「18歳選挙権」の導入が決まった。人生初の1票を手にした学生たちは、どのような思いで権利を行使するのか。体験型の主権者教育を目的とした大分大学での連携授業を通し、市民意識を育みながらさまざまな社会問題に向き合い、解決策を探った。大分合同新聞創刊135周年記念の年間企画。
※大分合同新聞 朝刊社会面 2016(平成28)年5月9日~2017(平成29)年3月27日掲載
大分合同新聞社は大分大学との包括的な連携協定に基づき、本年度から同大学で連携授業を展開する。6月から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのに伴い、市民意識を自ら培う体験型の主権者教育を実践。地域社会が抱えるさまざまな問題に向き合いながら...
地域社会の在り方を考える大分大学と大分合同新聞社の連携授業が12日、大分市の同大学旦野原キャンパスで始まった。双方の包括的な連携協定に基づく初の取り組みで、「18歳選挙権」で1票を手にする学生の市民意識を育むのが狙い。体験型の主権者教育を...
もうこんな時間? いつも1日が早い。 さっきランチを食べたのに、気付けば日が落ち始めている。「高校と違って授業のスピードが早く、ぼんやりしてたら取り残される」。夜は友人と遊びに行ったり、学生寮で女子会をしたり。結婚式場でのバイトも決ま...
今春スタートした大分大学と大分合同新聞社の連携授業は、経済学部1年の32人が受講している。面々は県内のほか宮崎、長崎、佐賀、福岡や山口、愛媛、香川の8県から集まった男子12人と女子20人。社会に出るための助走期間を「大分」で過ごす18、1...
将来は高校の公民教諭になると決めている。 「いつか故郷に戻り、母校の教壇に立ちたい」。そのために朝から夕方まで授業に出る。空き時間には本を読み、新聞を広げる。「とにかく勉強がしたいんです」。香川県丸亀市出身の大分大学経済学部1年、宮本...
人と話すのがあまり得意じゃない。大分大学では「そんな自分を変えたい」。 周りはみんな笑顔だ。キャンパス生活を謳歌(おうか)しているように見える。「大学を楽しめるかどうかは私次第。自分から動くのは苦手だけど、頑張って積極的になればいろい...
どうやったら稼げるか。常に考えている。 佐賀県唐津市出身の大分大学経済学部1年、青木成樹(なるき)(18)は起業を夢見て大分で1人暮らしを始めた。 刺激や商機の多い都会の大学に憧れを抱かなかったわけじゃない。でも「結局、行ったとこ...
< ♪ 夜の校舎 窓ガラス壊してまわった > 聞くたび思った。どうしてそんなことをするんだろう。うんざりした日々、支配、闘いからの「卒業」……それは何を意味するのだろうか。 大分市新春日町の山田菜々恵(18)はこれまでずっと、早世...
今春スタートした大分大学と大分合同新聞社の連携授業は19日、地域社会の課題を探るフィールドワーク(体験交流活動)に入った。「18歳選挙権」を見据え、学生たちは6月中旬まで大分市内の障害者・子ども支援施設を訪問。ボランティア活動など体験型の...
午前8時半。陽光差し込む食堂に約40人が雑然と並んだ。 体を揺らしながら独り言を発する中年男性、無表情の若手女性、笑い続ける年配者……。老若男女の格好はさまざまだ。 朝礼が始まった。「大分大学から来ました。経済学部の1年生です。今...
日が傾いた。「今日はお疲れさまでした。どうでした?」 体験作業を終えた学生に、障害者就労支援施設「ひまわり畑」(大分市辻)の支援部長、松浪泰一(37)が語り掛けた。「ところで皆さんに質問です。ここの従業員(知的障害者)は幾らもらってる...
ランドセルを背中から下ろすと、子どもたちは宿題を始めた。 見知らぬ「来客」の気配を察した途端、一斉に鉛筆を置く。突然、男児が大声で叫んだ。「おい、変な大学生が来た!」。他の児童も騒ぎだす。「気持ちわりい。こっち来んな!!」 大分大...
人は多様だ。大分市坂ノ市の大分大学経済学部1年、阿部汐里(しおり)(18)は知っている。 中学1年の時だった。性同一性障害の姉(27)が戸籍の名前を変え、“兄”になった。「もっといろんな個性が認められる世の中になればいいのに」。そう願...
大分大学経済学部棟(大分市旦野原)の201号教室。学生が長机を囲んで向かい合う。 1年生を対象にした「地域社会の課題解決型ワークショップ」の授業で、非常勤講師の多々良友美(51)がマイクを持った。...
「18歳選挙権」の導入が始まる19日、大分大学と由布高校は若者の投票率アップ策を考えるアイデア創出ワークショップ(アイデアソン)に取り組む。新たに選挙権を得る18、19歳の主権者意識を高めるのが狙い。デジタルネーティブと呼ばれる若い世代が...
政治や選挙って思ったよりも身近――。19日、大分市の大分大学であった経済学部1年と由布高校3年1組のワークショップ(アイデアソン)。「意見をぶつけ合うことは難しいけど大切と感じた。社会も同じ。まずは選挙に行って自分の意見を表明すべきだと思...
大分大学経済学部と由布高校は「18歳選挙権」導入日の19日、若者の投票率アップ策を考えるワークショップ(アイデアソン)を大分市の同大学で開いた。大学1年と高校3年の新有権者ら計46人がアイデアを結集。政治や選挙の情報を得ながら登下校できる...
「18歳選挙権」の導入に伴い、大分市選挙管理委員会は6日、同市の大分大学旦野原キャンパスに参院選(140日投開票)の期日前投票所を設置した。大学内での開設は県内初で、低迷する若者の投票率を上げるのが狙い。7日まで。 午前10時、教養教...
空は鈍い鉛色だった。 7月10日の参院選投開票日。由布市庄内町の大分大学経済学部1年、山中樹奈(じゅな)(18)は午前6時半に目を覚ました。 「じゃあ、行くよ」。30分後、母(45)が運転する車に乗り込む。青田を横目に向かったのは...
<戻って来る?>。無料通信アプリのLINE(ライン)で尋ねると、東京で暮らす高校の同級生から返信があった。<帰るよ。一緒に投票行こう> 佐伯市出身の大分大学経済学部1年、植田尚幸(18)が古里で参院選の期日前投票をしたのは7月2日だった...
職員に言われた。「不在者投票の期間は終わっています。そもそも、ここではできません」 参院選投開票日の7月10日昼すぎ。大分市鴛野小学校に設けられた投票所で、宮崎市出身の金井佑介(18)=大分大学経済学部1年=はあぜんとした。 夕方...
「俺、選挙行ってくるわ」 大分市椎迫の大分大学経済学部1年、工藤幸太郎(18)は授業後に友達と別れ、大学内の期日前投票所で記載台の前に立った。蒸し暑い7月7日の午後3時前だった。 思い起こしたのはバイト先の光景だ。給仕として働く市...
今回の参院選では大分大学(大分市)に初めて期日前投票所が設置され、大分大と大分合同新聞社の連携授業で学ぶ学生が投票立会人を務めた。「選挙の現場」からのリポート。 【大分大学経済学部1年 山田菜々恵さん (19)】 今回の参院選...
【大分大学経済学部1年 遠山紗矢さん(18)】 私が参院選の投票立会人を務めて一番学んだ点は、物事を客観的に見ることの大切さだ。 立会人は有権者が投票する様子を見守ったり、投票所の開設を手伝ったりする。その過程の中で、実際に投票に...
体験型の主権者教育を目的にした大分大学経済学部と大分合同新聞社の連携授業「地域社会の課題解決型ワークショップ」は26日、初年度の前期日程を終了した。フィールドワークなどで市民意識を培ってきた学生は、活動の集大成として社会を取り巻くさまざま...
年間授業料53万5,800円。 大分大学経済学部1年の増羽(ますば)梨菜(19)=大分市=は自分で払うつもりでいる。 毎月4万5千円の奨学金を受ける。ファストフード店でのアルバイトは時給740円。それで自宅からの通学費も補う。「勉...
いける。手応えはあった。 7月下旬。社会問題解決の糸口を探る連携授業のプレゼンで、大分大学経済学部1年の男女4人グループは「待機児童問題」に切り込んだ。 <保育園落ちた日本死ね!>。そのブログの書き込みが世間を揺るがしたのは今年2...
ひらめきと行動力。この2つに「負けん気」が加われば、きっと不可能は可能になる。 「今晩、集まる?」。大分大学経済学部1年の女子4人が約束したのは、5限目の授業を終えた7月下旬の夕方だった。 身の回りにある社会問題を調べ、さまざまな...
大分大学の1年生32人がグループ発表をしていく。 前期最後となった夏休み前の連携授業「地域社会の課題解決型ワークショップ」は、いつも通り午後4時半から始まった。 社会を取り巻く課題の現状や打開策を、若者たちはどのような視点から提案...
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