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緑茶に紅茶にウーロン茶、多彩で良質な佐伯の茶たち

 佐伯市は山間部を中心に古くから茶の生産が盛んだった。本匠の「因尾茶」と宇目の「宇目茶」は全国でも珍しい昔ながらの釜いり製法で知られ、独特の香ばしさが根強い人気を集めている。両所では緑茶だけでなく、茶葉を発酵させた紅茶も生産。昨年から因尾茶を使ったウーロン茶作りも始まり産地の魅力を増している。市内の生産量は年間約29トン(2016年度)と県内全体のわずか6%余り。小規模な産地ながら、多彩で特色がある「佐伯の茶」を紹介する。

○貴重な釜いり「因尾茶」「宇目茶」
 佐伯市内の茶の栽培面積は約57ヘクタール。生産される緑茶のほとんどを「因尾茶」と「宇目茶」が占める。特徴は釜いり製法。発酵を止める「殺青(さっせい)」と呼ばれる製造過程で、多くの日本茶は蒸して加熱するのに対し、釜いり茶は釜で直接熱するため、香ばしさが際立つとされる。
 同市本匠の82人が加盟する「本匠因尾茶生産組合」では、今年も一番茶の製造が始まっている。小野隆寿組合長(63)によると、昭和初期は全国でも釜いりが主流だった。「釜いりは葉に水分が豊富な青い若芽しか使えない。平成のバブル期以降、効率が良い蒸し茶が普及した」と説明する。
 現在、残っているのは大分や宮崎など一部地域だけ。日本茶全体の1~2%と貴重な存在になっている。
 因尾茶の歴史は古く、1609年の佐伯藩政史料に登場する。史料によると、当時の因尾村は周辺の村に比べて産出量が突出して多く、藩の財政を支えていたことがうかがえる。
 小野組合長は「因尾は番匠川が流れる山あいの地域で寒暖の差が大きい。よく朝霧が出るため、茶葉が日焼けせず良質な茶が採れる。多くの人に味わってほしい」と呼び掛ける。

○国産発祥「宇目の紅茶」 10年前に復活
 佐伯市宇目は明治時代、国内初の紅茶製造所が設置され「国産紅茶発祥の地」とされる。生産農家などでつくる団体「宇目茶」(清家美香代表、17人)は「宇目の紅茶」の名称で商品化し歴史を今に伝える。
 宇目紅茶の歩みは、1944年に経済学者の三瓶孝子が著した「農家家内諸工業の変遍過程」に記されている。1875年、内務卿(きょう)だった大久保利通が同市宇目木浦と人吉(熊本県)の2カ所で中国人2人を雇い、紅茶製造に着手した―とある。その後、生産は途絶えたが、当時は輸出品の一つだったとみられる。
 「宇目の紅茶」が復活したのは2009年。県農林水産研究センターから史実を聞いたメンバーらが「発祥の地」として製造を始めた。昨年は約14キロを生産。宇目の3カ所だけで販売し「まろやかな味わいが人気」という。
 メンバーらが加盟していた宇目茶業組合は昨年2月、組合員の高齢化によって解散した。
 元組合長の長女である清家さんが「宇目茶」の代表に就き、生産者らと一緒に茶業を守る。
 宇目では紅茶を作る6月と9月は湿度が高く、機械を使わずに自然発酵で仕上げができる。清家さんは「宇目は製造に適している地だと実感する。宇目産の茶葉だけを使ったこだわりの紅茶をこれからも作り続けたい」と話した。

○「ウーロン茶」 製法生かし昨年“始動”
 佐伯市本匠の農業者らでつくる本匠地域農林業活性化センター「きらり」(染矢宣幸社長)は、昨年から因尾茶を使ったウーロン茶作りに取り組んでいる。
 茶の消費を伸ばそうと挑戦。市と県の補助金を利用して専用の機械を導入し、昨年は60キロを生産した。
 ウーロン茶作りでは、古くからの釜いり製法を守ってきたことが功を奏した。製造過程で茶葉をいる作業が必要で、この際に釜いり茶の製造ラインをそのまま生かすことができた。
 ウーロン茶は、不発酵の緑茶と、完全に発酵させる紅茶の中間に位置する半発酵茶。花のような爽やかな香りが特長で、女性層をターゲットに販路の拡大を狙う。
 今年は昨年の3倍以上の生産を目指しており、二番茶が収穫される7月ごろから販売する予定だという。
 染矢社長は「県内で唯一のウーロン茶の生産地。ペットボトル入りのウーロン茶とは違う独特の香りと味を楽しんでほしい」。
※この記事は、5月30日大分合同新聞朝刊12ページに掲載されています。
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