土木会社がハンドクリーム?!人手不足に悩む、家族を想って生み出したハンド&スキンクリームの開発秘話 【主守手(しゅしゅしゅ)ハンド&スキンクリーム】


「塗ってすぐ作業できるのに、うるおいが続く」—2024年11月に誕生した【主守手(しゅしゅしゅ)ハンド&スキンクリーム】は、手を酷使する土木現場の職人たちの声から生まれた商品です。


私たち三気建設株式会社は、1977年創業の岐阜県揖斐郡大野町にある土木会社。主に、のり面保護工事(山の斜面を守る工事)を行っている、社員十数名の会社です。主守手ハンド&スキンクリームは、そんな三気建設から生まれました。開発したのは私、三気建設の人事・広報を担当する杉山です。


今回は、土木会社がハンドクリームを作った経緯とその裏側について、お話しさせていただきます。




【開発者:杉山 阿有美】

大学卒業後、東京の化粧品会社にて商品企画とブランドマネジメントを経験。2024年2月に岐阜県にUターンし、「三気建設株式会社」に入社。人事・広報などを担当。写真は、法面のことを知ってもらうイベントを開催した時の様子!


■常態化する人手不足と、家族の危機

昨今よく話題に上がる「2025年問題」。全ての「団塊の世代」が後期高齢者となり、65歳以上が国民の3人に1人を占める2025年に起こる様々な問題を指しますが、建設業界では元々の人手不足に更に追い打ちをかけるように、現場を担う職人の数が一気に減少すると危惧されてきました。

弊社も例外ではなく、長年勤めてくれた職人がどんどん引退し、私が入社した2024年当時、職人8名のうち3名が60歳を超え定年を控えていました。


三気建設は、私の祖父を含む土木現場の職人たちが立ち上げた会社。現在は父が社長を務めています。若手を雇い・育てることが会社存続のためには急務でしたが、5歳下の弟が入社していたので、「三気建設のことは、私に関係ない」と心のどこかで思っていました。


三気建設の職人たち(2024年9月当時) 撮影:土屋航


求人活動は、社長であり職人でもある父がほとんど一人で行っていました。しかし、経営管理・現場での作業・さらに求人活動を行うのは、明らかに限界がありました。さらに弟も友人や知人に「三気建設に入らないか?」と声をかけるものの、「土木?きつそうだし無理。」と断られ、自分の仕事に誇りを持てなくなっているようにも見えました。

次第に家族の関係もギクシャクし始め、「このままでは、会社だけでなく家族もバラバラになってしまう」と感じ、岐阜に戻る事を決意。2024年2月のことでした。


■職人たちの声と「仕方ない」の現実

入社後、まず取り組んだのは職人一人ひとりとの対話です。

「現場で困っていることはないですか?」

「会社に変わってほしいことはないですか?」

そんな質問をぶつけて、人を集める前に職場環境を改善しようと思いました。


しかし出てきたのは「昔と比べたら、だいぶ働きやすくなった。」というポジティブな声、そして「セメントで手が荒れるけどね、これは仕方ないんだ。」という意見でした。


セメントを使った作業の様子(モルタル吹付) 撮影:土屋航


『山の側面を走っても、落石がないこと』

『土砂崩れが発生しても、道路が復旧すること』


見過ごされがちですが、のり面保護を行う弊社が守っているものは、“当たり前の生活”です。しかし、そこで働く職人たちが「手が荒れることは仕方ない」と当たり前を諦めてしまっていいのか?彼らの当たり前は誰が守るのか?—そんな想いから、私だからできることを考えるようになりました。


■「私だからできること」への挑戦

ふと父のデスクを見ると、さまざまなハンドクリームが並んでいました。

思い返すと、年中ハンドクリームを塗っていた父。

「何塗ったって、セメントの手荒れはどうしようもできないんだよ。」

そう語る父の言葉に、かつて化粧品会社で培った自分の経験を重ねました。


—手を酷使する職人を本気で考えたハンドクリームをもし開発できたら?

—彼らの“仕方ない”を守れるのは、私しかいないかもしれない。


そう思い、すぐさまハンドクリーム、そしてブランドの企画書を作り、父にプレゼンしました。

「本気で作るから、挑戦させてほしい」

そう伝えると資料をじっと見つめ、二つ返事で「やってみなさい」と言ってくれました。


三気建設の職人の手 撮影:土屋航


■ブランド「主守手」に込めた想い

ハンドクリームを“商品”として売るだけでなく、“ブランド”として立ち上げようと思ったのには、大きく2つの理由があります。


1つ目は、職人を守る方法はハンドクリームに限らないと考えたから。

セメントで手が荒れることだけでなく、今後も現場で働く職人を支える方法を提案できるようにしておきたい。そのためには、商品単体ではなく「職人を守る」という想いを軸に据えたブランドが必要だと感じました。


2つ目は、土木の「価値」や「ポジティブな側面」をもっと多くの人に届けたいと思ったから。

「汚い」「キツイ」「厳しい」——これは建設業界に対しよく言われる言葉です。こういったネガティブなイメージも、建設業界とりわけ土木が人手不足に陥っている要因のひとつだと感じます。

一方で、電気や水道、道路や鉄道といった生活基盤に密接に関わり、災害復興でも欠かせないのが土木。それにもかかわらず、エッセンシャルワーカーの定義に土木の職人は含まれていません。


職人たちと日々接し、現場で職人たちが生み出す仕事を目の当たりにし、「ネガティブな部分ばかりを取り上げるのではなく、社会に貢献している姿もきちんと伝えていかねば」と思うようになりました。

私が見て感じた【職人の姿】【土木が生み出すもの】【現場の空気感】。

それをもっと多くの方に発信するには、「#土木」では届かない方たちに、「#ハンドクリーム」「#スキンケア」という切り口で接点を広げ、ブランドの世界観を通じて伝えようと考えました。


現場は基本的に関係者以外立ち入り禁止。一般の方は中の様子を見ることができません。


ブランド名の「主守手」は、ブランドを作るに至った想いである「土木現場で中心(主)となって働く職人を守る手段」と、コンセプトである「主役は守り手」から、共通する漢字「主・守・手」が由来です。


ロゴ・パッケージデザイン・ビジュアルは、書道家やデザイナー、写真家など多くの仲間に協力してもらい、土木会社である私たちだからこそ表現できる世界観を作り上げました。


製品開発では、「塗ってすぐ作業できる」「長時間うるおいが続く」という両立の難題に挑戦。製造委託先の方に、職人たちの手肌の状況を細かく共有し、何度も試作・改良を重ねました。


最初は半信半疑だった職人たちも、真剣に意見をくれるようになり、最後には「これなら使える」と太鼓判を押してくれました。



主守手のInstagramには一般の方が立ち入りできない現場で、カメラマンに撮影してもらった職人たちの画像や現場の様子を中心に投稿しています。


■発売から広がる反響、新たな接点

こうして2024年11月にデビューした主守手ハンド&スキンクリームは、口コミや地元メディアで取り上げられ、デビューから8ヶ月で出荷数3,000個を突破しました。

量販店や広告に頼らず、地道に広がった数字です。


わざわざ弊社に買いに来てくださったり、SNSを通して「気に入ったので、こんな方にプレゼントしました!」とDMをいただいたり、郵便ポストにお客様から御礼の手紙が入っていたり。今までになかった接点が生まれていることを感じています。


さらに、関東の建設会社様から「安全大会の粗品として使いたい」とご連絡をいただき、熨斗対応を開始したところ、近隣の建設会社様からも同様にご注文をいただきました。届けたいと願っていた土木現場の職人のもとに、確実に商品が届きつつあることを感じています。


お客様からいただいたメッセージ。会社に大切に飾っています。


中でも印象的だったお客様は、昔土木の職人であったという方。私の祖父と同世代くらいだと思います。取材していただいた新聞を握りしめ、弊社にわざわざ立ち寄ってくださいました。「私たちのような職人を想ってくれている人がいると知り、嬉しくなって会いに来た。昔は素手で作業していたんだよ。」と語ってくださる姿に、思わず涙が出そうになりました。


■そして未来へ広がる主守手の輪

主守手ハンド&スキンクリームは、想定以上に多くの方に使っていただいただけでなく、当初の目標であった雇用にも繋がりました。


今年に入り、職人を3名雇用することができました。ハローワークに求人票を出す以外、お金をかけた求人広告などは出していなかったので、応募があったときは大変驚きました。主守手の取り組みを見て、「社員のことを考えてくれる企業だと思った」と応募してくださいました。


主守手は単なるブランドではなく、土木の価値と会社の姿勢を伝える架け橋になり、人材不足という課題解決の一歩につながったと感じます。


まだまだ道半ばですが、今後は他の商品展開も視野に入れながら、職人を守るブランドとして育てていきたい。そして、土木のポジティブな側面をもっと多くの人に届けていきたいと思います。


小さな会社の小さな挑戦ですが、この輪がさらに広がり、建設業界の未来を支えるきっかけになればと願っています。


マルシェに呼んでいただいたり、地元の企業様とコラボしたり。主守手を通じてできたつながりを大切に、これからも頑張ります!



■会社概要

社名:三気建設株式会社

代表者:代表取締役 杉山 宏二

所在地:〒501-0552 岐阜県揖斐郡大野町大字大衣斐264番地

TEL:0585-34-1420

URL:https://userweb.alles.or.jp/sanki04091420/index.html

会社Instagram:https://www.instagram.com/sanki.kensetsu/


■主守手ハンド&スキンクリーム:https://shushushu.jp/products/hand-and-skincream

■主守手Instagram:https://www.instagram.com/shushu_shu_official/




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