コーディネーター 首藤 誠一
首藤 課題発見力、批判的思考は21世紀型学力として、文部科学省も提唱しています。
上田 社会の変化が急速に起きていて、先が読めない。次にどういう時代が来るか、10年先も読みづらい。その中でとても大事ですね。
首藤 世の中が変わる中、求められる力も変わっているということですね。ではなぜ地域の学びなのか。どんなことが身に付き、どのような効果があるのでしょう。
上田 基礎学力や専門知識をうまく活用し、多様な人々とともに仕事をしていく上で必要な「社会人基礎力」が今、求められています。基礎学力、専門知識は見えやすい領域の力。チームで働くためのコミュニケーション力といった総合的な社会人基礎力は可視化しにくいスキルで、どういう教育で培われるか、いまだに回答がありません。ただ、その一つのヒントが地域での学びにあるのではないかと思います。たとえば、ボランティアは利害調整から始まります。学生がボランティアをするにはさまざまな動機があり、地域の側も、作業を手伝ってほしいとか地域活性化のために意見がほしいとか、いろんな思いで受け入れています。やりたいこととやってほしいことが完全に一致するはずはなく、何かをするにはまず、調整からスタートしなくてはいけません。それは仕事や生活の場面でも求められること。社会には多世代の人がいて、縦横以外にも斜めの関係がある。これらを総合的に学び、座学で身に付けたことを、主体的に考えて発揮する場が、地域にはあるのではないでしょうか。