松浦教授 まずは記者さんが気にしている「肝臓」が受けるアルコール被害について簡単に解説していきましょう。
記者 ぜひ、お願いします!
松浦教授 お酒を飲むと、アルコールは肝臓で(1)アセトアルデヒド(2)酢酸―という順番に分解されます。
酢酸まで分解されるとアルコールそのものは無害になるのですが、その分解される過程で中性脂肪の合成が促され、肝臓に蓄積されていきます。
増えすぎた中性脂肪は肝臓の細胞を圧迫します。この状態が「アルコール性脂肪肝」です。
そうなると、肝臓の働きはどんどん阻害されていき、いずれ細胞は破裂して炎症が起きます。炎症を繰り返すことで肝臓は繊維化し、固くなります。それを「肝硬変」と言います。
体は消えた細胞を再生しようとしますが、そういった状態が続くとエラーが発生して「肝臓がん」になる恐れがあります。
記者 なるほど。アルコールが直接悪さをすると言うよりも、分解の過程でできる中性脂肪が増えすぎることが病気の原因になるのですね。
松浦教授 また「
膵臓」もアルコールの影響を受けやすい臓器です。
記者 恥ずかしながら、
膵臓ってどんな働きをしている臓器かあまり詳しくありません…。それも含めて教えてください。
松浦教授 膵臓ではすい液という消化酵素が作られています。すい液は十二指腸に分泌され、他の酵素と一緒になって、食べ物を消化します。糖質、タンパク質、脂質を分解する強力な消化酵素を出す臓器なので、それが出過ぎると自分の細胞を攻撃してしまいます。自傷行為のようなものです。
アルコールは
膵臓を刺激して、すい液を過剰に出させます。
その過剰分泌により炎症が起きるのが「すい炎」。それがずっと続くと、細胞の再生の際にがん細胞に変異する可能性が上がります。
記者 肝臓や
膵臓といった生きていく上では欠かせない臓器をお酒の飲み過ぎで痛めつけてしまうことになるのですね。炎症が、がんにまで発展すると思うととても怖いです。
松浦教授 そうなんです。何事も「適度」が肝心。お酒は健康に直結しますので特にそれを意識してほしいです。