「鍋島藩窯 大川内山」350年のリブランディング ― 産地が挑んだ1年間の記録


佐賀県伊万里市・大川内山は、江戸時代に鍋島藩の御用窯が置かれ、将軍家への特別あつらえの献上品を焼き続けてきた歴史のある「焼き物の里」です。

山々に囲まれたこの地で、約30の窯元が350年にわたり技術と文化を受け継いできました。

2025年、藩窯設置から350年という節目を迎え、伊万里鍋島焼協同組合は、次の400年に向けて産地全体のリブランディングに取り組みました。

アートディレクションの導入、デジタルアーカイブの構築、年間行事の刷新、大阪・関西万博への出展、記念シンポジウムの開催——。

プレスリリースではお伝えしきれなかった取り組みの内容をお届けします。

伊万里鍋島焼協同組合HP

鍋島藩窯大川内山 開窯350周年の取り組み

1 アートディレクション

「鍋島藩窯 大川内山」として今後統一感のあるブランディングを推し進めることを目的として、「長尾美術」長尾周平氏監修のもと、アートディレクションを行いました。

(1)ロゴタイプデザインの制作

開窯350周年を記念して制作されたこのロゴタイプは、長尾周平氏が大川内山でのフィールドワークを重ね、「大川内山の風景にふさわしいロゴ」として生み出されました。

伊万里鍋島焼協同組合で販売される焼き物のパッケージだけでなく、大川内山が焼き物の産地として行事名を表示する際などにも活用されています。

▲鍋島焼と大川内山を文字の造形で表現自他ロゴタイプ


(2)デジタルアーカイブの作成

この先何十年という時が経っても色褪せない記録を残すため、約1年半という期間をかけ、大川内山での作陶風景や焼き物を撮影しました。

動画や写真はデジタルデータとして保存され、大川内山の統一したイメージを広く周知するため、情報発信に活用されています。

▲作陶風景も作業ごとに細かく撮影が進められ、350年前から大川内山に脈々と受け継がれてきた陶工たちの強い意志、拘り、営みを後世に伝えます。

制作された動画はこちら

2 積極的な情報発信

大川内山を訪れる客数と来訪者自身のSNS発信を増加させるため、市内外での情報発信を積極的に行いました。

(1)現地での魅力発信

・大川内山に実際に足を運ばないと感じることが出来ない季節感や歴史の重み、文化の素晴らしさなどを実際に体験していただく散策ツアーの開催(11月2日、3日催行)

・取り組みの即時メディア掲出やイベント前の取材などを想定し、るるぶ、コロカルなどを招き、陶石を砕いていた唐臼小屋や現代の窯元の工場などをご案内するメディアツアーの開催(3月29日、30日催行)


(2)市外での魅力発信

・東京で開催されたテーブルウェア・フェスティバルへの出展(11月27日~12月3日)

・六本松蔦屋書店で開催された「伊万里フェア」への出展(10月10日、11日、12日)

・JR博多駅で開催された肥前窯業圏の焼き物をPRするイベント「はかた陶器まつり」への出展(2月27日~3月3日)



(3)インターネット上での情報発信

検索した人に目的の情報を届けられるような専用HPやInstagramの公式アカウントを開設しました

Instagram:鍋島焼

特設HP:開窯三五〇年 鍋島焼


(4)各地で開催「鍋島焼 献上の歩み展」

江戸時代、大川内山では将軍家に献上する特別あつらえの焼き物「鍋島」を制作していました。

先人たちの偉業と歴史に感謝しつつ、技術の粋を結集した鍋島の伝統と文化を体験し、新しい伝統文化を育んでいくことを目的として、九州各県の知事や全国の名城所在地の首長等を「城主」に見立て、登り窯で焼成された「瓶子(へいし)」という酒器を献上する「鍋島焼 献上の儀」が毎年行われています。

2025年はその瓶子の副本を一挙に展示する「鍋島焼 献上の歩み展」が開催されました。

・EXPO2025 大阪・関西万博(9月3日~9月5日)

EXPOメッセ「WASSE」内で行われた「九州の宝を世界へ~Treasure Island・KYUSYU~」の佐賀県ブースで、選りすぐられた12点の瓶子が展示されました。

・佐賀県立美術館(2月13日~3月12日)

大阪・関西万博の閉幕後、展示内容を更に強化し、大川内山に現存する29全ての瓶子が一挙に展示されました。


大阪・関西万博での展示の様子。城主に献上されてきた瓶子が一挙に展示されました。



瓶子の制作にあたっては、成形、絵付け、焼成など全ての行程が手作業で行われ、完成までおよそ4か月もの期間を要します。

鍋島藩窯に脈々と受け継がれてきた伝統の技術が結集され、この「瑠璃焼締松柏鳳凰文瓶子(るりやきしめまつかしわほうおうもんへいし)」は、令和7年5月27日、当時の内閣総理大臣である石破茂氏に献上されました。

献上の歩み展の様子(Instagram)

3 「鍋島焼開窯350周年 記念小皿」の制作

これまでの350年の歴史と伝統を次世代に伝える象徴として、「鍋島焼の四季彩る伝統と未来」をコンセプトに、春夏秋冬それぞれの草花をあしらった記念小皿が制作されました。


「春」

春を彩る花として「桜」「藤」「つつじ」が描かれた絵皿をデザインしました。

メインモチーフの桜には、かつて咲き方によってその年の穀物の実りを占っていたことから「五穀豊穣」の意味があります。

その祈りを込めて、鍋島焼にもよく描かれる絵柄の一つです。




「夏」

夏を彩るモチーフとして「紫陽花」「朝顔」「瓢箪」「笹」を描きました。

主役の柴垣朝顔文は支柱にしっかりとツルを絡ませることから、「固い絆」、「愛情」の意味を表します。

瓢箪文は種子が多い事から子孫の繁栄や多福をよぶ吉祥文様とされ、三拍(瓢)子揃って縁起が良いものと考えられてきました。

笹文は竹の長さと並んで長寿の意味合いを想起させ、健やかに育ってほしいとの願いが込められております。紫陽花文は、形が蜂の巣に似ていることから、蜜を集めるとして御利益があるモチーフです。


「秋」

移ろいゆく季節の中にあっても、変わらぬ想いを器に込めてきた。この記念皿には、秋を象徴する花が咲いています。

成熟と静けさを湛える紅葉。思いやりの心を映す萩。誠実な愛を誓う桔梗。高貴さと真実を示す菊。可憐な純愛を語る撫子。

それぞれの花が語るのは、先人たちが守り伝えてきた心と、これから未来へ手渡すべき想い。この器は、三五◯年という時を彩る「感謝」と「希望」の結晶です。


「冬」

冬を彩る花として「牡丹」「椿」「梅」を描きました。

牡丹は「富貴」「繁栄」を象徴し、椿は「気品」「控えめな美」を意味します。

そして梅は、「忍耐」「希望」「新たな始まり」を象徴します。

冬の厳しさの中にも、静かに息づく生命力と未来へと続く願いを込めて描きました。



「鍋島焼開窯350周年 記念小皿」

器サイズ:Φ150mm×H 6mm

箱サイズ:170mm×170mm×H 6mm

価 格:3,500円(税抜)

※現在も購入可能(2026年4月27日時点)

4 伊万里・有田焼伝統産業会館のリニューアル

大川内山には、伊万里焼・有田焼の振興の要所として資料の展示や後継者の育成等に活用される「伊万里・有田焼伝統産業会館」があります。

大川内山の鍋島藩窯開窯350周年を契機として、2025年3月にエントランスホールと資料展示室(エントランスから向かって右側の展示室)を、11月に総合展示室(エントランスから向かって左側の展示室)を、大規模にリニューアルしました。

これまで大川内山で作られてきた焼き物の歴史や伝統がわかりやすく解説されているほか、現代の窯元の特徴などを学ぶことができます。

▲エントランスホールは、明るく解放感あふれる雰囲気の中に文化伝統を思わせる陶片や文様があしらわれています。不定期で展示替えが行われている瓶子がお出迎えしてくれるほか、動画の放映も行われています。


▲資料展示室では、日本で磁器が誕生し、大川内山に藩窯が築かれてきたその歴史を学ぶことができます。貴重な資料が展示してあるほか、実際に触れることのできる作陶道具も並んでいます。


▲総合展示室では、入って右側に瓶子の展示と図柄や献上先の説明資料が展示され、左側には現在活動している窯元の紹介資料が代表的な作品と共に展示されています。資料展示室が「歴史」を学ぶことができるのに対し、総合展示室では「今」を学ぶことができます。

また、同施設では見て学ぶだけではなく、実際に素焼きの焼き物に絵付けをすることができます(有料)


伊万里・有田焼伝統産業会館

住所:佐賀県伊万里市大川内町丙221番地2

電話:0955-23-4605

開館:午前9時~午後5時(12月29日~1月3日は休館)

観覧料:無料

駐車場:大型無料駐車場あり

5 「記念シンポジウム - 鍋島焼文化 未来への継承 -」の開催

350年の節目を迎えた大川内山が次の400年に向けて歩みだすため、鍋島藩窯 秋祭りの初日に「鍋島焼文化 未来への継承」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。(11月1日開催)

シンポジウムでは、

・平成元年から取り組んでいる鍋島焼献上の儀に使用した瓶子の副本を伊万里市へ寄贈するセレモニー

・「鍋島焼を未来に繋ぐために必要なこと」をテーマとした基調講演

・「鍋島焼文化 未来への継承」をテーマとしたパネルディスカッション

を行いました。


<基調講演>

・中川 淳 / PARADE株式会社 代表取締役社長(元 株式会社中川政七商店 代表取締役会長)

「未来へ繋ぐためのビジョンと経営」

・山田 遊 / 株式会社メソッド 代表取締役

「『開窯三五◯年 鍋島焼 』の取り組みと、351年以降の大川内山」

<パネルディスカッション「鍋島焼文化の未来について」>

中川 淳 / PARADE株式会社 代表取締役社長(元 株式会社中川政七商店 代表取締役会長)

山田 遊 / 株式会社メソッド 代表取締役

中尾 清一郎 / 佐賀新聞代表取締役

瀬戸口 皓嗣 / 伊万里鍋島焼協同組合 理事長 

川副 隆彦 / 伊万里鍋島焼協同組合 実行委員長 

東畑 光晴 / 地域おこし協力隊

6 年間行事の刷新

大川内山では1年を通して様々な年間行事が行われています。350周年という記念の年だからこそ、当たり前に行ってきたことを一度見直し、名称や内容を刷新し、イベントの充実を図りました。


春:鍋島藩窯 窯元市(GW期間中)

「鍋島藩窯 窯元市」は、佐賀長崎両県にまたがる日本磁器発祥の地「肥前窯業圏」が日本遺産に認定されたことを記念し、2016年から開催されています。350周年を迎えた2025年は、およそ30の窯元がそれぞれの個性を最大限に生かして制作した焼き物が販売され、県内外から飲食店も多数出店し、多くの人出でにぎわいました。

▲アートディレクションの一環で、リーフレットにも統一感を出しました。


夏:鍋島藩窯 風鈴市(6月~8月)

2004年から毎年開催されていた「伊万里風鈴まつり」が「鍋島藩窯 風鈴市」に名称変更されました。風光明媚な大川内山の夏を彩り伊万里の夏の風物詩として定着している磁器製の風鈴を2,000個に大幅パワーアップ。各窯元が趣向を凝らした美しい風鈴とその音色が夏の涼を奏でました。

▲テーマカラーを涼しげなミントグリーンに設定し、視覚的にも涼しさをお届けしています。

鍋島藩窯 風鈴市(Instagram)


秋:鍋島藩窯 秋祭り(11月)

大川内山が紅葉で染まる頃に開催される「鍋島藩窯 秋祭り」は、これまでに鍋島藩窯としての歴史や文化を継承してきた先人たちへの感謝をこめて、約40年前から開催されてきました。

2025年はまち歩きツアー、登り窯で焼成された各窯元による特別な作品の販売、地元の飲食店や店舗の出店などの企画が催され、秋の大川内山がたくさんの人でにぎわいました。

▲紅葉に染まる山並みと、登り窯で焼き物を包み込む炎をほうふつとさせる、あたたかなオレンジがテーマカラーです。


冬①:イマリ・キャンドル・クリスマス(12月)

鍋島藩窯伊万里開窯350周年を機に、2024年から開催されている「イマリ・キャンドル・クリスマス」。まちなみをキャンドルの光があたたかく包み込み、冬の大川内山を彩ります。高さ10mの巨大なサンタクロースが登場し、昼も夜もクリスマスを演出してくれました。

中でもスペシャルイベントの2日間では、限定メニューの販売、やきもの職人体験、クリスマスマーケット、アーティストやDJによる音楽ライブなどで大いに盛り上がり、冬の大川内山が一変しました。

▲大川内山がイルミネーションで彩られ、普段とは一味違うまちなみになりました。

イマリ・キャンドル・クリスマス特設ページ


冬②:珈琲とお菓子と器(2月)

伊万里鍋島焼会館前の約1,000㎡の広場に佐賀、長崎、福岡から珈琲ショップが大集合。香り高いコーヒーを飲み比べながら、美味しいお菓子を一度に楽しむことができるイベント「珈琲とお菓子と器」が大川内山を舞台に初開催されました。(2026年2月23日)

市内外からコーヒーやスイーツなどの出展が多数あったほか、コーヒーを片手に職人さんの作業風景をのぞきつつ、大川内山の歴史あふれるまちなみをガイド付きで散策する、大川内山まち歩き案内ツアーも開催されました。

現在、第2回目の開催に向けて鋭意準備中とのことで、今後の情報からも目が離せません。

Instagram:珈琲とお菓子と器

7 企業協賛による記念事業の実施

伊万里鍋島焼協同組合は350周年記念事業を盛大に実施し、積極的に新たな関係を構築していくことで「鍋島藩窯 大川内山」が次の400年へ確実に歩んでいくため、取り組みに賛同する地元企業や個人などから協賛を募りました。

協賛者にはリターンとして「350周年記念小皿一式4種セット」などを準備したほか、協賛金を活用して伊万里鍋島焼会館敷地内に記念碑の制作も予定しています。(6月中旬頃完成予定)


2026年「鍋島藩窯大川内山」の今後の展開

鍋島藩窯 窯元市

期間:2026年4月29日(水)~5月5日(火)

今年も春の暖かな陽気に包まれる季節に「鍋島藩窯 窯元市」の開催が決定しました。

イベント期間中は、

・大川内山の焼き物をお得にお買い物できる陶器市

・5件の窯元でお買い物をすることで素敵なプレゼントが当たるスタンプラリー

・大川内山のさわやかな風を受けて空を泳ぐこいのぼり

・キッチンカーの美味しいグルメ食べ歩き

など、企画盛りだくさんです。

あなただけのお気に入りのうつわを見つけてみませんか?

▲イベント当日は窯元の軒先に焼き物がズラリと並びます。


このほかにも大川内山では、「鍋島藩窯 風鈴市」、「鍋島藩窯 秋祭り」、「イマリ・キャンドル・クリスマス」など1年を通じてイベント盛りだくさんで、あなたをお持ちしています。

この機会にぜひ一度「鍋島藩窯 大川内山」へお越しください。



最後に(本件問い合わせ先情報)

かつて官営の御用窯が築かれた「鍋島藩窯 大川内山」。

この地で350年を記念して新たなスタートを切るために展開された数々の取り組み。

「鍋島藩窯 大川内山」はその歴史と伝統を次世代に継承するため、次の400年へと着実に歩んでいきます。

350年の歴史と伝統が紡いだ焼き物の里「鍋島藩窯 大川内山」へ、一度足を運んでみませんか?


「鍋島藩窯 大川内山」に関するお問い合わせ

伊万里鍋島焼協同組合

住所:佐賀県伊万里市大川内町乙1806番地

電話:0955-23-7293


「伊万里・有田焼伝統産業会館」に関するお問い合わせ

住所:佐賀県伊万里市大川内町丙221番地2

電話:0955-22-6333

伊万里市とは

伊万里市は、佐賀県西部に位置し、豊かな自然と歴史文化が息づくまちです。かつて佐賀藩の御用窯が置かれた大川内山では、将軍家への献上品として焼かれた鍋島の技術が今も受け継がれ、その精緻な美しさは世界から高く評価されています。

また、伊万里牛をはじめとする食の恵み、四季折々に楽しめるフルーツ狩りや自然散策、海と山が織りなす風景など、多彩な魅力が凝縮されたまちです。





行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

29日付の紙面はこちら

アクセスランキング 0:1集計

新生活デジタル応援キャンペーン

大分県の天気

今日 4月30日(

雨
気温 15℃ 12℃
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 80% 80% 80% 70%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 4月30日(

雨
気温 16℃ 12℃
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 80% 90% 90% 70%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 4月30日(

雨
気温 15℃ 11℃
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 80% 80% 80% 70%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 4月30日(

雨
気温 17℃ 11℃
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 90% 80% 80% 80%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況
PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ

PR