川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターなどの研究チームは5日、がん治療などに使われる人工微小粒子「ナノマシン」を免疫の攻撃から守り、体内に長時間維持する新たな技術を開発したと発表した。
チームは新技術をナノマシンの「透明マント」と説明。がん細胞への栄養供給を断ち飢餓状態に追い込む働きのある酵素を搭載したナノマシンを、難治性の乳がんや膵臓がんのマウスに投与して効果を確認した。成果は英科学誌に掲載された。
オンラインで記者会見した片岡一則センター長は「単に薬をがん細胞に届けるのではなく、長時間とどまることで体内の環境を変える。新しい治療法への応用が期待できる」と話した。
従来のナノマシンは、免疫細胞に異物として排除されにくいよう、高分子物質でくるむなどしていたが、効果が長続きしなかった。新技術は、ナノマシン自体を免疫に見つかりにくい分子構造にした。血中に投与後、量が半分になるまでの時間(半減期)は、従来の10倍以上となる100時間超に延びたという。
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