機関銃を構えるビタリー・ズイエフさん=7月、キーウ(共同)
ウクライナの首都キーウに押し寄せるロシア軍の無人機に対し、動員対象ではない裁判官らが夜間に機関銃で迎撃任務に当たっている。迎撃を避けるために無人機は今年に入って飛行高度を上げ、撃墜は一層難しくなったが、隊員は「高額なミサイルを使っての迎撃は軍の役目。われわれは安価な弾でできる防衛を担う」と意気盛んだ。
「元々は素人。撃ち方も手探りだった」と最高裁判事ビタリー・ズイエフさん(48)が苦笑した。迎撃に使うのは隊員が愛着を込めて「大先輩」と呼ぶ第2次大戦時代の4連装機関銃。イラン製無人機「シャヘド」が飛来する闇夜、目印に赤いレーザーポインターを照射しエンジンを狙う。機関銃と弾は軍から支給を受け、仮想現実(VR)を利用した施設で訓練を重ねている。
部隊には有志ら約500人がおり、市内10カ所に隠した迎撃拠点に4人一組で潜む。24時間態勢で、空襲警報が鳴ると、軍からの情報を示すタブレットで無人機の位置を確認。敵機は赤色、味方機は青色で表示される。今夏の攻勢で飛来数は急増し「多い日は10機ほどが頭上に来た」という。
ズイエフさんは2022年の侵攻開始直後、裁判所のある地区を守ろうと領土防衛隊に入った。その後、経済事件の判事として昼間の職務を続けたが「何かせずにはいられなかった」。憲法裁の判事ら有志で部隊を発足させ、動員対象外の公務員に口コミで拡散。今では約50人の法曹関係者が部隊の中枢を担う。
シャヘドは全長約3・5メートルあるが、エンジンを撃たなければ落ちない。22年秋にシャヘドを投入したロシア軍はその後、戦術を変更。現在は高さ約2~5キロを飛来する。旧式の機関銃の射程は1キロほどしかなく、攻撃を控え降下する限られた瞬間しかチャンスはない。
キーウ市内の部隊本部には、ウクライナ語で「夢」を意味する部隊名「ムリーヤ」の旗を掲げる。ズイエフさんは「戦力は軍だけではない。夢も志も高く、防衛に努めていく」と胸を張った。(キーウ共同=山崎唯)
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