日本のバイオシミラー市場を切り拓く ~国主導プロジェクトへの新たな挑戦~

アルフレッサ ホールディングス㈱ トータルサプライチェーンサービス企画部の皆さん
近年、世界の医薬品市場において、バイオ医薬品の存在感は急速に高まっています。世界の医薬品売上上位100製品の中でバイオ医薬品の売上は50%以上を占めるに至り、その市場は著しい成長をしています。※1、※2特に自己免疫疾患やがん、希少疾病等に対する効果が期待できることから、その需要はさらに高まる見込みです。※3しかし、バイオ医薬品は一般的に高薬価で、国や患者様にとって医療費支出が課題となっています。そのため、医療費適正化ならびに患者様の治療選択肢の拡充の観点から、先発品と同等の効果を持ちながら、より低薬価のバイオ後続品※4(バイオシミラー)の普及が重要視されています。また、日本で販売されているバイオシミラーは、輸入に大きく依存しており、国内での安定供給体制の強化も喫緊の課題となっています。そこで政府は、バイオシミラーの使用を積極的に推進するため、国内における製造拠点整備を目的とした補助金制度を設ける等、国内のバイオ医薬品産業の育成に取り組んでいます。※5こうした中で、アルフレッサ ホールディングス㈱、キッズウェル・バイオ㈱および㈱カイオム・バイオサイエンスは、厚生労働省の「バイオ後続品国内製造施設整備支援事業」の助成を受け、バイオシミラーの国内製造拠点の整備に挑んでいます。※6
国主導プロジェクトの最前線で活躍するアルフレッサ ホールディングス㈱ トータルサプライチェーンサービス企画部 部長 鍋嶋明さん、次長 石黒充さん、プロジェクトマネージャー 小柳陽一さんにお話を伺いました。
※1 参考文献:医薬産業政策研究所、政策研ニュース No.64 2021年11月 世界売上高上位医薬品の創出企業の国籍 -2020年の動向-
※2 参考文献:医薬産業政策研究所、政策研ニュース No.74 2025年3月 世界売上高上位医薬品の創出企業の国籍 -2023年の動向-
※3 参考文献:くすりの適正使用協議会、これだけは知っておきたいバイオ医薬品
※4 国内で既に承認・販売されているバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)の特許期間・再審査期間満了後に、異なる製薬企業から販売される、先行バイオ医薬品と同等・同質の製品です。
※5 参考文献:厚生労働省、「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」
※6 ご参考:プレスリリース 厚生労働省「バイオ後続品国内製造施設整備支援事業」助成対象事業者に採択 ならびに同製造施設整備事業推進における協働開始のお知らせ
4社連合による強力な協業体制の構築
アルフレッサグループは、2032年度までの成長戦略として「アルフレッサグループ中長期ビジョン」を策定しています。グループ全体で保有する様々な機能を有機的かつ一体的に活用することで、シームレスなサプライチェーンを確立し、医薬品等の導入・開発、製造から物流・販売、市販後調査・ラストワンマイルまでをグループ一体となって提供する「トータルサプライチェーンサービス」の強化と拡大を推進しています。本プロジェクトを推進しているトータルサプライチェーンサービス企画部は、アルフレッサグループが目指すトータルサプライチェーンサービスの構築と運用に向けて、アルフレッサグループ各社間のスムーズな連携をサポートすることで、グループ内で新たな価値を生み出し、その価値をサービスとして提供する仕組みづくりに取り組んでおり、またその機能強化に努めています。
医薬品等製造事業を有し、医療用医薬品等卸売事業において日本国内に流通ネットワークを構築しているアルフレッサグループと、複数のバイオシミラーの製品開発と安定供給に携わっているキッズウェル・バイオ㈱、抗体医薬の研究開発に長年の経験を有している㈱カイオム・バイオサイエンスの3社に加えて、台湾において、バイオ医薬品の開発製造受託機関(CDMO)として、受託実績が豊富で、施設設計、製造技術、運営、人材育成のノウハウを持つMycenax Biotech Inc.が重要関係者として参画し、4社連合でそれぞれの強みを活かした協業体制を構築し、バイオシミラーの安定供給を目指しています。
トータルサプライチェーンサービスの機能獲得の機会に
本プロジェクトの責任者である鍋嶋さんは、「単なるバイオシミラーの原薬製造・充填といった川上(製造)の整備だけではなく、どのように販売し、どのように流通させ、どのように患者様へお届けするのかという川下まで一気通貫で設計していく視点が重要です。日本市場において、自己免疫疾患やがん、希少疾病領域を中心に低分子医薬品からバイオ医薬品にシフトしており、バイオ医薬品のニーズに伴うバイオシミラーの市場拡大は容易に想像できます。国策であるこのプロジェクトをトータルサプライチェーンサービスの重要な機能獲得の機会と考え、アルフレッサグループの中長期ビジョンの達成に向けて、必ず成功させます」と意気込みを語ります。

本プロジェクトへの意気込みを語る鍋嶋さん
シンガポールにて「新薬を患者様に届けるために必要なすべてのこと」を経験
「国策に沿った重要なプロジェクトで、社会への貢献度の高さにやりがいを感じている」と言う小柳さんは、これまで大手医薬品メーカーにてロンドンやシンガポールでの海外駐在経験を持ち、特にシンガポールでは現地法人の社長として現地法人設立や新薬上市プロジェクトに深く関わってきました。
現地法人の立ち上げ、業許可の取得、製品導入、当局との折衝による薬事登録、販売チャネルの構築、物流体制の整備まで「薬を1つの国で売るために必要なすべて」をゼロスタートで構築した経験がこのプロジェクトで活きている、とこれまでを振り返ります。「プロジェクトを一貫して構想し、製品ライフサイクル全体を俯瞰して見渡せるように『高い視座と広い視野』を心掛け、加えて関係者を巻き込みながら『やり抜く力』を武器に進めています」と力強く語ります。
「4社連合でスピード感を持って円滑に物事を進めるためには、各社関係者との目線合わせと調整が欠かせません。協業先の技術的なバックグラウンドも多様なので、コミュニケーションで生じる疑問や懸念を一つずつ丁寧に解消することを心がけています」と多様な意見や課題に対して真摯に向き合う姿勢を見せます。

本プロジェクトの社会への貢献度の高さにやりがいを感じていると話す小柳さん
グループ理念実現には、働く私たちがいきいきとしていることが不可欠
石黒さんは、アルフレッサグループにおいて医療用医薬品等卸売事業と医薬品等製造事業に合わせて16年以上従事し、医薬品の専門知識を身に付け、組織運営や事業計画策定など幅広いスキルを磨いてきました。今回のプロジェクトでは、これまで経験のなかった工場の設計・建築や新規医薬品の上市、さらには海外企業との連携といった新たな領域にも積極的に関わっています。
「これまでの経験で培った知識やスキルのおかげで、関係者と円滑に連携しながら、多角的な視点で課題にアプローチできています。現状に甘んじるのではなく、新しいことに挑戦し続けることが大切だと考えています」と石黒さんは力を込めて話します。
「『いきいきとした生活をお届けする』というグループ理念を実現するためには、アルフレッサグループで働く私たち自身がいきいきしていることが不可欠です。だからこそ、新しいチャレンジに取り組んでいます」と常に前向きに捉えて、このプロジェクトに向き合っています。

現状に甘んじるのではなく、新しいことに挑戦し続けることが大切という石黒さん
専門人財の育成と確保が課題
「バイオシミラーの安定供給に向けた最大の壁は『専門人財の育成と確保』です。バイオ医薬品の原薬製造や無菌充填といった専門性の高い領域は、世界的に人財が不足しており、自治体や大学、パートナー企業と連携しながら人財育成を進め、安定供給に向けた体制づくりが我々に課せられた最重要課題です」と小柳さんは語ります。
「人財育成に関しても、協業各社の皆様との密な連携が大切です」と言う石黒さん。「アルフレッサグループにとっても初めての取り組みだからこそ、この場で学ぶことはとても多いです。私自身も日々研鑽していきながらノウハウを蓄積して、未来を担う人財育成に繋げていきたいです」と続けます。
「設備と人財の両面から体制づくりを加速させて、バイオシミラーを安定供給できる体制を構築し、将来的には、日本のバイオ医薬品産業の競争力向上につなげていくことが夢ですね」と二人は口を揃えて言います。
バイオ医薬品の安定供給という社会課題の解決に向けて
アルフレッサグル-プが、国策であるバイオシミラーの国内製造事業に参画する意義は、「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けします」というアルフレッサグループ理念に深く根ざしています。
アルフレッサグル-プは、「トータルサプライチェーンサービスを強化・拡大し続ける」ことで、医薬品等の導入・開発、製造から物流・販売、市販後調査・ラストワンマイルまでをグループ一体となって提供することで持続的成長に繋げつつ、バイオ医薬品の安定供給により患者様の治療の選択肢の拡大と医薬品アクセスの向上という社会課題の解決にも挑戦していきます。

(左から)プロジェクトの最前線で活躍するアルフレッサ ホールディングス㈱
トータルサプライチェーンサービス企画部 プロジェクトマネージャー小柳 陽一さん、
部長 鍋嶋 明さん、次長 石黒 充さん
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