2025816日()

地域リポート

「こんな豊かな所はない。今後絶対ブレークする」岩尾 晋作

カモシカ書店店主 岩尾 晋作さん
 ソーシャルビジネスとかではなく、ただの本屋をしています。自分ができそうなことを大分でやっているだけ。全国の本屋は総売上が半減に近い状態ですが、本屋をやる人はぽつぽつあって、東京を中心に関西、福岡などで若い感性の新しい本屋が生まれています。
 僕自身は大分市で生まれ、18歳まで大分で暮らしました。大学で東京に行ったのですが、東京には文化があると思っていました。僕はインドアで文学少年だったんですね。人間って、躊躇(ちゅうちょ)の中に自分らしさが出る。やりたいけどやれないことの中で商売をしたいなと思います。本を読むことで変わっていくことを伝えるのが本屋です。
 ひっそりと本屋をしていたらいろいろ声が掛かって、若い人に大分の魅力を伝える仕事や美術館での勉強会といったこともしています。新しいビジネスモデルがしたいかといえば全然違って。自分が伝えたいことを、ただ伝えていくことが仕事につながっています。

「僕たちのことが知られればどんな無名の商品でも買ってもらえる」丸田 晋也

丸田酒舗店長 丸田 晋也さん
 酒屋という、ローカルな商売をしています。別府市ではクラウドファンディングを使って資金を集め、地酒スタンドをオープンしました。
 小学校3年で自分で冊子をつくり友達に売っていました。そのころから商売人の感覚があったのかな。中学校からダンスや演劇などのエンターテインメントの世界に入りました。芸能事務所で学んだ上下関係が役に立っています。
 18歳で実家の酒屋に入って、全国の酒蔵を回ってお酒造りを勉強しました。一般人に近い感覚で入ったので、お客さまの感覚を重視していけるのではと思っています。
丸田酒舗は、お酒の管理を徹底しています。小さな酒蔵が丹精込めて造ったお酒を、きちんと売ること。酒屋はお酒の魅力や消費者の声を伝える役割があります。それは父の時代から大切にしてきました。今年、別府に角打ちができる酒屋を出店しました。古き良き文化を、お酒を通じて皆さまに伝え、幸せになれるよう日々精進しています。

「インスタを使った集客だけでもうかっている店がある」河野 忍

ペットリボン代表取締役社長 河野 忍さん
 2歳になる息子の出産でいったん仕事を休み、これまでとは違うやり方で仕事をやろうと昨年復帰しました。
大分のアイデンティティーを守るため別府市の寿温泉の番台に週3回くらい立ち、仕事も番台でやっています。
 小学校4年くらいからホームページを作っていました。就職して17年目、IT系で仕事を起こして9年です。私は思い立ったら即やりたいというタイプ。大分って仕事がないイメージでしたが、仕事はあってむしろ人材不足だと。情報の差を不思議に感じました。
 モアモストはホームページ制作を主に扱っています。システム開発が得意な会社で、商業施設のウェブサイトシステムなどを制作しています。ペットリポンは、ペットに関する情報サイトです。ペットとお出掛けできるカフェや火葬場などを検索できます。特にペットとの旅行に力を入れています。「おんせん県」を「おんせん犬」に代えて、大分を動物好きが集まる県にしたいと思っています。

「失敗が自分にとっての糧になっている経験が多い」南 暁

未来企業カレッジ代表取締役 南 暁さん
 国東市で創業支援や事業開発に取り組む「未来創造カレッジ」という第三セクターと、そこから派生したECマーケットという地域商社をしています。
 主な仕事は、地域活性化につながる創業を支援すること。ビジネスプロデューサーとして、さまざまな面から経営者を支えています。創業時、いきなり社長になっても法律も分からないですよね。
 経理や総務の事務的業務が分からない状況の人にどうしたらいいかサポートしています。事業開発は課題の解決だと思っています。
 現在、企業と協力して進めているのは、高齢者の危険運転への抑止装置。運転技術を数値化し、携帯電話で自分の運転を可視化できるものをつくっています。
 お金を生み出す仕事は、楽しい、欲を満たすことの二つに分けられます。創業のネタは都市からが多いです。「こういうのができないか」という声を受け、どうしたらいいのか考える。どういう人がどんなことを欲しているか、アンテナを張っています。

 

「高校生には包み隠さない。苦楽を共にする」岡野 涼子

一般社団法人NINAU代表理事 岡野 涼子さん
 子どものキャリア教育を実践する一般社団法人「NINAU」を2018年に立ち上げました。日田が幸せになるような事業を行っています。高校生たちと事業をしているのですが、きっかけは「日田に何もない」と高校生が言っていたことでした。地域の維持が問題になっている中で、地域に何もないと言う若者が戻ってくるはずがないと思ったんです。計画があったわけではなく、衝動的に始めました。
 行政だけでなく地元の企業と協力して事業をしています。自分たちが地域を元気にしていくという気持ちを持ってもらえるように、小中高でのキャリア教育もしています。子どもたちが自分たちですることによって、地域を元気にできることを知ってもらおうというのがベースです。私自身は日田愛が強くて。仕事をつくるのもまちを面白くするのも自分次第だと思っています。活動拠点「フラッグ」には地元の高校生が集い、地域を元気にするためのアイデアを出し合っています。