デジタル技術を活用して保存された中原遺跡の石棺墓の3Dモデル
【宇佐】宇佐市教委は発掘した遺跡の調査や研究に役立てるため、デジタル技術を活用して保存する手法の導入を進めている。発掘後は埋め戻されて敷地が利用されることから、調査で撮影した数百枚のデジタル画像を組み合わせて立体化した3Dモデルにする取り組み。
遺跡で初めて3Dモデルを作ったのは、市内大塚にある中原(なかはる)遺跡の古墳時代中期(5世紀)の石棺墓。本年度、宅地造成工事を進めていたところ新たな遺構が出土したため、9月から本格的な発掘調査を始め、同時代後期(6~7世紀)の古墳2基、同遺跡と一部が重なる穴井遺跡の平安時代(9世紀)の建物跡とともに発見された。
石棺墓の3Dモデルは色や質感をリアルに再現し、拡大したり好きな角度にできる。すでにインターネット上で公開しており、スマホやタブレットなどで誰でも無料で見られる。
古墳からは管玉(くだたま)や水晶切子玉などの装飾品、鉄製馬具などの副葬品が見つかっており、市教委社会教育課は「この地域に古くから人が住み、文化があったことが分かる貴重な発見」と説明。11月初めには近隣住民への説明会も開いた。
発掘調査を担当した同課の文化財技師、木崎晴崇さん(27)は「3Dモデルは誰でも視覚的に理解できる上、より詳細な情報も含むことができる」とメリットを紹介。戦争遺構「掩体壕(えんたいごう)」の3Dモデルも公開しており、「市内にある古墳や文化財、美術品などにも広げられないか検討していきたい」と話している。