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投票所入場券の男女表記 大分県内13市町なくす

トランスジェンダーに配慮

 体と心の性が異なるトランスジェンダーに配慮して投票所入場券から「男」「女」の性別表記をなくす動きが、県内でも広がっている。21日投開票の参院選では全18市町村のうち13市町が表記なし。4市村も見直しを進めている。従来は自認と違う性を文字で目にするストレスや人に知られる不安から棄権した例もあったという。識者は「投票機会の担保につながる」と評価する。
 入場券の記載事項に法的規定はなく、各選管が決める。性別表記は氏名などの本人情報と並べて印字。2016年の障害者差別解消法施行を受け、総務省は同年の参院選以来、性別表記の必要性、表現を検討するよう求めてきた。
 大分、別府、中津の各市は04年の性同一性障害特例法施行後、数年間のうちに対応。日田市は11年、当事者の要望を受け、翌年の衆院選からやめた。その後は動きが途絶えていたが、昨年、県内選管の事務局長会議で議題に上がったことなどから、今年に入って9市町が変更。うち杵築市と玖珠町は参院選が初めてとなる。
 4月の統一地方選から変えた国東市は「どれほどの要望があるか分からなかったが、できる配慮なので対応した」と説明。唯一、見直す予定のない九重町は「今のところ問題を把握していないため」という。
 表記しない自治体は大半が、職員だけに男女の判別がつく「1」「2」に置き換えて対応。入場券の枚数をカウントして男女別投票者数を集計している。豊後大野市は全投票所の集計がバーコード読み取りのため、記載自体を削除した。
 性的少数者(LGBT)の権利擁護に力を入れる森あい弁護士(大分県在住)は「従来の『男』『女』表記は投票を棄権したケースもあり、参政権の行使を実質的に侵害していた」と、入場券問題の改善を歓迎。選挙人名簿の性別情報を基に外見や戸籍名とのずれを不用意に尋ねることなども問題として「研修で職員自らの理解を深めることが欠かせない」と指摘している。

〇「以前より行きやすく」
 女性の体であることに違和感がある会社員大住珊士(さんじ)さん(37)=熊本県在住=は2011年8月、当時暮らしていた日田市の選管に「男」「女」表記をなくす要望書を提出した。同選管が「地方都市にも当事者がいると分かった」と対応を改めるきっかけとなった。
 選挙では投票所入場券に印字された「女」の表記を見るたび、「悪意のない無神経さに怒りが湧いた」と振り返る。現在の名前に変えた後、男性風の名前と戸籍にギャップが生まれ「不審に思われるかも」と投票所がさらに遠のいたという。
 入場券に性別表記がなくなったことで「以前と比べて投票に行きやすくなった」。大分県内の他自治体にも配慮が広がっていることについて「声に出さなくても喜んでいる人は多いはず」と話している。
※この記事は、7月18日大分合同新聞夕刊11ページに掲載されています。
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