街の小さなスーパーが業界初の「日本経営品質賞」大賞に輝くまで。株式会社ワイズマートが叶えた奇跡の物語

株式会社ワイズマートは、首都圏ベイエリアの駅前・駅近を中心に約40店舗の食品スーパーマーケットを運営しています。
各店舗の売り場面積は100坪から250坪と決して大きいとは言えず、品揃えも大型店には及びません。
しかし、そんな「小さなスーパー」が輝いたのは、スーパーマーケット業界で初となる2025年度「日本経営品質賞」(※)大賞でした。
今回は、地域密着の経営に徹するワイズマートが叶えた奇跡の物語について、吉野秀行代表取締役社長が語ってくださいました。

財務体質の弱さがネックで上場を延期した過去
ワイズマートは「お客様の身近な冷蔵庫代わりでありたい」を理念に掲げる「小さなスーパー」です。事実、各店舗の面積は業界平均の3分の1ほどしかありません。有力チェーンが群雄割拠する首都圏において、こんな小さな店舗は、とうの昔に消えてしまっていても不思議ではなかったでしょう。
さかのぼること25年前。私が37歳で2代目社長に就任した2001年6月に現社名へと変わったワイズマートは、2001年10月にジャスダック上場も控えていました。
しかし、足もとの財務体質は極めて弱く、人員も不安定でした。上場は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を理由に延期しましたが、本当の理由は「会社の評価が著しく低かった」ためでした。
当時は地道に売上を積み重ねても、大型店が出店すればお客様を奪われてしまい、ささやかな利益はすぐになくなりました。社員もパートも懸命に努力しているのに何も報いることができず、離職率が20%を超えたこともあったのです。
会社を変えた「日本経営品質賞」との出会い

「90億円の有利子負債を減らし、離職率を下げるため、『大きな会社より、強い会社。かっこいい会社より、あったかい会社』を目指さなければならない」
そんな危機感を募らせていた私が、日本IBMさんの勉強会で出会ったのが「日本経営品質賞」でした。
それからは日本経営品質賞のフレームワークを意識した経営に舵を切り、上場会社を意識した内部統制システム・月次決算差異分析・詳細な決算説明資料の開示スタート。同時に強い会社づくりを意識した財務体質の改善に着手しました。
売上を追うより、不採算店を閉じて社員の休みを確保することを優先し、どうしたら社員が主体的に考え、働けるのかを考えました。
「見てあげることが最高の教育」という方針のもと、経営幹部が頻繁に店舗を巡回して従業員に声をかけながら試行錯誤して築いた独自の評価制度とフィードバックの仕組みはビジネスモデル特許となり、気がつくと主体性を持った社員が「小さな経営者」として育っていったのです。
独自の「店主集団経営」で課題を克服
売場面積が限られる小型店舗で鮮度・品質が高く、日常使いに十分な品揃えの商品を適正価格で安定的に提供していくには、高度な運営力が求められます。ワイズマートは、その課題を独自の「店主集団経営」によって克服してきました。
各店舗の部門ごとに配置された店主(部門責任者)は、仕入れ・値付け・見切り・売場づくりに加え、販売管理費やパート採用まで幅広い裁量を持ち、部門を“ミニ経営単位”として運営しています。
これにより、地域特性に応じた独自の品揃えや売場づくりが可能となり、「行けば必要なものが揃う」店舗を実現。さらに、スタッフ一人ひとりの経営者意識と創意工夫を引き出し、店舗全体の収益力向上にも大きく貢献しています。
「チーム経営」への進化も遂げる
この3年間では「チーム経営」への進化も遂げ、各店舗では毎日の「11時15時ミーティング」で計画や進捗、課題、対応策を話し合うことでスタッフの仮説検証力を高めて店舗運営の質を向上させています。
また、2019年に開始した作業改善活動を通じて店舗・部門間の格差解消を図るとともに、2021年以降は社内で経営品質チームを立ち上げ、初期メンバーが5名だったセルフアセッサーを11名まで増員し、各セクションに分かれて申請書を記述しました。
2023年からは、日常業務での小さな気づきを重視する「パート社員プチ改善活動」もスタート。品出しや陳列方法を工夫するなど一人ひとりが自律的に行動し、2022年に導入したビジネスチャットツールにより、こうした取り組みが全社に共有されています。
2023年5月以降は、グロサリー社員が自由に参加できる「試食・商談・買い付け商談会」を開始し、2025年5月までに25回開催しました。取引先も約150社に拡大し、店舗スタッフは“あきんど”としての商才を磨いています。

坪効率は業界平均の2.5倍以上に増加
小型店舗ながら店内加工の惣菜・生鮮品、産地直送品など、鮮度・品質の高い商品を提供。生活動線上の立地や夜間帯営業による利便性向上と価格に依存しない差別化を図ることで付加価値を高めたことで、坪効率(1平方メートルあたりの年間売上高)は業界平均の2.5倍以上、人時売上高は1.6倍に達しています。
さまざまな変革活動が形になった今は、駅ビルやデベロッパー様から狭小スペースへの出店要請を受けるまでになりました。数々の取り組みをご評価いただき、創業50年の節目と重なった「大賞」の受賞は、苦労を共にしてきた社員にとって、どれほどの励みになるか計り知れません。皆でこの喜びを分かち合いたいと思います。
ワイズマートが目指す3つの「ありたい姿」とは?

一方で、人口減少・都市集中化の波は止まりそうもありません。これからも競争は激化することでしょう。コンパクトストアを磨き続けなければ、ワイズマートの未来はないと考えています。
私たちが目指す「ありたい姿」は、以下に挙げる3つです。
- コンパクトストアに磨きをかけ、競争に強い店・お客様をファンにするお店。
- 社員の物心両面の幸福を実現し、「小さな経営者」が自然に育まれる場。
- 地域の社会課題(フードロス・多様性など)の解決に貢献できる企業。
「競争に強いお店・お客様をファンにするお店」を
コンパクトストアを運営する私たちは、厳しい競争環境を生き抜く上で、商品力や技術に日々磨きをかけ続けています。
お客様は、日常生活で「良い」「使いやすい」と感じるお店を選ばれます。「お客様に選ばれない」というのは、他店に比べて魅力を表現できていないことに他なりません。コンパクトストアに求められるさまざまな要素に磨きをかけることで、「競争に強いお店・お客様をファンにするお店」の実現を目指しています。
「経営者意識を持ち、自ら考えて動ける人材」を育成
ワイズマートでは、店主集団経営により「経営者スピリット」を持った多くの部門責任者(チーフ)が、当事者意識のもとに自発的な部門経営を行っています。
明確な経営データが、いつでもクリックして確認できる環境にいることは、自然と経営者意識が高まり、「あたかも会社から場所を借りて経営している感覚」になってきます。
良い成果が上がれば「数字が自分を褒めてくれ」て、ささやかな自信を持てるようになります。うまくいかないときは、悔しい思いをして、どうしたら改善できるのだろうか?と考える癖が身につきます。結果として一人ひとりが「小さな経営者」として成長していくのです。
ワイズマート独自の評価制度も、経営者を育てる制度として機能しています。社内の人間が何度も試行錯誤して生まれた「自己申告書」と「賞与支給明細書」、「フィードバック仕組み」はビジネスモデル特許を取得しました。
ワイズマートが育てたいのは、単なる店舗スタッフや管理者(チーフ・店長)ではありません。たとえ良い結果が出なかったとしても、環境や競合のせいにしない自責の思いで、課題や改善点を探し出せる人材です。経営者意識を持ち、自ら考えて動ける人材こそが「小さな経営者」です。
「食」を通じて地域の「安全・安心」に貢献
地域密着を目指すワイズマートでは、出店している自治体14市区に福祉政策の一環として寄付金を収めています。さらに昨今の格差や貧困、気候変動などの社会問題に、一企業としていかに向き合うか議論を重ねてきました。私たちは「食」を通じて地域の「安全・安心」に貢献していきます。
また、お子様の成長を見守るスーパーとして、子育て支援を促進しています。ワイズカードと母子(父子)手帳の登録から4年間は、ほとんどの取扱商品(酒・タバコ・専売品を除く)に対し、お買い上げ金額から5%オフでご提供します。
原点は「おうちの冷蔵庫」のような存在
2020年から2023年の間はコロナ禍で休止していた食育関連のイベントも徐々に再開しています。食育活動にも通しては、私たち自身も「食品の素材や言われ」について学んでいます。
ワイズマートは、地域に根付く駅や自宅の最寄りにあるスーパーとして、お食事の献立づくりをサポートしているほか、ふらっと気軽に立ち寄れるお弁当・お惣菜を、いつでも納得の価格でご提供しています。
いざというときに頼れる、安⼼・信頼できる「おうちの冷蔵庫」のような存在でとして、たくさんのお客様に「⼩さいながらも他店より好き」「帰宅前についふらっと寄りたくなる台所スペース」と思っていただけるスーパー。そんな店舗づくりが、ワイズマートの「原点」です。
お惣菜をはじめ「おいしい」と思っていただける温かくておいしい商品の数々をご用意して、あなたの帰りをお待ちしています。
(※)日本経営品質賞
わが国の企業・組織への経営品質向上の考え方と活動を普及・推進する目的で1995年に創設され、変革のモデルに相応しい組織を表彰しています。創設の中心となったのは、1990年代から「顧客満足」に関する研究・実践を進めていた大手企業を中心とする有志20社と、(財)社会経済生産性本部(現:公益財団法人日本生産性本部)。審査員はいずれも経営の各分野で専門的な経験を積んだ実務家が務め、審査チームの審査、判定委員会、日本経営品質賞委員会を経て、その年の受賞組織が決定します。
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