AKB48 67thシングル「名残り桜」で初センターを務める19期生の伊藤百花 撮影:田中達晃(Pash)
昨年12月8日に結成20周年を迎えたAKB48は、前作「Oh my pumpkin!」(2025年8月発売)にOGの前田敦子、高橋みなみ、小嶋陽菜、指原莉乃が参加したことから始まり、12月の日本武道館4Days、20周年記念日の劇場公演、大みそかの『第76回NHK紅白歌合戦』まで歴史を築いてきたOGとの共演が続き、大きな反響を呼んだ。この盛り上がりを受け、第二期黄金時代を目指すAKB48の21年目第1弾となる通算67枚目シングル「名残り桜」で初のセンターに抜擢されたのが19期生の“いともも”こと伊藤百花(22)。思わず目を奪われるビジュアルで“万バズ”を連発する新センターに、OGとの共演を経た自身やグループの変化や心境を聞く。
【写真】万バズ連発の神ビジュアル AKB48新センター“いともも”撮り下ろし
■推しの大島優子に認識され「天にも昇る気持ち」
――2025年はAKB48の結成20周年記念イヤーでした。AKB48の伝説と歴史を築いてきたOGとの共演が続きましたが、まずは昨年12月4日~7日にかけて日本武道館で4日間6公演が行われた20周年記念コンサートの最終日に、推しの大島優子さんと共演をした感想から聞かせてください。大島さんは11年半前の2014年6月にAKB48を卒業されていますから、まさかの共演でしたよね。
【伊藤】はい!本当にうれしかったです。小学生の頃、一ファンとして見ていた大島優子さんそのものでした。いつも明るくて、本当に太陽だなって思いました。武道館公演の3日目にNot yetさん(大島優子、指原莉乃、北原里英、横山由依のユニット)の「波乗りかき氷」で大島優子さんのポジションに私が入らせていただいたんですけれど、翌日の最終日のリハーサルで私の名札を見た大島優子さんが「あれ? いともも?」って私のことを認識してくださっていて!その時はもう、天にも昇る気持ちでした。
――しかも、最終日に本家Not yetとして登場した大島さんが「伊藤百花です!22歳です!」と自己紹介して、前日に代役を務めてくれた伊藤さんのアピールまでしてくれていましたもんね。12月6日に誕生日を迎えたばかりの伊藤さんの年齢まできちんと把握して。
【伊藤】はい(笑)ものすごくうれしかったです!
――日本武道館最終日のMCで、伊藤さんはOGとの共演について「20周年でこんなに素敵な経験をさせていただいて、盗もうと思って頑張って練習しました」と言っていましたが、先輩たちの言葉とか行動で印象に残っていることや、学んだこと、見て盗んだことを教えてください。
【伊藤】AKB48は「今のAKB48」と「昔のAKB48」で分けて比較されてしまうことが多くて、そういうXのポストを見たり、声を聞くたびに「AKB48らしさってなんだろう」「私たちってどうしたら先輩方に近づけるのかな」と悩むことが正直多かったです。「今のAKB48は個性がない」という声を耳にすることもありましたし、個性は何かと探すけど、いきなり突出した何かを持つことはなかなか難しいじゃないですか。考えても考えても答えが出なかったんです。でも今回、先輩方と一緒に練習させていただき、パフォーマンスやMCを目の当たりにして、私の中で「AKB48らしさとは自分らしさ」なんじゃないかなっていう結論が出ました。
例えば、高橋みなみさんだったら曲中の煽りで「よっしゃ、みんな行くぞ!」という気合いのこもった煽りをする一方で、小嶋陽菜さんは「みんな、やっほー」みたいなゆるい煽りをされていたり、煽り一つとってもさまざまでした。私たちはこれまで、盛り上げなきゃという気持ちだけが先走って、型にはまった同じような煽りしかしてこなかったように思います。先輩方がすごくリラックスして自分らしく、自分の言葉でコミュニケーションされているのを見て、この自分らしさの集まりこそがAKB48なんだなというのをすごく感じました。もちろん、先輩方が長年ファンの皆さんと築かれてきた関係性も大きいと思いますが、こうやって自分を出していくんだなというのを学びました。メンバー一人ひとりが自分らしく活動できたら、AKB48のグループの魅力の拡散につながるんじゃないかなというのが、20周年イヤーでの大きな気づきでした。
あと、高橋みなみさんがリハーサルでも必ず大声を出して歌いながら踊っていらっしゃったのもすごく印象的でした。常に全力で、先陣を切って、声を出すことをためらわず、鼓舞する言葉を言ってくださって、ものすごく刺激をいただきました。私は今回、21年目1発目のシングルのセンターをやらせていただくことになり、私たちが目指す東京ドームに行くためには、一歩一歩のストロークを大きくしていかないとなかなか届かないところだと思うので、まずは自分が怖さとかを捨てて、何でもチャレンジしていこうと刺激を受けました。
――メンバー同士で話し合うことや意識の変化が出てきたなと感じることはありますか?
【伊藤】いっぱいあります。最近は楽屋でも「もっとこうしたらよくない?」とか「もっとこうしようよ」とか、一人ひとりがAKB48のことを真剣に考えているんだなというのがわかるような会話があちこちから聞こえてくるようになって、熱量がすごく高まってきたことを実感しています。自分自身としては、自分をよく見せよう、かわいく見せようと思いすぎているところがあったなと考え直して、自然体でいることを意識するようになりました。
――自分らしさや伊藤さんらしいチャレンジとしては、落語がありますよね。落語好きが高じてYouTubeで春風亭小朝師匠、三朝師匠、蝶花楼桃花師匠に弟子入りをして二代目春風亭コココを襲名し、一から学ばれていますが、かなり本格的な挑戦になっています。AKB48との活動の両立は大変ではないですか?
【伊藤】(取材日の時点で)今YouTubeで公開されているのが「こうもり」という落語を一席覚えて、お客様に見せられるかどうかを師匠にチェックしていただくところまで進んできています。その稽古がすごく大変で、一席覚えるのにすごく時間がかかってしまいました。両立は大変ではあるんですけど、やっぱり好きなことだし、披露したあとに師匠が褒めてくださったのがうれしくて。もっともっと覚えて、稽古を重ねたいなと思います。
――落語の演じ分けや目線の配り方など、劇場公演にもつながるところはあるでしょうしね。
【伊藤】そうなんです。劇場公演では、曲の主人公になれるように毎回主人公を変えて演じているつもりでステージに立っているんですが、落語も同じように一人で三役を演じ分けたりします。落語を学ぶことによって、表現力が広がっているんじゃないかなって思います。
■“神ビジュ”で万バズ連発「自分が入口になれているのがうれしい」
――そんな伊藤さんの大きな転機となったのが「可愛くてごめん」のカバー動画が見つかったことかなと思います。動画を引用し「AKB研究生にトンでもない爆美少女いる」と投稿したXユーザーのポストが“万バズ”(2月18日時点 6.2万いいね 702万インプレッション)し、それを受けて伊藤さんが自己紹介したポストも「ビジュ強すぎ」「神ビジュ」と反響を呼び、“万バズ”(2.2万いいね 249万インプレッション)となりました。昨年12月の日本武道館公演では1期生の峯岸みなみさんから「顔面でバズるってどんな気持ち?」と聞かれていましたが(笑)、改めてどんな気持ちでしょうか?
【伊藤】(照れ笑い)最初は単純にうれしいなという気持ちだったんですけど、最近は握手会でも広がりを実感できるようになりました。「Xを見て顔がかわいいと思って初めて握手会に来てみました」という方や「TikTokで踊ってる姿を見て、来てみました」という方、最近では、日本武道館で大島優子さんの代わりに入らせていただいた「波乗りかき氷」の動画を見て握手会に来てくださった方もいらっしゃって。
AKB48を全く知らなかったり、そもそもアイドル文化に足を踏み入れたことがなかったという方が握手会に来てくださっています。その後、他のメンバーの推しになったりするのも見ていて、少し悲しいときもあるんですけど(笑)。それでも、自分がAKB48を知っていただくきっかけになれていることはすごくうれしいです。すてきなメンバーがいっぱいいるのにあまり知られていなかったり、「全員同じ顔に見える」と言われてしまったりすることもあったり、悔しいなと思うこともたくさんあるんですね。まずは知っていただくところから始まると思うので、自分がその入口になれているのがうれしいですし、これからも自分の武器にしたいです。自分の推しにならなくてもいいので、まずはAKB48を知っていただくきっかけの1人になれたらいいなという気持ちです。
■「アイドルになりたい」応募条件ギリギリで受けたオーディション
――2024年3月にAKB48に加入されてまもなく2年になりますが、加入前にも芸能活動歴があるそうですね。昨年12月には子どもの頃に出演していたCMに10年ぶりに出演されたそうですが、AKB48加入前にどのような活動をしていたか教えていただけますか。
【伊藤】まずは、12歳の頃(2015年)、芸能事務所には所属していなかったんですが、エポック社さんの「アクアビーズ キラキラアーティストシリーズ」という、おもちゃのCMに出させていただいていました。その「アクアビーズ」のCMに、昨年12月、10年ぶりに出演させていただきました。そして、中学2年生のときに芸能事務所にスカウトされて、両親が厳しくて学業優先と言われていたのですが何度も説得して入ることになり、主に舞台で演技のお仕事をしていました。
――そこからAKB48のオーディションを受けることになった経緯は?
【伊藤】イベントでアイドルの方とご一緒させていただく機会があったんですが、間近で見て、“アイドルってこんなにキラキラしてるんだな”って輝きに圧倒されてしまって。当時、演技のお仕事があまりうまくいっていなくて落ち込んでいたときに、同い年くらいの女の子たちがキラキラ輝いて、すごく頑張っているのを見て、元気や勇気をもらって私も頑張ろうと思えたんです。心の支えだったので、そんな存在に自分もなれたらいいなと思ったのと、もともと表に出ることが好きだったこともあって、アイドルになりたいと思うようになりました。
私は考えるよりも行動派の性格なんですね。アイドルになりたい一心で、何もあてもないまま、まず一歩を踏み出して事務所を辞めました。これからどうしようかなと思っていたときに、たまたまXのタイムラインに「AKB48がオーディション開催中」というポストが流れてきて、“これだ!”と思って、1本に絞って応募しました。やっぱり、アイドルといえばAKB48というほど、小さい頃からずっと身近なアイドルでしたし、太陽のようにキラキラしていて日本中を明るくしてくれる存在でした。ただ、当時私は応募条件ギリギリの19歳だったんです(※募集期間が2023年10月22日~11月19日。誕生日が12月6日)。オーディション中に20歳になってしまったので不安もありましたが、奇跡的に受かりました。
――そのような経緯を経て、加入からわずか2年弱。67thシングル「名残り桜」のセンターに抜擢されました。21年目1発目のシングルという大役となります。日本武道館では大勢のAKB48ファンの前で決意表明をされましたが、改めてそのときの気持ちを振り返っていただけますか。
【伊藤】最初にセンターと聞いたときは、自分が口にして目標にしてきた場所だったのに、本当に怖かったです。ファンの皆さんには12月7日の武道館最終公演で発表されると聞いていたので、先輩方のファンの皆さんもたくさんいらっしゃる中で、“誰が自分のこと知ってるんだろう…”“誰も喜んでくれないんじゃないか”と、恐怖の気持ちしかなくて…。コンサート中はセンター発表のことしか考えられなくなって、最初から涙が止まらなくなっていました。発表直前の待機場所が指原(莉乃)さんと同じだったのですが、「大丈夫だよ」と抱きしめて励ましてくださって。「実力あるから自信持って。自信を持ったら絶対大丈夫だから」と言ってくださったのがすごく心の支えになりました。
発表の直前、会場が“シーン”となったらどうしようと思ったんですけど、“ワーッ”と拍手が沸き起こって、とても救われた気持ちになりました。先輩方も「ももちゃんが自分らしく楽しくやってくれたら」「支えるから大丈夫だよ」と言ってくださって本当に心強かったです。今ではAKB48ファンの皆さんと心強い先輩方がいれば絶対に大丈夫だと思っています。
■15年ぶりの“桜”ソング「心を持っていかれる」
――伊藤さんがセンターを務める「名残り桜」は、20thシングル「桜の木になろう」(2011年)以来15年ぶりに「桜」とタイトルのつくシングルですが、AKB48王道の楽曲ですね。
【伊藤】私はAKB48の楽曲の中で、切ない歌詞の明るい曲が好きなんです。明るくて疾走感のある曲調なのに、歌詞がどこか切ない、というのが切なさを助長させていて、心を持っていかれるというか…。まさに「名残り桜」がそうで、すごくうれしいです。歌詞は恋愛ソングのような感じがすると思うんですが、私としては、秋元先生が武道館公演や今のAKB48を見て書いてくださった歌詞のように感じているんです。恋愛だけじゃなく、何かに想いを馳せている方にも共感していただけるような歌詞になっていると思っています。AKB48の中でもタイトルに「桜」と付く曲は名曲が多いですし、たくさんの方にご自身の経験と結びつけながら聴いていただきたい曲です。
――歌唱パートで苦戦したところはありましたか。
【伊藤】やっぱり歌い出しです。歌い出しが自分ということにものすごく感動して、うれしくって。レコーディング前には家のお風呂でいっぱい練習しました。
――好きな歌詞、もしくは共感したフレーズがあれば教えてください。
【伊藤】後半に「若さとは過ぎて行く季節に気づかぬこと」という歌詞があるんですが、秋元先生の「◯◯とは◯◯だということ」というフレーズがとても好きで、この曲にも入っていたのがうれしかったです。自分が高校を卒業してから高校時代はすごく楽しかったな、青春だったなって気づいたのが最近なんですよ。この言葉がわかるようになってすごく共感しました。
――ミュージックビデオの見どころは?
【伊藤】ドラマシーンが結構多いのですが、私の役どころは高校生のときに好きだった人に何も声をかけられないまま大人になって、また地元で再会したその人に、「来年また会おう」と声をかける設定です。AKB48加入前に少しだけ演技のお仕事をさせていただいていたので、その経験を活かせたかなと思っています。私は笑顔が印象的と言われることが多いのですが、ちょっと寂しげだったり、切ない表情での表現も頑張ったので、ぜひドラマシーンに注目してほしいです。
■AI秋元康がセンターに抜擢「20年の歴史の中でも私しかいない」
――カップリングには、昨年9月に日本テレビで放送された『秋元康×AI秋元康 ~AKB48新曲対決』で話題を呼んだ「思い出スクロール」と「セシル」も収録されます。伊藤さんはその対決で勝利したAI秋元康プロデュースの「思い出スクロール」でシングル表題曲よりも先にセンターを務めました。AI秋元康にセンターに抜てきされたそうで、AIは先見の明がありましたね(笑)。
【伊藤】秋元先生の考え方を学習したAIの秋元先生が選抜メンバー16人を決めて、一人ひとりと面談してセンターに選んでいただきました。感情分析ツールで表情や仕草などを数値化して、ベストマッチしたのが私だったそうです。AIに選ばれたセンターはAKB48の20年の歴史の中でも私しかいないと思うので、すごく誇りに思います。
――「思い出スクロール」の楽曲もAIがテーマを決めて、集まった音源から選んで、作詞したそうですね。
【伊藤】葛藤もありつつ、前向きな歌詞がすごく好きで、テクノポップ調で機械的な感じもちょっとあるような感じがします。それもまたAI秋元先生の感じが出ていると思います。すごく好きな曲です。
――『EIGHT JAM』(テレビ朝日系)では、音楽プロデューサーのいしわたり淳治さんが「2025年のマイベスト10曲」の1位に選ばれていましたよね。
【伊藤】はい、びっくりしました! すごくうれしかったです。
――19期生の正規メンバー昇格記念ソング「単!サイ!ボーグ」は、ダンスナンバーとなるのでしょうか。
【伊藤】そうなんです。19期生(伊藤、奥本カイリ、川村結衣、白鳥沙怜、花田藍衣)って結構ふわふわだねとか、以前のAKB48で言えばチームBみたいって言われることが多かったので、19期生としてこの曲をいただけたのが最初はすごく意外だったんです。でも、私たちは一人ひとり内に秘めている芯や想いが強いなと思っているので、この曲で私たちの胸の内やカッコいい部分をさらけ出したいです。私たちの新しい部分をファンの皆さんに見せられるような大切な楽曲になるんじゃないかなと思っています。
■何事も挑戦を恐れず「チャンスを絶対に離さないように」
――それでは改めて、21年目に突入したAKB48としての目標と、センターとしての意気込みとをそれぞれ聞かせてください。
【伊藤】2025年はOGの皆さんをはじめ、たくさんの方々の力をお借りしましたが、2026年からは現役メンバーで目標に向かって進んでいきます。AKB48はこの1年が本当に勝負の年だと思っています。昨年は本当にありがたいことに『NHK紅白歌合戦』や『日本レコード大賞』などにOGの方々と一緒に出演させていただき、「AKB48ってやっぱりこうだよね」「今のメンバーたちもいいね」と注目していただきました。AKB48の良さって見ていて元気がもらえるところだなと改めて思ったので、「私たちが日本を明るくするぞ」というくらい大きな志を持って、AKB48の歴史を大切につないでいけるように頑張ります。
センターとしては、まずは知っていただくこと。そして、そこからAKB48の沼にハマる方々を増やせるように、何事も挑戦を恐れずに進んでいきたいなと思います。21年目1発目のシングルですし、いただいたチャンスを絶対に離さないように、「一つ一つ結果を残していくぞ」という気持ちです。怖さを捨てて前のめりに、前向きに、センターを務めていきたいと思っています。自分を信じて、切り込み隊長になれるように頑張る!というのが個人的な目標です。
シングルをリリース後の4月には春コンサートもあります。代々木第一体育館3日間4公演を満員で成功させることが一番近い目標なので、メンバー一丸となって頑張ります。
■「AKB48 春コンサート2026」
日程:4月3日(金)~5日(日) 3日間4公演
会場:東京・国立代々木競技場第一体育館