消防職員やライフセーバーらが遊泳客に避難を呼びかけた=30日午前10時36分、大分市神崎の田ノ浦ビーチ
カムチャツカ半島付近で発生した地震の影響で大分県内は30日、沿岸全域に津波注意報が発表された。佐伯市と別府市で最大10センチの津波を観測。海水浴場の閉鎖や海上交通の欠航が相次ぎ、自主避難する住民もいた。県によると、県内で被害は確認されていない。
大分地方気象台によると、県内は最大1メートルの津波が予想されるとして午前9時40分に注意報が出た。午後1時5分に佐伯市松浦(同市鶴見地松浦)、同1時41分に別府港の検潮所でそれぞれ到達を確認した。
県内で注意報の発表は昨年8月8日の日向灘地震以来。同地震では佐伯市松浦で5センチの津波を記録した。10センチ以上の観測は2011年3月の東日本大震災以来という。
注意報の発表を受け、県は災害対策連絡室を設置。海岸線に近い大分市佐賀関の県道佐賀関循環線を全面通行止めにした。県警はヘリコプターやパトカーを出動させ海沿いを見回った。
海水浴場は大分市や別府市など各地で営業休止となった。大分市神崎の田ノ浦ビーチでは、消防職員やライフセーバーらが危険を知らせる紅白の旗「津波フラッグ」を振るなどして遊泳客に避難を呼びかけた。
四国電力によると、伊方原発(愛媛県伊方町)の立地する佐田岬北側の海域に注意報は出ておらず、稼働に影響はない。
気象台で会見した高浜聡・南海トラフ地震防災官(62)は「高い津波が観測されていなくても潮の流れは速い状態にある。命を守るために、注意報が解除されるまでは海に入ったり、海岸に近づいたりしないでほしい」と述べた。