経営者よ、自らの「哲学」を問え――『通販の鬼』著者・茂吉氏が語る、事業の閉塞状況を打破するための覚悟と哲学
ダイヤモンド社から2026年3月に刊行された『通販の鬼 経営者が自らの哲学に向き合う「100の問い」』。通販業界が激しい過当競争にさらされる中、通販総合プロデューサーとして抜群の事業成長を牽引してきた茂吉氏による同書は、経営者や業界関係者を中心に大きな反響を呼んでいる。
今回の出版で、通販ビジネスにおける本質的な「"意志"決定」の重要性を説き、停滞する事業の現状を打破したいと語る茂吉氏に、その真意と、書籍に込めた「経営哲学」への思いを聞いた。

◯「通販とは、単なる販売チャネルではない」――本質への問い
そもそも、通信販売とは何か? 多くの人は、通販を「利便性の高い販売チャネル」や「効率的な流通システム」だと定義する。しかし、私の定義は異なる。 私は通販を、市場や顧客と深く通じ合うための「コミュニケーション販売」だと定義している。顧客は単にモノを買っているのではない。自らの悩みを解決し、願望を実現する手段を買っている。その価値をいかに伝え、顧客の心に届けるか。このコミュニケーションの質こそが通販の本質だと考えている。
現在の通販業界は、テクノロジーの進化により、かつてないほど「効率化」が進んだ。しかし、その一方で、顧客一人ひとりとの血の通った対話が失われつつある。効率を追い求めるあまり、誰にでも当てはまる正解を横並びで実行する企業が増え、その結果、業界は凄まじいレッドオーシャンと化している状態だ。生き残る鍵は、手法の模倣ではなく、経営者自身の哲学に基づいた「独自の答え」を導き出せるかどうかにかかっている。
さらに、通販という販売手法は、あらゆる事業活動に革新をもたらす力を持つ。すべての事業は顧客と企業とのコミュニケーションで成り立っており、市場におけるコミュニケーション競争だということもできる。コミュニケーション販売を追求する通販の考え方とアプローチは、事業革新に応用できるものだと確信する。
◯「"意志"決定」を代行する、唯一無二のプロデューススタイル
私は自らを通販総合プロデューサーと位置づけ、一般的なアドバイザーである「コンサルタント」とは明確に区別している。 コンサルタントは第三者としてアドバイスを行い、成功すれば手柄を、失敗すれば言い訳を並べることができる。しかし、プロデューサーは事業をゼロから生み出し、実行する「主体者」でなければならない。
さらに、私の場合は単に広告や物流を統括するだけではない。時には数千万円から数億円規模の「リスクマネー」を自ら拠出し、社長の代わりに"意志"決定を代行する。これは極めて重い責任を伴い、クライアントと運命を共にするものだ。あえて、私は「意思決定」ではなく「"意志"決定」と言う。事業家・経営者の「志」をベースに決定する、という意味であり、志に共感・共鳴し、その志を受け継ぎ、追い求めるという意味を込めている。これが、通販総合プロデューサーとしての私のスタイルだ。
今の日本には、優れた商品を持ちながらも、最後の一歩を踏み出せない経営者が多すぎる。私は、自らがリスクを負うことで、その「決断の壁」を共に乗り越え事業成長させるパートナーでありたいと考えている。
◯独自の哲学を引き出すための「問い」
『通販の鬼』は、経営者に向けた「100の問い」とそれに対する私の答えという形式をとっている。それは、読者に私の答えをコピーさせるためではない。 「茂吉の答えはこうだが、あなたはどう考えるのか?」と問い続けることで、経営者の中に眠っている独自の哲学を引き出してほしいと考えたからだ。
例えば、松下幸之助氏や柳井正氏といった偉大な経営者に共通するのは、徹底した『哲学力』である。「商売とは何か」「顧客とは何か」という本質的な問いに対し、自らの定義を明確に持っている。その強固な軸があるからこそ、困難な状況下でもブレない"意志"決定ができる。
能力の差ではなく、哲学の深さこそが企業を作る。経営者たちが自らと対話し、「独自の答え」を導き出し、「唯一無二の決断」を下すための道標として、本書を世に送り出した。
◯AIの「正解」と異なる「独自の答え」を導き出す
今回の著書では、あえて各章の冒頭に「AIの回答」を掲載した。読んでいただければわかるが、AIは非常に論理的で、もっともらしい「正解」を出してくる。しかし、それを読んでも心は動かない。商売において人を動かすのは、経営者の「強烈な問題意識」や「強烈な自問自答」、つまり剥き出しの哲学だ。
「利益とは何か?」「目標とは何か?」「CRMとは何か?」。これらの問いに対し、AIの出す一般解をなぞるのではなく、「独自の答え」を導き出せるか。例えば、「利益」を単なる数字と捉えるか、あるいは「次の価値を生み出すためのエネルギー」と捉えるか。その解釈の差が、組織の動きを変え、顧客への姿勢を変える。
◯七転八倒の中で出会った「通販」という生き甲斐
私のキャリアの始まりは、お世辞にも「優秀なビジネスマン」と呼べるものではなかった。新卒で入社した会社からわずか数年の間に4社も会社を変えている。そんな私が、運命的に出会ったのが通販の世界だった。きっかけは、ある通販企業の広告プロモーションに関わったことだ。それまでの広告といえば、ブランドイメージを高めるための「着飾った」広告が主流だった。しかし、通販の広告は違った。泥臭く、必死で、一文字一文字の言葉が直接、顧客の反応として跳ね返ってくる。
たった一枚のチラシ、わずか数分の映像が、何万人という人の心を動かし、一夜にして日本中の人々へ価値を伝え届けることができる一一その圧倒的なダイナミズムに、私は言葉を失った。「これだ。ここには、心が震える生き甲斐がある」
◯「リスクを負わない言葉」の軽さ
通販業界に深く入り込むにつれ、私はある強烈な違和感を抱くようになった。それは、業界に蔓延する「コンサルタント」や「広告代理店」などの存在だ。彼らは、クライアントが汗水垂らして稼いだ利益を、リスクのない場所から提案し、批評し、吸い上げる。データがどうだ、トレンドがどうだと語るが、その前提として事業家の「志」への心からの共感・共鳴、そして、その実現への執念が欠けているように感じる。
「もしこれが自分の金だったら、本当にその一手を打つのか?」。私は彼らにそう問いかけたかった。同時に、自分自身は絶対にそうはなりたくないと誓った。経営者が孤独な決断に震えているとき、外側から眺めているだけの人間はいらない。共に泥をかぶり、共にリスクを負い、その「決断」の重みを分かち合える存在。それこそが、今の私が標榜する「プロデューサー」という生き方の始まりだった。
失敗すれば自分の腹も痛む。だが、成功すればこれ以上ない景色を共有できる。そうやってクライアントと一蓮托生で積み上げてきた「決断の集大成」が、今の私を作っている。
◯埋もれた価値に光を当て、社会の損失をなくす
日本中を歩き回れば、素晴らしい志を持ち、誰かを幸せにする力のあるプロダクトを作っている企業が山ほどある。しかし、その多くが「伝え方」を知らず、あるいは「決断」ができずに、静かに消えていく。それは社会にとって、取り返しのつかない損失だ。何より、その事業家と社員たちの苦しみ・痛みを感じてしまう。
私は、そんな「本物」を見出し、私の持つ哲学とリスクを投じて、世に送り出したい。他者の顔色を伺い、流行を追うのではなく、自分が信じる本質を形にする。その勇気ある"意志"決定こそが、顧客から「これしかなかった」と選ばれる唯一の理由になる。
◯現状を打破したい、すべての経営者へ
この本は、通販経営者はもちろんであるが、自らの商品・サービスを拡げていきたい、事業を成長させたいと願うすべての事業家・経営者を思って書いた。もし、あなたが今、現状に満足せず、さらなる高みを目指しているのなら、この本を手に取ってほしい。そして、私と一緒に問い続けてほしい。「あなたの商売の『哲学』は、一体どこにあるのか?」「目の前の顧客はなにを思い、感じているのか?」「事業を構成する一つひとつ、いかにあるべきか_」その問いの先にこそ、現状を打破する唯一無二の、あなただからこその「気づき」があるはずだ。結果的に、レッドオーシャンに思える現状のなかに、あなたが生き抜くためのブルーオーシャンを見出すだろう。
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