首藤 昨年できた久留島武彦記念館の認知度はいかがですか。
金 とても低いです。佐賀で講演をしたのですが、玖珠を知りませんでした。「なんて読みますか」と、そこからでした。常に企画展を新しくすることでメディアに取り上げてもらっています。記念館は「生き物」だと思っています。古いものだけ並べて、「どうぞ、見てください」というような堅苦しいものではなく、1人だけのお客さんにも声を掛けて10ある全ての部屋を案内します。物は物にすぎません。語り合いながら記念館を回ることで新たな発見があります。丁寧にリピーターを増やしていきたいです。大人が子どもに知的な刺激「想像する力」を少し与えた方がいいと思います。知って見るのと知らずに見るのは違います。体験する前にいろいろ想像させると、「たいけん=たいへん!」の間に「わくわく」が入るのではないでしょうか。
首藤 耶馬渓アクアパークでは国内の大学の水上スキー部全てが合宿するそうですね。
中村 水上スキー部があるのが全国で10大学。年間を通して代わる代わる300人の学生が来てくれます。宿泊、飲食、交通などで、中津市内だけで3千万~4千万円の経済効果があります。地域とのつながりも生まれます。合宿することで大学生が地域の方々から差し入れしてもらったり、盆踊りに誘われてご飯をいただいたりしています。私たちが間に入らなくても、地域の人と大学生の間でコミュニケーションが取れています。
上田 地域のおもてなしが生まれたのは何かの仕掛けですか、それとも自然発生ですか。
中村 耶馬渓ダムでは各種イベントが行われています。合宿中の大学生が会場設営を手伝うなどして地域の人と触れ合う中で、必然的に「どこから来たの」「東京から来ました」「耶馬渓でおいしいものを食べに行こうよ」などの会話が生まれます。また、祭りを行う地域が高齢化し若手がいないと相談を受けて、私が大学生を紹介することもあります。学生の中にもせっかく耶馬渓に来たのだから練習だけではなく、交流もしたいと考える学生もいます。
上田 地域に貢献したいという学生の思いを受け止めて、コーディネートしているのは素晴らしい。このような人が地域にいることが重要ではないでしょうか。