【写真左】候補者の第一声に耳を傾ける中村茉優美さん 【写真右】出陣式を初めて体験した出師毅人さん=3日、大分市要町
参院選が公示された3日、県内の大学に通う2人の学生が出陣式に足を運び、候補者の訴えを聞いた。若者の投票率の低下や政治への無関心が叫ばれる中、当事者は国政選挙をどう感じたのか。これまで、選挙は「遠い存在」だったという2人を通して、未来につながるヒントを探った。
JR大分駅前であった出陣式に参加したのは、立命館アジア太平洋大(APU)アジア太平洋学部3年生の中村茉優美さん(21)。「思ったより大規模。想像の5倍くらい人がいる」。セキュリティーチェックを受けて聴衆エリアに入り、「安全性は大切だけど、少しハードルが高いかも」と周囲を見渡した。
演説に遭遇したことはあるが、立ち止まったことはない。炎天下、初めて聞く候補者の声は複数人の応援演説などを経て約40分後に始まった。「すごく体力が必要」と驚きを隠せない。
女性活躍や若者が希望を持てる社会を主張する演説内容については「身近な話題だと感じたけれど、具体的にどう実現するのか分からなかった。達成に向けたビジョンを知りたい」と率直な思いを述べた。
日本文理大(NBU)工学部情報メディア学科の出師毅人(いずしたけと)さん(22)は、屋外の広場を訪れた。演説を聞くのは初めて。物価高騰や消費税、ガソリン価格に対する持論を聞き、「生活者の代表という印象を受けた。強く訴えたいことは自然と声が大きくなっており、引き込まれた」と話す。
会場の熱気にも圧倒された。拍手の力強さや声援、候補者との掛け合いは、スマートフォンの画面では分からない温度感があった。一方で、「他の政党に対する批判もあった」ことが引っかかっている。
2人が口をそろえるのは、参加者の年齢層の高さと男性の多さだ。同世代が少なく、居心地の悪さも感じたという。どうすれば若者の参画を促せるか。
中村さんは「SNSで候補者と有権者がもっと活発にコミュニケーションできたら、身近になるのではないか」、出師さんは「自分の生活は変わらないと思っている人も、スマホなどで気軽に投票できれば、実感が湧くかも」と提言した。