栽培を始めて30年。定時・定量・定品質・定価格の「4定」にこだわり、年間千トン以上を出荷する。
「全国の産地に量はかなわない。選ばれるには差別化が必要だった」。戸井田拓也代表(59)は契約栽培を始めた当時を振り返る。
20歳で父から農園を受け継ぎ、10年間は市場出荷をメインに多品目栽培にも取り組んだ。ただ1本数十円の大根で生き残るには、安定した販路を確保する必要がある。
大根一筋に立ち返り、竹田市や豊後大野市で規模を拡大。現在は50農場(15ヘクタール)あり、個人の大根農家では県内トップクラスとなった。取引は契約が7割、市場が3割を占める。
契約先は熊本や福岡など九州内の事業者が主。大手コンビニと取引する時もあり、おでんの直径と厚さに合ったサイズを育てる。漬物は太さ8センチ、長さ38センチ。調理の手間を省くため、加工後の形に近い大きさを求められるという。
品種の特性と合わせて、土の状態や種まきの間隔、肥料などを調整しながら希望に沿った大根に仕立てる。全て露地で畑の標高差を利用しながら連作で栽培する。試行錯誤を重ねてきたが「特別なことはしていない」と豪快に笑う。ビジネスの知識も独学で身に付けた。
挑戦心と粘り強さは陸上競技の経験が生きている。自称「農民ランナー」として20歳から30代後半まで、駅伝で走り続けた。引退後は中学生の息子が所属する地域クラブでコーチをしている。
「作戦を練って実践する点は農業も陸上も同じ。コツコツと時間をかけて努力すれば結果は出る」