「撤退寸前」から「業務提携」へ ──大企業新規事業の“本音”の現場

 JR西日本は3月26日、新・スペース体験予約サービス「Yoyappin」を開始した。同サービスはJR西日本のワークプレイス予約「+PLACE」とスペイシーのレンタルスペース予約「SPACEE」の統合によって誕生。一時は撤退寸前まで追い込まれるなど、順風満帆ではなかったが、一つずつ課題をクリアして、再スタートの一歩を踏み出した。大企業ならではの見えない「高く厚い壁」と向き合いながら新規事業を進めていく現場の本音を、JR西日本ビジネスデザイン部+PLACE推進室の柳一登係長に聞いた。


<JR西日本ビジネスデザイン部+PLACE推進室の柳一登係長>

ローンチ直後に直面した壁 ―─「目標未達」という現実


最初から順調な道のりではなかった。「+PLACE」は、2023年4月にローンチ開始。しかし、その直後から厳しい現実に直面した。目標の利益には届かず、低迷。そもそも事業として“回る姿”を、チーム自身が描けていなかったという。


消えない課題。議論を続けても、簡単に解決法は見当たらなかった。加えて、立ち上げメンバーが次々と異動。事業への思い入れやオーナーシップは徐々に薄れていった。言葉には出さずとも、後ろ向きの考えが頭をよぎる。「JR西日本でやる意味があるのか」-。「他にもっと価値のある仕事があるのではないか」-。チームには停滞感が広がっていた。


撤退か、立て直しか ──前提を疑う時間


正解が見つからない日々の中、転機となる出来事があった。決裁者となる部長が交代し、そもそものビジョンを含め、事業の前提を見直す議論が開始。部長からは「ローンチ時に描いた理想と今の現実のギャップに、本当に向き合っているのか」と、問いかけられた。チーム内で何度も協議。そして、撤退が初めて現実的な選択肢としてテーブルに上がった。


そんな時、ふと原点に立ち返った。JR西日本がこの事業をやり遂げる意味は何か。「広域鉄道ネットワークを有する事業者として、駅や沿線、地域に点在する空き資産や遊休スペースに、新たな価値を与える責任がある」と柳さん。「鉄道は単なる移動手段ではなく、地域と人、経済と生活をつなぐ社会のインフラだ」と、その周辺に生まれる余白を活かす挑戦から逃げることはできなかった。


その後も厳しい壁打ち、ゼロベースでの課題整理が続いた。時には、言いたいことが部長にうまく伝わらないもどかしさ、悔しさから、感情が揺さぶられる場面もあった。それでも、議論を重ねる中で、少しずつ事業の軸が整理され、何を変えるべきかが見え始めていった。

<サービス開始までの道のりを振り返る柳係長>

業務提携という選択 ──自前主義からの転換


最終的に導き出した結論は、「業務提携」という選択だった。現在のチームはスタートアップ連携や出向経験者、社会人採用など、多様なキャリアを持つメンバーで構成。そんな中、一人のメンバーから「この領域は、餅は餅屋で任せた方が良いのではないか」という疑問が浮かび上がった。チームメンバーも賛同。柳さんは「JR西日本の文化にとらわれすぎず、異なる経験や外部の発想を持つメンバーがいたからこそ決定できた」と、外部と手を組むことを決断した。


提携先を選ぶにあたり、重視したのは短期的な利益ではなく、事業の継続性。JR西日本というレガシー企業であるがゆえの制約や、手続きの多さ、スピード感の違いなど、「高く厚い壁」も隠さず伝えたうえで、共に進める相手かを見極めた。


ついにスペイシーと提携が決まり、「本当にやりたかったことができる」と、チーム内は高揚感に包まれた。一方で、自由度が増す分、「結果を出して当然」という無言のプレッシャーも。ただ、柳さんは「この決断は、『JR西日本のインフラ・アセット』×『外部パートナーの技術・スピード・柔軟性』によって、これまで届かなかった地域やユーザーに価値を届けるための挑戦でもある」と力を込める。


大企業で新規事業に向き合う人たちへ


仕事をするうえで、誰しもが壁にぶち当たることがあるだろう。思うように進まず、「くそやろう」と感じる瞬間もある。だが、そうした葛藤を経て問い続けた時間は、あとから振り返れば確かな財産になるはずだ。

「大企業だからと、自分たちですべてできるかもしれないが、『できるけど、やらない』という判断ができる組織の方が強い。自前主義を手放し、多様な視点を受入れ、前提を書き換え続けること。それこそが、今の大企業の新規事業に求められる「しなやかな強さ」だと思う」

一時は撤退寸前まで追い込まれた事業での再スタート。この選択を自分たちの手で正解にしてみせる。


■新・スペース体験予約サービス「Yoyappin」の詳細については、下記ページをご覧ください。

https://www.westjr.co.jp/press/article/2026/03/31/items/260331_00_press_Yoyappin.pdf





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