屋形島での栽培が途絶え、幻の作物と思われていた屋形島イモの苗=佐伯市蒲江の蒲江翔南学園
【佐伯】おおいた在来作物研究会(大分市)の関係者らが4日、佐伯市蒲江沖の屋形島でかつて栽培されていた在来作物「屋形島イモ」(サツマイモ)の復活プロジェクトとして、同市蒲江地域に希少な苗を植え付けた。
在来作物は世代を超えて受け継がれる地域特有品種。屋形島イモは米の取れない同島の主食だったが、時代の流れで栽培する人は減り、近年では目にする機会もなくなった。
きっかけは同会の森田昌孝会長(45)=大分高専准教授=が在来作物の調査をしたこと。今年2月、屋形島イモを調べ始め、蒲江出身の会社員中村貴敏さん(53)=大分市角子原=に協力を仰いだ。
中村さんのいとこで、最後の栽培者だった浜野謙三さん(71)と連絡を取ったが、島でのイモ栽培は既に途絶えており、イモは残っていなかった。
絶望的な状況だったものの栽培実績のある佐伯豊南高関係者の情報を頼りに3月上旬、県農林水産研究指導センター(豊後大野市)に確認したところ、栽培保存されていることが判明。各種手続きを踏まえて、苗を分けてもらい、復活プロジェクトにつなげた。
植苗は同島など蒲江地域の数カ所で実施。蒲江翔南学園での作業には同会の森田会長、斉藤美絵アンバサダー(43)、中村さん、2013年に浜野さんからイモ提供を受け、保存に取り組んだ元同センター職員の奈良絵美さん(63)=佐伯市鶴望=が参加。中学の生徒と一緒に、皮が赤色と白色の2種類の貴重な苗を植え込んだ。
参加した高橋幸平さん(3年)は「貴重な体験ができた。大切に育てます」と礼を述べた。
順調に栽培できれば9~10月に収穫時期を迎える。森田会長は「一度姿を消した作物が、皆さんの連携で今に残り、地域に戻すことができた。感無量。島でイモを育て、食べていた記憶などを活動を通して伝えていければ」と話した。