旬の適期に収穫したうまい野菜が食べたくて始めた週末菜園生活。野菜作りの先輩や近所の人たち、種苗・園芸用品店に教えを請いながら、自分で野菜を育て料理して食べる。「自産自消」ライフをリポートする。
※大分合同新聞 夕刊ホビー面 2009(平成21)年6月16日~2012(平成24)年3月29日掲載
この5月から6年ぶりの菜園生活を始めた。九州石油ドームから約22.5㎞の大分市松岡の実家に週末通う。 畑は東西に5m、南北に8mほど。会社の同僚と2人で完熟堆肥(たいひ)をまき、くわで畝をこしらえた。土から掘り起こされたミミズが、迷惑...
夏といえばカレー。そもそもことしの菜園づくりは、自家製の夏野菜カレーを作りたくて野菜の種類を選んだようなものだ。 5月半ばに苗を植えて2カ月あまり。大分市松岡にある約40平方mの第1菜園は、実りの時を迎えている。農作業後の昼食に、ちぎ...
朝取りの自産野菜を土産に8月上旬、高校の同級生で東京で暮らす友人のアパートを訪ねた。東京出張の際に会う約束をし、土産をあれこれ思案したが、郷土の味に勝るものはないと考えたからだ。 夜、台所を借りてゴーヤーとナスの中華風粉練り、万願寺ト...
「ニンジンは芽を出させるのが難しいんぞ。おれは今年、2回種をまいたけど芽が出らん」 9月初めに種をまいて芽が出た第1菜園のニンジンに水をやっていると、前を通りがかった隣のおいちゃんがこう言った。「わらを敷いたのがよかったのかもしれんな...
いよいよ冬野菜作りのシーズン本番。なり物が中心だった夏野菜は、大小トラブルはあったものの、なんとか収穫し、食べることができた。冬野菜は葉物と根菜類を中心に選んだ。中でも、6年前にホウレンソウで失敗した経験しかない葉物は、ほとんど未知の領域...
冬野菜の定番といえば大根。第2菜園に9月13日にまいた大根を、11月14日に初めて収穫した。「一番大きいのを選んで抜くんで」。大根の畝の草取りと名誉ある第1号の収穫担当に任命した娘に、注文を付けた。 あれでもない、これでもないと迷っ...
①7→4 ➁4→7 ③7→9 ④10→9 ⑤12→11 競馬の予想ではない。第1菜園の無農薬栽培ブロッコリー類5本で退治した青虫の数の変化を表した数字だ。矢印の上の数字が防虫ネットを掛けた翌週の12月6日、下の数字が13日に...
食べ切れない野菜をどうするか? それは家庭菜園している人なら誰もが経験する悩みだろう。自分の家で食べる分だけを作ればいいが、買ってきた種を一度に1袋、全部植えると、収穫のピーク時には食べきれないほどの量になる。 第2菜園に植えた大根...
「ジャガイモを植えるのはまだ早いで。霜に芽をやられる」と、家庭菜園の先輩である近所のおいちゃんは言う。だが「2月10日をすぎれば植えられる」との触れ込みで1月16日に買ってきた小粒のジャガイモ「インカのめざめ」は、既に芽が1㎝以上に伸びて...
「下郡の原田です。大きな大根ができよるよ」。2月下旬、朝一番で職場に元気な声の電話。声の主は駆け出しの事件記者の時にお世話になった元警察官の原田晃さん(68)=大分市南下郡=だった。定年退職を機に本格的に家庭菜園を始めて8年になるという...
これまでの人生で、天気予報で聞く「霜注意報」なんて特に意識したことはなく、どこか遠くのことのように聞き流していた。だがジャガイモを植えてみて、42歳にして初めてその意味を実感した。 3月27日朝、出勤前に大分市松岡の実家の菜園に立ち...
週末菜園生活2年目を迎え年頭に「今年は早めの作業」を誓った自産自消農園は、18日に耐病性が強い接ぎ木の苗を含め、トマトとナス、ピーマン類の苗計15本を植えた。5月16日に植えた昨年より、ほぼ1カ月早い。 植え付けは、今春中学生になっ...
「オクラは直根やけんな、本当は移植には向かんので」 弱ったオクラの脇で「昨年はうまくいったのになんで?」と思案顔をしていたら、犬の散歩で自産自消菜園の前を通り掛かった近所のおばちゃんから謎解きのヒントをもらった。ネットで「オクラ」「...
「原産地を頭に入れておくと役に立ちます」。大分市の光延農園の光延和夫常務はこう話す。その理由は……。 家庭菜園の夏野菜の代表格といえばナス、トマト。どちらもナス科だが、実は原産地が違う。 「ナスとトマトを同じ場所に植えて同じように...
夜勤明けで昼前出社にしてもらった17日朝、貴重な梅雨の晴れ間を利用しようと、午前6時前に起きて作業を始めた。夜勤の疲れが残るのに、この時刻に始めたのは、涼しい朝方に作業をしたかったのと、もう一つ、あることを期待していたからだ。 菜園に...
自産自消の菜園がある大分市松岡の実家は、三方を水田に囲まれている。南に面した座敷の縁側から1間(けん)(約1.8m)先には昭和井路の支線が流れ、青田を潤し、心地よい水音と涼感を運んでくれる。夜、この縁側に座って自産野菜の料理をつまみに一杯...
タレントの所ジョージさんが畑の草取りの最中に熱中症にかかって救急車で病院に運ばれた、と報じられた翌日の8月5日、熱中症を気にしながら出勤前に第1菜園の草取りをした。 高校生のころから所さんの似ていない物まねをしてきたが、救急搬送は似な...
失敗して落ち込んでは立ち直り、「七転び八起き」の精神でやっている家庭菜園初級者なのに、成り行き上、マスコミ志望の大学生のインターンシップ(就業体験)を、自産自消菜園で受け入れることになった。 3日午前5時半、待ち合わせ場所に指定した大...
12日に刈り取ったゴマを約2週間、納屋の軒下で陰干しした。今にもさやから実が飛び出しそうなほど乾燥が進んだので、25日に脱粒(さやから実を取り出す作業)と選別をした。 アフリカ原産といわれるゴマは乾燥に強く、猛暑で雨が少なかった今年の...
「ポン!」 IH(電磁)クッキングヒーターのグリルで焼きナスを作っていると、膨らませたポリ袋をたたいて破裂させたような音がした。 何が起こったのか、即座に理解できた。ナスの水分が加熱によって気化し、内側から蒸気で膨れようとする力に...
自産自消菜園がある大分市の平たん地では、今月末から11月下旬が、玉ネギの苗の定植時期。野菜の品種選びや栽培方法の相談などでお世話になっている大分市の光延農園にはこの時期、玉ネギの苗の予約に訪れるお客さんが多い。 玉ネギは10月末から1...
10月29日に大分市の光延農園から、玉ネギの苗入荷の連絡を受けた。 新玉ネギを来春の早い時季に食べ、貯蔵物を翌年の新玉ネギのシーズンまで持たせたいと考えて選んだのは、3月中旬から収穫できる超極わせと、年を越えて保存できる中晩生種それぞ...
昨年、大失敗だったホウレンソウは今年、リベンジを期して、たくさん植えた。種は殻の付いたものと、発芽しやすいように殻をむいたものの2種類を準備。殻をむいた種は11月上旬、春に収穫する豆類の畝の端にまいた。 乾燥していると発芽しにくい殻付...
一陽来復。冬至を過ぎたが、野菜にとって寒さが気掛かりになる本格的な冬はこれからだ。今冬は平年より寒くなるらしい。25日朝、自宅のバルコニーに放置していた鍋に氷が張っているのを見て、「野菜の防寒対策を急がねば」と尻に火がついた。 11月...
子どものころ、理科の実験が好きだった。「〇を△に変えたらどうなるか」。結果と理由を想像するのが楽しくて仕方なかった。 12月下旬に始めたスナップエンドウの防寒対策実験は早くも、対策の有無による差の兆候が出始めた。不織布でトンネル状に...
自産自消生活3年目になる今年の目標は「食料自産率の向上」だ。 これまで、家庭菜園では自分が好きな野菜、容姿や能書きがおもしろそうな野菜、スーパーであまり見掛けない野菜―を中心に作り、自産で足りない野菜は、スーパーで買ってきた。というよ...
昨年9月中旬の同じ日に種をまいた大根とニンジン。大根が残り2本になったので、ニンジンと一緒に筑前炊きにして冬大根の有終の美を飾ろうと、朝5時45分に起きて台所に立った。 「シャッ、シャッ」 小気味よいリズムで前日に畑から引いてきた...
職場の野球仲間と一緒に鍋料理を囲もうと自産自消菜園から引いてきた今季最後の白菜が、鍋の会が流れて行き場を失った。そこで2月下旬、この白菜を使って“自産自消キムチプロジェクト”に取り掛かった。 「白菜キムチの作り方」でネット検索。検索結...
作業ができなかった週末を挟んで2週間ぶりに菜園に出ると、そこら中が春だった。エンドウは、霜よけに掛けた不織布に、伸びたつるが押さえつけられて窮屈そう。2月上旬に植えたジャガイモは芽が出ていた。超極わせの玉ネギは、5㎝ほどに膨らんでいた。 ...
大分市松岡の実家の敷地内にある2カ所の菜園のうち、第2菜園の、母屋に隣接した東西に2m、南北に5mの区画はもともと、亡き母のイチゴ畑だった。 年を取り、イチゴの植え替えが困難になるのにつれて、鉢植えの木が一つ、二つとイチゴ畑に置かれて...
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