グンゼにおけるサーキュラーエコノミー実現への取り組み

2025年5月、グンゼ株式会社は中期経営計画「VISION 2030 stage2」を公表し、「社会的価値」と「経済的価値」を両立するサステナブル経営により持続可能な事業基盤づくりを進め、グローバルに選ばれ続ける会社となることを宣言しました。

近年、資源需要の高まりによる資源制約や環境問題などを背景に、廃棄物を循環資源として最大限活用するとともに付加価値を生み出すことが、新たな成長につながるという認識のもと、従来の経済システムからサーキュラーエコノミーへの移行は極めて重要となっています。今回は、アパレル事業における、サーキュラーエコノミー実現の取り組みについてご紹介します。


■ジャパンサステナブルファッションアライアンスへ加盟

ジャパンサステナブルファッションアライアンスは、持続可能なファッション産業への移行を目的に、ファッションおよび繊維業界の共通課題について解決策を導き出す企業連携プラットフォームです。各企業でサステナブルファッションに向けた取り組みが進められている中、個社では解決が難しい課題に対して、共同で解決策を導き出していくための組織です。ファッション産業が自然環境および社会に与える影響を把握し、ファッションおよび繊維業界の共通課題について共同で解決策を導き出し、サステナブルな産業へと移行を推進することを目指しています。

グンゼは、2022年、このプラットフォームのコミットメントに賛同し、賛助会員として加盟しました。そして、このプラットフォームのコミットメントは次のとおりです。

1.パリ協定に賛同し、脱炭素型へのビジネスの移行を促進する。

2.2050年迄のネットゼロ宣言やRE100、EP100, EV100等への参加に努める。

3.サプライヤー・顧客に働きかけ、バリューチェーン全体の透明化に努める。

4.適量生産・適量購入・循環利用を推進する。

5.アライアンスの一員として、政策関与やサステナブルファッションの協働に賛同・協力する。

グンゼはこれらのコミットメント達成のため、引き続き取り組みを進めます。


【ジャパンサステナブルファッションアライアンス会員企業が目指す2030年目標】

1.ファッションロスゼロ

・残在庫量や廃棄に関する実態把握による透明性の確保

・循環利用システムの構築

2.カーボンニュートラル

・全過程における温室効果ガス(CO2換算)の把握と削減

 ※目標数値を策定予定

3.共同してイノベーションを実現し、目標を達成する

・次世代素材や新技術の活用、(原料・生産・デザイン段階での)

 環境配慮設計の積極的採用

・サステナブルファッションに関した生活者と積極的なコミュニケーション

4.人権に対する考え方

・JSFAおよび会員企業は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」

 を支持し、これに基づき人権尊重の取り組みを推進する


■グンゼ物流、西宮・岡山物流センターで産業廃棄物ゼロを達成

グンゼ物流は、グンゼブランドのインナーウエア・レッグウエア・ライフスタイル衣料などの入荷、倉庫管理、ピッキング、梱包、物流加工、そして全国への出荷を担っています。全国に物流拠点を展開する中、今回は兵庫県にある西宮物流センターでの「産業廃棄物ゼロ」に向けた取り組みをご紹介します。西宮物流センターでこれまで廃棄物として処理していた主なものは、商品入荷時に使用する軟質ポリプロピレン製の梱包袋や、製品を吊り下げるためのポリプロピレン・ポリスチレン製のハンガー類でした。最初の壁となったのは、プラスチックを材質ごとに分別することです。従来は大きく「プラスチック」「段ボール」「離型紙」の3分類で分別していましたが、リサイクルのためにはプラスチックをさらに細かく材質別に分別する必要があり、新たに5分類することが求められました。しかし、プラスチックの材質は見た目だけでは判別しづらく、約40名のスタッフがストレスなく確実に分類できるよう、さまざまな工夫を施しました。たとえば、材質ごとの形状を写真で掲示し、視覚的に判断しやすくする分別後の圧縮作業を動画で説明し、全体の流れを理解してもらうことなどです。こうした取り組みの積み重ねにより、2024年11月、「産業廃棄物ゼロ」を達成することができました。

この成果を岡山県にある岡山物流センターにも展開し、現在は2拠点で産業廃棄物ゼロを実現しています。さらに、西宮物流センター、岡山物流センターで回収したポリプロピレン製の袋は、紳士インナーウエア「アセドロン」などに使用するハンガーへ再生されています。このリサイクルスキームを確立するためには、使用済みフィルムの運搬、再原料化、再生ハンガー製造といった各工程で多くの協力を得ることが不可欠でした。現在、この取り組みにより年間約35万本の再生ハンガーが生み出されています。また、今年7月に栃木県の宇都宮物流センターへプラスチックフィルム圧縮機を導入しました。これにより、再生ハンガーの生産能力がさらに高まります。

西宮物流センター外観

チームメンバーとプラスチックフィルム圧縮機


【コラム】廃プラスチックゼロを目指してー西宮物流センターの挑戦ー

西宮物流センターでは、2023年度に約7トンの廃プラスチックを排出しており、この変更により年間約230万円のコスト増が見込まれました。加えて、グンゼグループでは廃棄物の削減と再資源化が方針として掲げられていたため、本社部門と連携し、「廃プラスチックゼロ」の実現に向けた取り組みをスタートしました。しかし、廃棄物の分別種類を増やすことは、現場スタッフにとって大きな負担となります。そこで、従来の業務効率を落とさず、気持ちよく分別に取り組んでもらえるよう工夫を重ねました。その一つが「目で見る管理」の導入です。視覚的に分かりやすくすることで、スムーズな分別作業が可能になりました。また、取り組みの成果を毎月掲示板などで共有し、スタッフ全員のモチベーション維持にも努めています。

サーキュラーエコノミーの実現には、企業単独の努力だけでは限界があります。当社が加盟する「*大阪アパレル物流協議会」でこの取り組みを紹介し、業界全体で産業廃棄物の削減を進めていきたいと考えています。

*大阪アパレル物流協議会

関西を中心としたアパレル業界に関わる物流関連企業が商品の効率的な物流や環境負荷の低減、人手不足対策など、業界共通の課題解決に向けて情報共有や協働を行う団体。現在、小川さんは副会長を務めている。

グンゼ物流株式会社 社長 小川さん


■繊維資材事業部津山工場における有機溶剤削減の取り組み

サーキュラーエコノミーを実現するために必要な「3R」は、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)です。その優先順位は Reduce > Reuse > Recycleとされ、まず無駄を減らし、次に再使用し、最後に再資源化することが効果的と考えられています。この取り組みによって、資源の有効活用と環境負荷の低減を同時に実現できると言われています。

Reduceの取り組みとして、繊維資材事業部津山工場での有機溶剤使用量削減の取り組みについて紹介します。繊維資材事業では、衣料用ミシン糸から、自動車のエアバッグやシートベルト縫製用ミシン糸など、高い安全性が求められる産業資材用途まで、幅広い製品を展開しています。中でもエアバッグ縫製用ミシン糸は、人命に関わる部品を縫うという責任ある製品であり、その品質と安全性には万全を期しています。生産拠点は、国内は岡山県に津山工場、海外は中国、ベトナム、バングラデシュおよびインドネシアに5工場を保有しています。

津山工場では「エアバッグ縫製用ミシン糸」の製造過程において、有機溶剤の使用量を大幅に削減する技術を確立しました。エアバッグ用ミシン糸は、多数の細い糸を束ね、樹脂で固めることで形状を維持する設計です。この樹脂加工工程では、樹脂を有機溶剤に溶かした「樹脂溶液」を使用しており、有機溶剤は製造に不可欠となっております。これまで、加工設備の「加工に直接関与しないエリア」では、樹脂溶剤が空気に直接触れ揮発していました。その接触面積は、なんと「クルマ60台分の駐車場」に相当する広さでした。今回の取り組みでは、この接触面積を可能な限り小さくすることで、有機溶剤の揮発を抑制する技術を確立しました。

有機溶剤使用量削減のイメージ


【コラム】さらなる有機溶剤使用量削減の取り組みについて

繊維資材事業部では、これまでも積極的に有機溶剤の使用量削減に取り組んでまいりました。次なる効果的な削減策として「加工前の準備工程における有機溶剤揮発漏洩抑制」に焦点を当てた新たな試験を開始いたしました。この取り組みは、従来実施してきた施策に次ぐ、効果の高い削減アプローチと見込んでおり、工程における有機溶剤の揮発漏洩を物理的に抑えることを目的としています。この準備工程では、有機溶剤を一定の温度に保つ必要があり、工程条件の変更は困難です。また、溶剤を保管するタンクは完全密閉構造ではないため、温度によって発生した揮発成分がタンク外へ漏れ出す課題がありました。そこで現在、揮発した有機溶剤を漏れ出す前に液体に戻してタンク内で循環させるという新たな技術を試験的に導入し、漏洩を未然に防ぐ取り組みを進めています。この取り組みにより、当社の樹脂加工工程全体における揮発・漏洩抑制対策が一体となり、工場内の空気環境の改善、CO₂排出量の削減といった環境面での効果はもちろん、作業環境の快適性向上にも大きく寄与することが期待されます。

今後も、サステナビリティを重視した企業活動を推進し、持続可能な社会の実現に向けた貢献をさらに強化してまいります。

繊維資材事業部 グローバル技術開発課 課長 増井さん





行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

6日付の紙面はこちら

アクセスランキング 5:31集計

大相撲大分場所

大分県の天気

今日 9月6日(

晴れ晴れ
気温 34℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 10%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月6日(

晴れ晴れ
気温 33℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 10%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月6日(

晴れ晴れ
気温 33℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 10%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月6日(

晴れ晴れ
気温 37℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 10%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況
PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ

PR