今月から県内の全消防が「マイナ救急」を導入した。タブレット端末でマイナ保険証から医療情報を読み込む救急隊員
救急搬送時に、マイナンバーカードと健康保険証をひも付けたマイナ保険証の医療情報を活用する「マイナ救急」が、今月から県内全ての消防に導入された。けがや病気が重く搬送者との会話が難しい状況でも、カード内のデータから持病や投薬履歴を把握できるため、症状に合った医療機関への円滑な搬送が期待される。
大分市消防局によると、マイナ救急は傷病者本人の同意を得た上で利用する。意識がない場合は、救急隊員が必要性を判断する。
専用のタブレットでマイナ保険証を読み込むと、過去1カ月間の受診歴や服薬情報、健康診断の結果が画面上に表示される。暗証番号の入力は必要なく、救急活動に無関係の情報にはアクセスできない仕組みになっている。
傷病者本人や付き添いの人から、受診歴などを聞き取る必要がなくなるため、記憶違いによる誤った情報伝達を防ぐことができ、スムーズな搬送が可能になるという。
一方で消防庁が昨年、全国67消防本部で実施した試験運用では、利用が広がらず実効性に課題が残った。2カ月間の救急搬送15万9492件に対し、利用は1万1398件と、わずか7・1%にとどまった。
原因を分析したところ、「マイナカードの不所持・不携帯」が最も多く73・8%。「保険証とひも付けていない」ケースも13・8%あった。
マイナ救急の運用は大分県内だけでなく全国で順次始まっている。来年4月からは全消防に導入される見込み。
大分市消防局は「利用するためには、マイナカードを保険証とひも付け、搬送時に携帯してもらう必要がある。多くの人に仕組みを理解してもらい、万一の際に役立ててほしい」と呼びかけている。