左からクラフトジンの「WITH: 鬼とはじまり」、本格麦焼酎「とっぱい」、本格麦焼酎「喜納屋」
南酒造イチオシの銘柄3本を紹介します。
▼とっぱい 国東半島らしい仁王像のラベルで、南酒造を代表する本格麦焼酎です。
その名も、地元に伝わる民話にちなんでいます。
凶作の年、年老いた母親のため、若者が他人の家にコメを盗みに入ります。つかまえた主人は「酒を一升
枡で10杯飲めば許してやろう」と言います。若者は9杯目で限界となりましたが、神様が現れて「孝行息子のために」と10杯目を飲み干しました。以来、この神様は「とっぱい(10杯)」様と呼ばれるようになったとか――。
仕込みが始まるのは早くて10月です。翌年の3月中旬には蒸留まで終わります。気温が低い限られた期間しか製造していません。
昔ながらの「常圧蒸留」の本格麦焼酎です。ゆっくりと時間をかけて蒸留し、厳選したうまみを抽出しています。コク深くまろやかな味わいで、「常圧」だけどクセは少なめ。20度と25度があります。どんな飲み方でも、どんな料理にも合いそうです。
入社したての頃、先輩とよく行く飲み屋が置いていたのが、この「とっぱい」でした。
▼喜納屋 しばらくは「とっぱい」一本で勝負してきました。
高級路線として30年ほど前に誕生したのが本格麦焼酎の「喜納屋」です。名称は屋号にちなみ、専務のさやかさんは「喜びを納め続ける」との思いを語ります。
「とっぱい」が味を柔らかくきれいにしているのに対し、「喜納屋」は無
濾過で仕上げています。25度で、より濃い味わいと豊かな香りを感じることができます。
「ちょっと荒々しさを残した感じ。大きなワイングラスとかで、香りを楽しんで飲んでもらえたら」とオススメします。お湯割りでも香ばしさを楽しめます。
▼クラフトジン WITH:鬼とはじまり 「とっぱい」をベースに、国東のさまざまな特産品を使ったオリジナルのジンです。
国東市の特産品「七島イ」や両子寺に自生するサンショウ、バラやグリーンレモン、バジルなど、地元で採れた素材を漬け込み、再蒸留して出来上がったそうです。その味のバランスには地域住民の声も反映されています。
とにかく香り高く爽やかです。
昨年、クラウドファンディングで支援を募ったプロジェクトで開発されました。まだ商品化はされていませんが、現在も国東半島の観光振興と地域活性化を目指す「六郷満山日本遺産推進協議会」のクラウドファンディングで返礼品となっています。
増築した製造場で仕込んでいく計画です。国東半島には鬼文化が根付いていることから「鬼と◯◯のシリーズで、いろいろな産品を使ったクラフトジンを造っていきたい。商品化を目指しています」と意気込んでいました。
ほかにも黒こうじを使用し、大分市佐賀関の漁師と共同で新鮮な魚料理に合う味わいに仕上げた本格麦焼酎「関の舌」も代表商品です。昨年11月の佐賀関の大規模火災を受けて、売上金の一部は義援金として寄付しています。
蔵には最近、アメリカのバーテンダーが見学に訪れるなど、外国からの注目も高まっているそうです。
(大塩信)