2025101日()

地域リポート

「多くの1回ではなく、唯一の1回。 1回をいかに楽しんでいただくか」吉門 恵美

大分フットボールクラブソーシャルアクション室 吉門 恵美さん
 私は大分トリニータのチケットをもらい初めてスタジアムに行き、あまり好きではなかった大分への見方が大きく変わりました。大勢の歓声が沸き起こり、知らない人同士が喜び合っている。知らない間に大分が進化していると感じたのです。トリニータをきっかけに地元を誇りに思える人を増やしたいと社員になりました。トリニータは1994年に県民、企業、行政の三位一体で誕生。ナビスコ杯優勝、経営危機、J3降格とさまざまな経験をしましたが、いつも地域に支えられてきました。企業理念には「サッカーを通じて、大分の活力に貢献する」を掲げています。学校訪問では体を動かす楽しさを伝え、各地のイベントにも参加。障害者スポーツを一緒に楽しむ体験コーナーを設けたりもしています。地域と関わりながら一人でも多くの人にスタジアムの一体感と感動を知ってもらい、トリニータの存在が生活の一部になり、成績に関係なく愛される存在になりたいと思っています。

「逆風はグッドサイド。 私にとってのチャンスです」牛尾 洋人

一般社団法人日本デフビーチバレーボール協会理事長 牛尾 洋人さん
 デフとは聴覚障害者のこと。競技の普及発展に取り組む「日本デフビーチバレーボール協会」を2017年、大分市に設立しました。障害者スポーツ発祥の地・大分から認知度を上げたい、福祉ではなくスポーツとして知ってもらい垣根をなくしていきたいという思いです。私は元ビーチバレーボール選手で、デフの日本代表監督を6年務めました。デフスポーツの団体で健常者の理事長は初めてだそうです。課題は選手発掘。楽しみながら聴覚障害者の運動能力を底上げし、いろんな競技に挑戦しやすい環境をつくっていきます。大会やイベントを通じ知ってもらう機会を増やすことも大切。昨年に続き、今年も田ノ浦ビーチで国際親善大会を開き、見て楽しめる迫力ある大会にしたいと計画しています。日本は第25回デフリンピック(25年)の招致に動いています。実現すれば日本初、100年目の記念すべき大会。ぜひ大分市で開催してほしい。協会としてできることをしていきます。

「何かやりたいと思っている人の キラキラ感はすごく素敵」宮崎 啓子

総合型地域スポーツクラブわっしょいUSAクラブマネジャー 宮崎 啓子さん
 スポーツの仕事をしていますが、私にスポーツ歴はありません。総合型地域スポーツクラブは多種目、多世代、多志向が特徴の取り組み。わっしょいUSAクラブは現在5年目で、13種目30教室、約250人の会員がいます。幼児、小学校低学年のキッズ教室があるのが特徴です。体力づくり、友達づくりにもなり、体を動かすのは楽しいと思ってもらえる教室を目指しています。「自分の子どもをこの人に預けたい」と思える人に指導してもらっています。ダンスは各教室が集まり年一度、練習の成果を披露し交流。託児付き教室もあり、勉強合宿の他、料理や工作、アロマなど不定期で文化的活動もしています。一番活発なのがサッカー。幼児と小学4年生までのクラスがあり、保護者の要望で大人の教室もつくりました。よりレベルアップを目指す子たちのため、ヴェルスパ大分と協力してU―15サッカースクールを立ち上げました。さまざまな機関とも提携していきたいです。

「問題を発見する、創造できる力を持った学生を増やしていきたい」中山 正剛

別府大学短期大学部初等教育科准教授 中山 正剛さん
 体育授業や部活動の社会人基礎力への寄与について研究しています。社会人基礎力は、多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力のこと。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の三つの能力からなります。これが高まれば人材育成、地域貢献につながります。大学の体育授業では、誰のために何を目的にするのかを考え、社会人基礎力を高めるためのアプローチをしました。前に踏み出す力とチームで働く力に結果が出て、授業の前後だけでなく、1年後、2年後の持続効果もあることが分かりました。一方、部活は社会人基礎力にどうつながるか。中学の野球部で9カ月、取り組みました。監督は常に選手とのパートナーシップを意識し、押し付けではなく提案するスタイルで、選手が主体的に運営を話し合い、記録し、振り返りました。本人の自己評価、保護者・監督の評価のいずれも、社会人基礎力の全ての能力向上に効果があるという結果が出ました。

 

「与えられたものではなく自分が見つけた世界で生きていこう」小笠原 順子

地域おこし協力隊 小笠原 順子さん
 水泳で五輪に出場し、現在スポーツに関わる具体的な活動はしていませんが、学んだことが社会でどう生きているかみていただければと思います。22歳で選手を引退し、就職活動をしてキリンビールに入社しました。サッカー日本代表のスポンサー事業を担当し、2015年のキリンチャレンジカップで初めて大分へ。そこで竹田との縁が生まれ大好きになり、1年後に移住しました。それまでの経験から自分がアクションを起こすことで未来を担う子どもたちを応援できる喜びを感じ、体験教室を立ち上げました。学校での水泳教室もしています。ただ泳ぎがうまくなるためではなく、いろんな視点を持ってほしくてまず教室で水のことを学びます。子どもたちにいつも言っているのが、ありのままに生きるということ。スポーツ選手だから直接スポーツに貢献しなければならない、こうでなければいけないということはない。今の輝きをそのまま生かしていってほしいと伝えています。