人生の分岐点に立ったお針子の女性が、選択によって、異なる運命をたどる姿を描いたクライムサスペンス。 主人公バーバラが経営する裁縫店は、亡き母親から受け継いだもの。もり立てることができず倒産寸前まで追い込まれている。 ある日、車で工房に向かう途中、男2人が、転倒し息も絶え絶えになりながら、もみ合っている現場を通り過ぎる。 近くには白い粉が入った袋と大金の入っていそうなトランクケース、そして2丁の拳銃が転がっている。どうやら麻薬取引でもめたようだ。どうしようかと思案するバーバラは三つの対応策を思い付くのだが…。 トランクを持ち逃げするか、警察に通報するか、はたまた見て見ぬふりをして去るか―。彼女の決断に応じたさまざまな物語が、パラレルワールドのように繰り広げられる。選択によって登場人物の印象も大きく変わる。エピソード間で伏線が張られていることもあり、心地よい。 見どころの一つは、バーバラが作り出す「からくり」の数々。裁縫の知識を使った仕掛けを利用して、大金を奪い、目の前の悪漢から逃れようとする。その巧みな仕組みは幼児向けの教育番組に出てくる装置のようで、ワクワクさせてくれる。 シネマ5bisで1月2日(金)~8日(木)の午後0時20分。2、5、8日は同7時も上映。 ◇ ◇ ◇ 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。
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